【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その55- 比叡山延暦寺・横川中堂&元三大師堂(滋賀県大津市) 比叡山の奥地・横川の旅 僧侶のおみくじカウンセリングも
2025年11月9日(日) 配信

私にとって、滋賀県大津市にある天台宗の総本山・比叡山延暦寺というと、煮詰まったり、日ごろのけがれのようなものを追い払ったりと、俗世間から解放されたいときに訪れたい大好きな聖地です。鬱蒼とした奥深い緑の樹木と神聖な空気に包まれた寺院が、大変居心地が良いのです。
比叡山の東麓、琵琶湖に面した坂本で生まれた、聖徳太子を尊敬されていた最澄(のちの伝教大師)が、788年に根本中堂(国宝)を創建されました。私はいつも京都駅からバスに乗って向かうのですが、比叡山バスセンターを下車し、数分歩くと、この根本中堂がありますが、現在は廻廊と共に、大改修が行われています。改修中も、参拝することができます。ぜひとも、根本中堂・内陣にある(幾つかの説はありますが「油断大敵」という言葉が生まれた1200年ほど続いている)「不滅の法灯」もご覧ください。
最澄が一生涯守り続けた「法のともしび」とは、「生きとし生けるものすべてが等しく悟りを開くことができる種を持っている」という法華一乗の教えです。この教えのもとに最澄は、延暦寺を山修山学の道場とし、私の好きな言葉「一隅を照らす」、国宝的人材育成の学問と修行の道場としました。
ユネスコ世界遺産にも、認定。延暦寺は甲子園500個分に及ぶ広大な土地であり、比叡山全域を修行道場とし、「東塔」「西塔」「横川」の3つの地域で構成。ぜひ、ランチに比叡山そばを召し上がってみてください。寒い時期ですと、そばのうま味と温かさがじゅわっと心身を潤してくれます。

さて、今回の精神性の旅では、延暦寺の奥地エリアである、横川中堂と元三大師堂について、ご紹介していきます。
延暦寺の横川は、慈覚大師円仁に開かれ、「死後どうしたら極楽浄土の阿弥陀様のもとに行けるのか」を説いた本「往生要集」の作者である源信、親鸞、日蓮、道元など、名僧たちが修行に入った、奥深い樹木に包まれた秘境のような聖地。中には、恵心堂があり、ここで源信は「往生要集」を書き、後の浄土宗や浄土真宗などの源となる日本浄土教の基礎を築きました。

その横川に入った途端、また空気感が凛として引き締まる思いが生まれてきます。横川の中心が、朱色の横川中堂。舞台造りで、船が浮かんでいる姿に見えるのが特徴です。ご本尊は、慈覚大師円仁作と伝えられる、国の重要文化財の聖観音菩薩様。
そして、おみくじの祖として親しまれていた、比叡山中興の祖・元三大師良源をお祀りする、元三大師堂(四季講堂)が、横川中堂から数分程度にあります。全国の元三大師信仰の中心地。現代で行われている、おみくじは、元三大師が考案したと言われており、角大師の護符を授与していて、強力な厄除け・魔除けの護符とのこと。近くには、元三大師の御廟もあります。

この元三大師堂では、予約制で僧侶の方による「おみくじカウンセリング」というものがあります。私も、実際に受けさせていただきました。渡された紙に、氏名と住所と悩みを簡潔に書きます。その後、お部屋で僧侶の方と対面で、自分の悩みをお伝えします。
その際に、私の悩みは「AかBか。どちらに決めたらいいのか」というハッキリした悩みではなかったので、それではおみくじは引けないということで、とことん僧侶の方が熱心に優しく、真摯にアドバイスをしていただき、ありがたかったです。
皆様も、おみくじカウンセリングに、2つの選択に迫られたお悩みがあり、まとまったら、受けられてみると良いかと思います。アクセスは、比叡山バスセンターからバスで13分程度、横川下車。
■旅人・執筆 石井 亜由美
カラーセラピスト&心の旅研究家。和歌山大学、東洋大学国際観光学部講師を歴任。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。

