〈旅行新聞9月1日号コラム〉――人気のタイ・バンコク 「世界から“嫌われる国”になりたくない」
2026年9月1日(火) 配信

夏休みにタイ・バンコクを訪れた。真夏に南の暑い国に向かうため、基本はホテルでの休養を旅の主目的とした。
滞在した宿は、チャオプラヤー川沿いに建つロイヤルオーキッド・シェラトン・ホテル&タワーズ。川を挟んだ真正面にアイコンサイアムがあり、日が暮れるとシャンパン色にライトアップされ、客室の大きな窓ガラスから見惚れて過ごした。
バンコクはカフェ・オ・レ色のチャオプラヤー川が個性的であり、象徴的な存在である。行き交う貨物船や観光船など大小さまざまな船を眺めていると、時間の経過を忘れてしまう。
ホテルの敷地内にあるガーデンプールは、緑の木々に囲まれた空間にひっそりとある。朝食後や、どこにも行く予定のない時に利用した。ある時、デッキチェアで寝ていると、足元にわりと大きなトカゲが体を左右に揺らしながら歩いているのを目撃した。飛び上がるほど驚いたが、プール脇の芝生の方へ悠々と歩いていく大トカゲの姿はどこか愛嬌があり、写真を撮りながらゆっくりと後を追った。
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バンコクは東京のように地下鉄網が張り巡らされている都市ではない。道路も渋滞する。このため、対岸に渡るときなどは、シェラトンホテルが無料で運航する渡し船を利用したし、カオサン通りやシリラート博物館(死体博物館)などには廉価なボートを利用した。舗道を歩くと、さすがに暑いバンコクだが、チャオプラヤー川を高速で走る簡易ボートは川風と水飛沫を全身で受け、涼しく感じた。
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今回の旅は、休養がメインだったが、やはりグルメは外せない身である。
ホテル周辺には、良い雰囲気の個人料理店が多く存在した。昼間に少し観光して客室清掃が終わった頃合いに冷房の効いた部屋に戻る。セブンイレブンで買ったシンハービールとスミノフをベッドの上で飲んでいると深い眠りに陥った。そして夕暮れに目覚めると、わずかに空腹を感じ、熱帯モンスーン独特の気怠さが漂う裏路地を歩きながら、美味そうな店を探す。
パッタイやトムヤムクンの食べ比べや、もち米とマンゴーのデザート「マンゴースティッキーライス」などタイらしい食文化も堪能した。“ピンクのカオマンガイ”で知られる店にも足を伸ばし、扇風機だけの店内で汗を流しながら、その名に恥じぬカオマンガイを味わった。
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滞在中、接客も心地よく感じた。バンコクには文字通り“世界中”から観光客が訪れていたが、多くの人が知らず識らずのうちに、この地の虜になり、何度も再訪してしまう魅惑の引力を感じ取った。
たとえば会計が終わり店を出るときに、接客係が両手を合わせて、笑顔でお礼をする仕草に魅了される。道端で行き先を探している素振りに気づくと、「メイ・アイ・ヘルプ・ユー?」と何人かの現地の人に声を掛けられ、懇切丁寧に教えてくれた。
これまでさまざまな国を旅するなかで、歓迎されている雰囲気を感じることあれば、そうでない場所もあった。
タイは世界中の旅行者から好かれる国であるから、屈指の観光大国の地位にある。タイ人の親しみやすいおもてなしを受けながら、「世界から嫌われる国になってはいけないな」と強く感じた。1人の日本人として、学ぶべきことが多くあった旅だった。
(編集長・増田 剛)


