【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その65- 五島列島・宇久島の神島神社巡礼(長崎県佐世保市) 五島列島・最北端の神社 平家ゆかりの海と砂浜の美しい島
2026年9月12日(土) 配信

今回の精神性の高い旅の舞台は、東シナ海に浮かぶ大小140余りの島々からなる、五島列島の最北端にある宇久島。北部には、宇久島と小値賀島があります。また、福江島、久賀島、奈留島を「下五島」、若松島と中通島を「上五島」と呼びます。
宇久島を取り上げたのは、今年の6月に宇久島と小値賀島の商工会様に講演にお招きいただいたご縁があったからです。2005年に、五島市の福江商工会議所様で講演を行って以来、20年以上ぶりの五島列島でした。

今回の宇久島と小値賀島の講演の旅で、すべての五島列島へ訪れる旅をしてみたいと思うぐらい、素晴らしい自然の神々しいような美しさと人の心の温かさが身に染みました。
五島列島は、キリスト教が禁教だった江戸時代、多くのキリシタンが移住しました。潜伏キリシタンとして、密かに祈りを続けてきました。明治になり禁教令が解けると、次々と教会が建設され、五島列島の島々には50を超える教会が残されています。奈留島、久賀島、頭ヶ島、野崎島の世界遺産に登録された4集落の教会をはじめ、教会巡りの旅もおすすめです。とても優美な教会建築と、異世界のような神秘的な情景に出逢えると思います。

さて、宇久島は、長崎県佐世保市に属しており、佐世保港からは高速船やフェリーで、2時間前後でアクセスできます。対馬暖流の影響で温暖な気候のため、アコウの巨木や、ソテツの巨樹といった亜熱帯性の植物が見られるのも特徴です。海を舞台に歴史が始まり、潜水アワビ漁や、捕鯨で活躍した「海士」伝説の残る、興味深い島でもあります。鯨カレーなどの鯨料理が、その伝説を物語ります。透明感のあるエメラルドグリーンの海と真っ白な砂のビーチも印象深く、水平線が丸く見える岬の灯台、情緒漂う漁師町の風景、すべて身も心も解きほぐしてくれるでしょう。
五島列島の歴史を語る上で欠かせないのは、平家盛です。平家盛は、平清盛の異母弟にあたり、壇ノ浦の戦いの後に、宇久島に逃れて移り住んだといわれています。宇久島では、宇久姓を名乗り、後の子孫が五島姓に改名し、五島家の祖といわれている人物。宇久平港ターミナルの前には、平家盛の銅像が、宇久島へ訪れる人たちをお迎えしてくれているかのように感じます。

その宇久平港から近くにある、平地区の総氏神様が「神島神社」です。平家盛は、御召船の屋形内に鵜戸神宮の御分霊を奉じて来島し、「ウガヤフキアエズノ命」を御祭神として、神島神社を建立しました。夏や秋の大祭では、「ちはや」と呼ばれる白い装束を着た若者が担ぐ、約400㌔にも及ぶ大きな御神輿が勇壮に町中を駆け巡るそうです。国の無形文化財である、「五島神楽」の平流が奉納される神社。敷地内には弥生時代の遺跡「松原遺跡」が出土し、古くから人々が住み心地の良い場所であったことを示しています。
今回宿泊した神島神社から近くにある、漁師旅館の中村家さんは、本当に素晴らしい心温かなおもてなしをしてくださるお宿で、宇久島の恵みたっぷりのお食事も最高でした。また、商工会の女性部の皆様からいただいた郷土菓子「かんころ餅」も、優しい甘みがやみつきになりそうな味で、お土産におすすめ。薄く切って、トースターで5分ぐらい焼いてみてください。
「かんころ」は五島地方の方言でサツマイモを薄く切って、ゆでた後に日干ししたもの。お餅に、かんころを混ぜたものが、かんころ餅です。五島地方の冬の保存食として、今も各家庭で作られているようです。
神島神社までのアクセスは、宇久平港から徒歩5分程度。
■旅人・執筆 石井 亜由美
カラーセラピスト&心の旅研究家。和歌山大学、東洋大学国際観光学部講師を歴任。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。

