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〈旅行新聞5月1日号コラム〉――「旅の力」を再認識 平時に比べ、今は一層「旅」が重要に

2024年4月29日
編集部:増田 剛

2024年4月29日(月) 配信

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)が提唱する「旅の力」には、「5つの効果・効用がある」と、JATAホームページにも掲示されている。5つとは、①文化の力②交流の力③経済の力④健康の力⑤教育の力――を指す。

 具体的には、【文化の力】は、色々な国や地域の歴史、自然、伝統、芸能、景観、生活などについて学びつつ、それらの発掘・育成・保存・振興に寄与できる▽【交流の力】は、国際あるいは地域間における相互理解、友好の促進を通じ、安全で平和な社会の実現に貢献できる▽【経済の力】は、旅行・観光産業の発展による雇用の拡大、地域や国の信仰、貧困の削減、環境の整備・保全など、幅広い貢献ができる▽【健康の力】は、日常からの離脱による新たな刺激や感動、遊・快・楽・癒しなどを通じ、からだやこころの活力を得、再創造へのエネルギーを充たす▽【教育の力】は、旅による自然や人とのふれあいを通し、異文化への理解、やさしさや思いやり、家族の絆を深めるなど、人間形成の機会を広げる――とある。

 JATAの髙橋会長はさまざまな場で、「旅の力」の効果・効用について力を込めて語られてきたが、近年の国際情勢の著しい悪化や、3年以上にわたるパンデミックによる世界的な人的交流の制限、不安定な経済状況が基盤の社会の片隅に佇むと、平時に比べ今は、5つの「旅の力」の重要性が一層差し迫って感じられる日々である。

 そして、5つの効果・効用のなかで私がとりわけ注目していたのが「健康の力」である。

 春先から少し体調を崩してしまい、低調のまま、回復しない体に打つ手はなかった。外にも出ず暖かい部屋でリクガメと遊んだり、ぼんやりと窓の外を眺めたり、このような状態で春を送るのかと侘しく思った。

 そこで思い立ったのが、旅に出る事だった。さまざまな取材の中で、「旅をすると転地効果もあり、体調が良くなる」や、「温泉の効果」など何度も耳にしてきたし、インタビュー取材のなかで語られたこともあった。ちょうどいい機会なので、自分の体で試してみようと、思い切って2泊3日の長距離ドライブ旅を計画した。

 体調を崩す直前に訪れたのが、鹿児島や台湾など南の方だったので、空気を変え北に向かおうと、青森県下北半島の最北端・大間崎と、津軽半島の最北端・竜飛崎を目指す決心をした。体調がさらに悪化する恐れもあったが、一種の賭けであった。

 毎度のことであるが、私の「出立の日」は朝早い。星空輝く午前3時にハンドルを握り、神奈川県を出発。正午過ぎには青森県八戸市のウミネコ神社で有名な蕪嶋神社に到着。八戸市の巨大市場「八食センター」で寿司を食べ、陸奥市内で宿泊。翌朝雲一つない大間崎の鮪の一本釣りのモニュメントを訪れ、仏ヶ浦展望台に立ち寄った。青森市方面に南下し、再び津軽半島を北上し竜飛崎に向かった。 竜飛崎灯台から360度の真っ青な海を眺めると、長距離ドライブで疲れたが、やり遂げた達成感に包まれた。

 その夜は秋田県の湯瀬温泉に宿泊し、温泉に浸かった。ドライブ旅行中は内省的な思考になり、流れる東北の明るい風景がストレスを霧消させた。体調は確実に回復に向かっているのを実感したことが、大きな収穫だった。

(編集長・増田 剛)

 

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