【特集 No.678】和多屋別荘 嬉野の「本来価値」創る実験場に

2026年4月1日(水)配信

 和多屋別荘(小原嘉元社長、佐賀県嬉野市)は、旅行新聞新社が取材活動などを通じて見聞きした観光業界の取り組みのなかから、創意工夫の見られるものを独自に選び表彰する「日本ツーリズム・オブ・ザ・イヤー2025」(2025年12月1日号発表)のグランプリを受賞した。和多屋別荘の2万坪の敷地には多種多様な企業が入居し、目に見えない嬉野の歴史的伝統文化(地域OS)を再価値化し、“本来価値”として提供していく「生きた実験場」となっている。小原社長にインタビュー取材した。

【本紙編集長・増田 剛】

“2万坪の敷地の管理人”

 ――和多屋別荘では、旅館の常識を覆す挑戦が行われています。

 2020年3月5日、新型コロナの本格化により宿の休館を検討するタイミングで、企業のイノベーション創出や地方創生事業を手掛ける「イノベーションパートナーズ」(本田晋一郎社長)が入居しました。

 「東京の企業が和多屋別荘内にオフィスを構え、社員は温泉に入りたい放題」と、あらゆるメディアから発信され、大きな話題となりました。それから6年間、取材や視察などが途切れることがありません。

 全130室のうち30室を「オフィスの場」として改修している最中で、入居企業は現在18社まで増えました。各企業から月額20―120万円の家賃をいただいています。将来的には40社ほどを見込んでいます。

 和多屋別荘の2万坪の敷地内に、上場企業や食、農、エネルギー、ヘルスケアなど多種多様な企業が入居しており、嬉野の歴史的伝統文化の再価値化を探求する「生きた実証実験の場」となっています。

 実験場の拠点は、当社とイノベーションパートナーズが共同運営する「温泉インキュベーションセンター」(OIC)です。OICが推進する新プロジェクト「URESHINO LIVING LAB(嬉野リビングラボ)」が今年2月から本格始動しました。業種や領域がまったく異なる入居企業のスタッフ同士が、館内の温泉や食堂で一緒になることもあり、家族の一歩手前のような親しい関係性が生まれているのが大きな特徴です。

 21年には館内にパティスリーブランド「ピエール・エルメ・パリ」や日本香堂など7店舗が同時オープンしました。同年11月には蔵書数1万1千冊の書店「BOOKS&TEA 三服」が開業し、テナント数は23店舗まで増えました。

 出店には嬉野が有する「1300年の温泉」、「500年のうれしの茶」、「400年の肥前吉田焼」といった唯一無二の文化資本(地域OS)への関心や理解、リスペクトが絶対条件です。

 和多屋別荘には年間5万5千人の宿泊客と、10万人の日帰り客を合わせて約15万人が訪れます。サテライトオフィスの18社とテナント23店舗の企業群は、この実験場で我われが介在しなくても、脳神経がつながり合うように日夜、新たな共創ビジネスが生まれています。

 館内には嬉野を代表する茶農家のセレクトショップやレストラン、ティーカウンターをはじめ、JR東日本「Suica(スイカ)」のペンギンをデザインした坂崎千春氏のミュージアムや、「フレグランスバックを作る」などさまざまな体験プログラムも用意しています。

 1階フロアはターミナル駅のような感覚で、地元の人たちと、宿泊のお客様が訪れるエリアとなっています。将来的には美術館や劇場の開設も視野に入れています。

 旅館のフロントにある空間「ポップアップストア」では、月替わりでショップの出店やコラボ企画が展開されています。ナショナルブランドのアウトドアメーカーなどは3年先の春秋シーズンを押さえています。企業経営者を中心に館内視察に訪れますが、視察ツアー中にさまざまな契約を交わすケースも多くあります。

 ――視察ツアーは小原社長が説明されるのですか。

 2020年から、2時間―2時間半のコースで私が館内をプレゼンしながら案内します。サテライトオフィスやティーツーリズムに関わる視察が増えて、年間1千人超が申し込まれます。大部分が経営者で、新しい発想やつながり、ビジネスが生まれてきました。

 6年間無償でやっていましたが、2月1日からは1人1万5千円に設定し、さらに質の高い視察ツアーとなっています。

 4月1日には、日本の旅館で初めて調剤薬局が館内に開業します。お抱えの薬剤師がいることになり、薬剤師と調理人が健康寿命を延ばす薬膳料理や、茶師と薬剤師による薬膳のお茶の提供、調香師と薬剤師と料理人によるガストロノミーのイベントなど、さまざまな可能性の広がりが期待できます。

 薬剤師だけでなく、お抱えの大工さんもいます。客室をサテライトオフィスへ改修するために、敷地内に大きな大工小屋を作り、高齢の大工さんを雇用しています。

 このため1部屋の改修費も相場の5分の1に抑えることができました。また、必要なものを紙で書くと理解してすぐに作ってくれます。アフタヌーンティーの備品なども、大工さんの時給とホームセンターでの材料費でできてしまうのです。建物の維持や修復だけでなく、新たな事業を育むためにしっかりと機能しているところが面白いと思います。

 このほかにも、入居企業のイノベーションパートナーズにホームページの運用もお願いしているため、当社の広報スタッフとの打ち合わせや発信もスピーディーに進められる利点があります。さまざまな企業から家賃をいただきながら必要経費を支払うかたちで、これまでになかった画期的な事業も次から次に生まれています。

 昨年4月には、日本で初めて外国人(高度人材)の日本語学校を旅館内に開校しました。「ICA国際会話学院 嬉野校」は、1学年定員50人の2学年制で、今年4月から計100人が在籍することになります。

 中央アジアや欧州などから現地の4年制大学や工科大学を卒業し、銀行などで勤務した人が中心で、公用語は英語です。いずれ嬉野の酒蔵や茶農家のDX化やアグリテックなどの分野で彼らの知識や技術を生かしていければと思っています。

 ――自らを「2万坪の管理人」と呼んでいます。

 2013年1月1日に36歳で事業承継した当時は、前途多難な状況にあり、愚痴も漏らしていました。しかし、嬉野が持つ文化の深さに畏敬の念を感じ始めてから、自分自身の価値観が大きく変わっていきました。

 たまたま祖父の時代から宿をやっているだけで、自分を旅館経営者と思ったことはなく、職種は「2万坪の敷地の管理人」と思っています。そこから生み出したのが三層ストラクチャー(構造)です。

 三層の土台には、普遍的な価値である「温泉」「うれしの茶」「肥前吉田焼」などの地域OSが存在します。その上の第二層には、和多屋別荘の2万坪の豊かな土地があり、最上層の第三層にはサテライトオフィスやテナントなどが生み出す共創ビジネスがあります。

 この構造は「2万坪を1泊2食の旅館業だけで使っていくのはもったいない。もっと可能性のあるビジネスに利用した方がいい」という考え方を明確に示しています。

 和多屋別荘はもともと団体客も、個人客も受け入れる総合デパート的な旅館でした。高級グレードから、学習塾や修学旅行の1泊3食8千円まで、すべてを受け入れていました。皆の努力で一定の売上と利益が出ていたため、これらニーズを否定することは難しい。しかしこれを続けている限り、宿の高付加価値化はできない。そこから早く脱出したいと思っていました。

 私は、ずっと以前から「1泊2食」という旅のスタイルに甚だ疑問を感じていました。10年間朝ごはんを食べる習慣が無いと話す宿泊客に対して、150種類のバイキングメニューを平気で薦めていました。それであるならば、着物を着た人が嬉野茶を提供した方が、よほど価値が高いだろうと感じていました。

 当社スタッフをはじめ、館内のワーカー、テナント入居スタッフの方々も含めて250―300人を「2万坪の小宇宙」と捉え、地域で生きる経済的な価値を徹底して求めながら、豊かな心と未来のある生活が描けるのであれば、嬉野市まで広げていきたい。自分がこのまちで生まれた恩返しになりたいと本気で考えています。「2万坪の敷地内GDP100億円の創造」という大きな目標へ邁進しています。

 和多屋別荘の売上は約13億円。これを20億円まで成長させる計画です。一方、入居する18企業の嬉野に関わる事業の売上は約4・5億円ですが、数年で和多屋別荘の売上と匹敵する規模まで育っていきます。近い将来、残りの80億円は、地域OSとの掛け算による新たな事業を生み出す企業群が創出していくと考えています。

 これまでの「旅館に泊まる」や、「通う旅館」など、旅館が主語の時代が終わり、これからは、サテライトオフィスや学校などの事業や商品も加わり、「地域課題の解決」や、「次代の嬉野を創る」といったことが主語となる段階へと、少しずつシフトしています。

 ――「文化資本の本来価値を大切にしたい」と話されています。  

 旅館では基本的にお茶は99%無料です。私たちも恥ずかしいことに10年前は無料でした。しかし今は、館内では試飲用のお茶以外はすべて有料です。

 嬉野市内で約200人のお茶農家さんが栽培をした生葉の全収入は、約12億円です。昨年、当館は液体のお茶だけで3300万円を売り上げました。旅館内では1杯800円が限界だったので、茶畑という空間で1杯1万円まで価値を高めています。

 数百年の時間を経て創り上げて先行投資された“目に見えない地域資本”を、地元の人が「本来価値」で販売すべきだと考えます。

 この考えに基づいたティーツーリズムによる茶空間体験で3千万円を稼ぎ出すようになりました。大切にしていることは、「背伸びしない日常に価値がある」ということです。背伸びした瞬間にイベント化します。

 茶農家は、子供のころから触れている肥前吉田焼で、「今年八十八夜に摘んだお茶をどうぞ」と言っているだけです。コックコートを着るくらいのデザイン性は持たせますが、あくまで背伸びをしない。これこそが「本来価値」であり、訪れる人には、最も価値が高いものだと確信しています。

【本紙1969号または4月7日(火)以降日経テレコン21でもお読みいただけます。】

【対談】観光庁観光資源課 矢吹周平課長×跡見学園女子大学 篠原靖准教授 地方誘客で観光需要の平準化へ

2026年4月1日(水) 配信

 観光庁は、持続的な地方誘客により観光需要の平準化につなげるため、2026年度事業を拡充する。地域資源を活用した観光まちづくりを推進するための施設整備や、観光需要分散に向けたコンテンツ化を支援する新事業に取り組む。同事業を担当する観光庁観光地域振興部観光資源課の矢吹周平課長と、内閣府地域活性化伝道師・跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の篠原靖准教授が対談し、支援事業の方向性や地域への期待を語り合った。

観光資源のコンテンツ化支援、面的活用に向けて事業対象拡充へ

 篠原 矢吹課長は25年夏から観光資源課長に就任されましたが、これまでの期間を振り返り、日本の観光に関する所感をお聞かせください。

 矢吹 着任して半年ぐらいですが、色々な現場を見させてもらい、「地域を元気にしたい」という強い思いを皆さん持たれていました。文化財や工芸品など、地域資源を活用して観光客を呼び込みたい。地域に経済活動が生まれることを期待されている一方で、「自分の地元が誇れる地域だ」と力を込めて言っていきたい気持ちを非常に強く感じました。

 地域に国内外から訪れていただき、「良いところだった」と感じながら帰られることは、地域の人にとっても嬉しいことです。そうした思いを観光庁として支えることができればと、着任してからより強く感じました。

 篠原 観光には経済的な効果のほか、シビックプライドを育てて地域愛を持ってもらい、自分たちのまちを次世代に継承できるようにする効果、役割があるのではないでしょうか。

 矢吹 その通りです。観光だけでできるとも限らないですが、観光は有効なツールになることは間違いないと思います。地域を次世代につないでいくことが非常に大事であると考えています。

 篠原 今年は観光立国推進基本計画も新しく改定されますが、日本の観光の在り方が大きく変わっていくのでしょうか。

 矢吹 25年は訪日外国人旅行者数が初めて4千万人を超えて過去最高を記録し、訪日外国人旅行消費額が約9・5兆円と10兆円に届く勢いとなりました。観光は国全体でみると外貨を多く稼ぐ産業になっており、これからも成長分野であると考えています。今後も国の成長戦略として、大きく期待されていると感じています。

 篠原 新たな観光立国推進基本計画の数値目標を達成するため取り組むことがベースにありますが、観光消費額の向上と地方への需要分散が課題と認識しています。

 矢吹 観光立国推進基本計画の目標数値は、地方への需要分散が進んでいるかの指標でもあります。地域に経済活動が生まれるためには、どれだけの人が足を運んでいるのか、どのくらい消費をしているのか複眼的に数字を見ていくことが、課題に対してさらに必要になると考えています。

 篠原 昔と比べて観光客の価値観が変わってきていますから、地域の中で稼ぐような仕組みをしっかりと地域側がつくらなければ、国が補助事業を実施しても消費額はなかなか上がりません。

 矢吹 「戦略は細部に宿る」という言葉がありますが、細かい工夫の積み重ねが観光消費につながると考えています。例えば、お土産を小分けにしてお洒落な包装にするなど、細かい工夫も大事で、そういった地域の工夫を積み上げていくと良い方向につながっていくと思います。お客さんのニーズに合わせた商品設計や、売り方の設計を追求するということです。

 篠原 観光消費額を上げることに加え、地産地消の観点が重要です。道の駅でみると、流通に載せられない規格外のイチゴを買い取り、ソフトクリームに加工して売っています。地域の中で経済が回るような仕組みも含め、観光客が地域にお金を落としていただくものにつなげられるか、考えなければなりません。

 矢吹 観光客は見学や宿泊、飲食をして帰るだけでも楽しかったと感じてもらえますが、地域側は回遊してもらうための観光資源をどれだけ積み重ねできるかが重要となります。地域の産品であれば、農業体験や生産者見学などの一次産業や、加工業とも結びつけられます。これまで点であった観光資源を結びつき、束ねていくことで、地方分散の促進や、地域の活性化につながります。このような観光資源を結びつけて「線」にして、「線」をつないで「面」にしていくことが大事ではないかと考えています。

 篠原 現在は観光の形態が団体型の周遊旅行から、体験・滞在・交流の3つを重視する傾向に進んでいます。地域との交流で密着度が高められれば、「第2のふるさとづくり」を推進する観光庁の施策にもつながり、それから関係人口として心の中に残れば、ふるさと納税にもつながります。

 そのため、国の方針として「稼ぐ観光」を推進する支援事業に力を入れていますが、観光庁では地域にもう一度見直してやれるべきことを発掘してもらい、応援していくという図式でしょうか。

 矢吹 地域の魅力を発掘していき、体験や交流といったコンテンツを埋め込んでいかなければ、消費に結びつかないのが現状です。体験・滞在・交流の3つをこれから重視していくことが必要と感じています。

 篠原 観光の現状の中でも、依然として都市部や一部地域への一極集中が続いており、オーバーツーリズムの問題もさまざまで、インバウンドの受け入れと住民生活の質の確保を両立していけるのか大きな問題です。地方への需要分散には、日本中からさまざまな観光資源を拾い上げ、そして磨き上げていくことが、何よりも大切になることは間違いないです。

 26年度に向けた観光庁事業の方針について、お話いただけますか。

 矢吹 観光資源の磨き上げに向けて、方針としては前年度まで取り組んできた調査事業や補助事業の拡充が、大きなテーマの一つとなります。

 これまでは城や社寺、古民家などの宿泊・滞在型コンテンツを軸に、周辺の歴史的資源を面的に活用した観光コンテンツの造成を支援する「歴史的資源を活用した観光まちづくり推進事業」を行ってきました。26年度は幅を広げ、歴史的資源のほか、食や自然、文化分野の観光資源も対象にした「地域の観光資源充実のための環境整備推進事業」(26年度予算40億円)に取り組みます。

 例えば、酒蔵に体験の拠点となる施設整備の支援を行うことで、コト消費につなげていく。一個一個の点であった観光資源を地域のストーリーとしてつなぎ、面的かつ一体的な観光まちづくりを推進し、観光の磨き上げを支援していきます。

 篠原 地域資源を活用した観光コンテンツの造成や効果的な磨き上げ、情報発信、販路の拡大といった事業に人気が集まる傾向があります。

 昨年度は、観光コンテンツの造成を中心に支援する「地域観光魅力向上事業」が行われ、全国で約600件の事業が展開されました。後継事業の「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」(25年度補正予算49億円)は、どのようなお考えですか。

 矢吹 「観光需要分散のための地域観光資源のコンテンツ化促進事業」は、地方誘客を進めるため、地域ならではの観光コンテンツの供給促進を目的としています。多様な地域資源を活用した観光コンテンツの造成や情報発信のほか、販路開拓が中心となる取り組みなどを総合的に支援する補助事業となります。

 インバウンドの地理的・時間的な需要分散が観光の平準化につながり、地域への滞在を促すためのコト消費を生み出す取り組みです。

 篠原 これまでも国の政策として、地方への需要分散やオーバーツーリズム対策を推進してきましたが、さらに具体化した事業になります。

 また、日本の伝統工芸品の分野に関しても、職人たちが廃業に至ってしまい、脈々と引き継がれてきた伝統的な産業がどんどんと衰退しているのが実情です。今回の取り組みのように、特別な体験、滞在、交流の3つをセットすることで、隠れた観光資源でもある伝統工芸品が世界に向けて、クローズアップができるのではないでしょうか。

 矢吹 日本は長い歴史と文化があり、地域に根付いている多様な文化を感じられる伝統工芸品は、強い観光資源になりうると思います。とくに海外の富裕層には、伝統工芸品そのものの素晴らしさに加えて、その生産者が持つ技術や、費やした時間も尊敬の対象となるでしょう。

 したがって、既に完成したものを買うだけではなく、職人の方がどれだけの技術と時間をかけて、細部まで丁寧につくっているのか。それを体験したり、交流を通じて感じてもらうことが重要ではないでしょうか。

 職人さんへの尊敬や、応援する気持ちがお土産の購入や口コミで広がり、リピーターや新しいお客さんが訪れてくる。当然、職人さん自身はつくることが仕事ですから、観光側の工夫でコンビネーションを取って、観光資源にしていくことが、これからの大事な視点ではないでしょうか。

 地域の伝統産業だけではなく、観光資源をどう次世代につないでいくのか、大きな課題と認識しています。課題解決の一助として、観光をきっかけに販路を伸ばし、次世代につながっていくモデルを描いていきたいと考えています。

 篠原 地域内で精神性を含めた職人の魂を伝えられるような関係性ができると、伝統工芸品が観光資源として、さらに深くつながります。

 矢吹 そうしていきたいです。伝統工芸品がない地域もあるかもしれませんが、独自の食文化があるはずです。日本酒も非常に評価が高い。それら地域文化にストーリー性を持たせることで、良質な日本を感じられる一つのコンテンツになります。今回の事業を通じて、これらを見つけていきたいというのが、私たちの願いとなります。

 篠原 観光資源のさまざまな専門的な分野ごとの掘り下げのチャンスを提供されています。観光資源課の補助事業を地域の皆さんに知っていただけたらと思います。

 矢吹 私は多様性が好きなので、日本には多様な価値のある観光商品があり、地域には人を惹きつける魅力あるコンテンツがあふれ、それを追求すべきではないかと思っています。我われも多様なアイデアを発見し、感動するものが見つけられると良いなと思います。

 篠原 これから日本の観光が大きく変わる1年になると思いますので、地域の皆さん、日本中の観光を目指す皆さんに対して、矢吹課長からコメントいただけますか。

 矢吹 観光資源課が行う仕事は、地域で感動をつくっていく仕事だと思っています。私たちの地域が良いところであると発信する仕事であり、観光庁として一緒に頑張っていければと思います。

日本生産性本部、第2回生産性白書を発表 「AI時代では人が価値創出の先導を」

2026年3月31日(火) 配信

小林喜光会長

 日本生産性本部(小林喜光会長)は3月30日(月)、「第2回生産性白書『人口減少社会の生産性改革~人とAIの共生~』」を発表した。「人口減少による労働力不足が深刻な日本でAIは労働力を補完する。人は人間らしい仕事をし、価値創出を先導する経済社会を構想しなければならない」と生産性改革の実践を提言した。

 同白書では冒頭、人口減少による国際競争力の低下に抗うには投資の拡大を通じた1人当たりの付加価値の増大が不可欠と指摘。こうしたなか、AIが驚異的なスピードで進化を遂げ、日本ではAIの活用によって労働力不足による供給制約を克服することが期待できるとの見方を示した。

 「AIは言語力・計算力などで人間を凌駕しつつあり、社会構造の変革を迫っている」との認識を示し、「人間はAIをパートナーとして、心や感性で新しいアイデアを創造し、新たな価値と豊かさを生み出すことが必要になる」と提言している。

 さらに今後、事務的業務の一部やロボティクスの普及で、現場作業に求められるスキルが変化せざるを得ないと指摘。AIを使いこなす学び直しに向けた人材への投資と、生産性向上の好循環を生み出すべきで、実質賃金の継続的な上昇を実現し、労働者の生活安定と企業発展を両立させることが重要となるとの考えを示した。

 最後に「人とAIの協働・共生により、人間の価値と能力を高める仕事の創出が求められる」とまとめた。

 同日に開いた記者会見で、小林会長は日本での人材投資が他国と比べて少ないことに言及し、「(投資による)経済成長の基本は、いかに日本市場の魅力を高めるかにある」として、AIとの共生による社会の在り方の変革を促した。

JTB、本社オフィスを移転 5月に汐留シティセンターへ

2026年3月31日(火)配信

写真はイメージ

 JTB(山北栄二郎社長、東京都品川区)は5月7日(木)、本社を移転する。新住所は東京都港区新橋1丁目5番2号の汐留シティセンター32階。

 新オフィスでは、多様なコラボレーションスペースを設け、社員同士の活発な交流と部門を越えた連携を促進する。Activity Based Working(活動に応じた働き方)を本格導入することで、社員一人ひとりが最適な場所で業務に取り組める柔軟な働き方を実現し、生産性向上と従業員満足度の両立を目指す。

 「共創スペース」を32階に新設し、社外との交流を通じて、新たな価値創造やビジネス創出、既存事業の発展、社会課題の解決を促進する拠点となる場を用意する。

KNT-CTHD、事業体制を刷新へ 個人旅行はクラツーに集約

2026年3月31日(火)配信

 KNT-CTホールディングス(小山佳延社長、東京都新宿区)は、4月1日付の同社とグループ会社のクラブツーリズム、近畿日本ツーリスト、近畿日本ツーリストブループラネットの組織改編を発表した。KNT-CTグループの個人旅行事業と仕入部門をクラブツーリズムに集約し、一体運営の進化と顧客創造事業の拡大を目指す。

 同HDは今年2月に取締役会を開き、クラブツーリズム、近畿日本ツーリスト、近畿日本ツーリストブループラネットと2027年4月を目途に統合し、一社化する基本方針を決めている。

 今回の改編により、クラブツーリズムではマーケティング本部に「リテール事業部」を新設し、そのもとに直営店舗を配し、個人旅行販売と提携販売事業を行う。また、個人型企画旅行に関する戦略策定や販促を行う「国内パーソナル旅行部」と「海外パーソナル旅行センター」を新設する。一方で、クラブ1000事業部と営業企画部を廃止し、新たに「クラブ・コミュニティ事業部」を設ける。

 近畿日本ツーリストでは、統括本部と支社を廃止し、エリアを軸とした営業体制を改編する。法人MICE事業部と公務・地域共創事業部を統合し、「コーポレート・ビジネス事業部」を新設。全国各地で地域に根差した営業活動で地域活性化を推進する「リージョナル・ビジネス事業部」を新たに設けるほか、教育旅行事業部を「エデュケーショナル・ビジネス事業部」に改称し、全社の教育旅行・教育周辺事業の強化に取り組む。

 バックス部門としては、事業推進本部内に「営業企画部」「国内旅行部」「海外旅行部」を新設。総務部は「総務CSR部」に改称する。

 近畿日本ツーリストブループラネットでは、クラブツーリズムへの機能移管により、「国内BP・DP企画センター」「海外BP・DP企画センター」「ウエブ販売センター」「会員・マーケティング部」「保険部」を廃止。グローバル営業部を「営業本部」へ移管し、セルフガイドツアー営業部は「セルフガイドツアー営業支店」へ改組する。意思決定のスピードと現場対応力を高めるため、営業本部の直下に各支店を配置される。

ジャパネットがパサージュ琴海の株式取得 ゴルフ事業やホテル事業承継

2026年3月31日(火) 配信

 

 ジャパネットホールディングスのグループ会社で、ゴルフ事業を行うジャパネットゴルフ&リゾート(岩下英樹社長、長崎県長崎市)は3月31日(火)をもって、NIPPO(和田千弘社長、東京都中央区)から、パサージュ琴海(橋本祐司社長、長崎県長崎市)の株式を含む琴海事業(ゴルフ・ホテル事業)を承継した。

 ジャパネットグループは通信販売事業に並ぶ2つ目の柱として、2019年からスポーツ・地域創生事業を進めている。サッカースタジアムや商業施設、ホテルなどからなる大型複合施設「長崎スタジアムシティ」、プロサッカークラブ「V・ファーレン長崎」とプロバスケットボールクラブ「長崎ヴェルカ」の運営をグループ内で行っている。

 今回の承継を通じ、試合観戦やイベントなど長崎スタジアムシティをきっかけに訪れる国内外のVIPや観光客に魅力ある滞在体験を提供したい考え。「長崎スタジアムシティ」の活気と、大村湾のリゾート体験をシームレスに結び付け、これまでにない「長崎滞在型観光」の構築を目指す。

 ジャパネットホールディングスの高田旭人社長兼CEOは、「大村湾の自然と調和し、『気品と歴史』が溢れるパサージュ琴海は、長崎を訪れる価値をさらに高めてくれる日本有数のゴルフコース。これまで積み上げられてきた素晴らしさを大切に守りながら、グループ一丸となってさらに磨きをかけていく。地元の皆様に愛され続ける場所であり、かつ全国から長崎を訪れるゴルファーにとっても目的地になるような、唯一無二の魅力を創造していく」とコメントしている。

【人吉温泉女将の会さくら会】 創立30周年記念祝賀会、盛大に開く 有村政代会長「全旅館が心ひとつに」

2026年3月31日(火) 配信

人吉温泉女将の会さくら会を代表して有村政代会長があいさつ

 熊本県・人吉温泉女将の会さくら会(会長=有村政代・清流山水花あゆの里女将)は3月22日(日)、創立30周記念祝賀会を、人吉市内の清流山水花あゆの里で開いた。

 30年前の九州自動車道が鹿児島まで開通することにより、「人吉温泉が通過都市になる」との危機感から、さくら会が結成された。

 有村会長は、「近年のコロナ禍や豪雨災害など、大変な環境を乗り越えられたのも、さくら会という結び付きがあったからこそ。全旅館が心ひとつになった“団結の証”です」と語った。

 来賓には、金子恭之国土交通大臣をはじめ、木村敬熊本県知事、塩田康一鹿児島県知事、松村祥史衆議院議員、青柳俊彦九州旅客鉄道取締役会長らが登壇し、30年間守り続けてきた尽力に対して祝辞を述べた。

 松岡隼人人吉市長の乾杯で祝宴に入り、さくら会の女将たちが参加者をもてなした。

新旧交代セレモニーも行われた。(左から)有村会長、堀尾新会長、田口副会長、村田新副会長

 当日、新旧交代のセレモニーも行われた。有村政代会長、田口妙子副会長(旅館芳野)から、新会長に就任する堀尾里美女将(人吉旅館)、副会長に就任する村田優子女将(ホテルサン人吉)にバトンが引き継がれた。

バファローズのコラボルーム今年も販売 クロスホテル大阪、1日1室限定で

2026年3月31日(火) 配信

「Bs ROOM 2026」 イメージ

 クロスホテル大阪(水谷之則総支配人、大阪府大阪市)は3月30日(月)から、1日1室限定のオリックス・バファローズコラボルーム「Bs ROOM 2026」を売り出した。合わせて、本拠地京セラドーム大阪スーパーエグゼクティブシートでの観戦チケットがセットになったプランの販売も始めた。

 同コラボルームは22年からスタートし、5年目を迎える。客室の扉はバファローズの新しいロゴと、球団カラーのゴールドとネイビーをバランスよく配した。

 室内はホテルの公式アカウントで理想の客室アイデアを募集するキャンペーンで寄せられたアイデア「人工芝を敷き詰めた床」を採用。右側には球団応援歌「SKY」の歌詞が組み込まれた京セラドーム大阪のパノラマウォールシートを、左側には選手のサインがデザインされたウォールシートを配した。奥は選手画像を使用したストリートアート調のウォールデザインとなっている。

 また、「選手のロッカールームをイメージしたクローゼット」や「選手が座るベンチを模した椅子」は昨年に引き続き設置しており、さまざまな角度からバファローズを感じられるホテルステイが楽しめる。

 宿泊日は27年1月31日(日)まで。料金は2人1室1泊2万7100円~。観戦チケット付きの宿泊プランは、4月7日(火)~9月26日(土)までの主催試合日61日間で、料金は4万6300円~。

相撲ショー施設 3月大阪府・新世界に

2026年3月31日(火)配信

発表会には元横綱白鵬の白鵬翔氏(中央)らが登壇

 大阪を代表する観光スポット「新世界」に3月11日(水)、日本の国技「相撲」とアートを融合させた新感覚の体験型施設「大阪相撲 新世界」がオープンした。場所は、JR大阪環状線・南海電鉄「新今宮駅」から徒歩約2分の商業ビル「相撲横丁」1階。

 本物の土俵を設けた館内は、浮世絵をポップアートのようにアレンジしたビジュアルなどで演出。伝統とモダンが溶けあう独特の空間で、元力士たちによる本格的な相撲ショーを楽しむことができる。目の前で繰り広げられる取り組みは、立ち合いの緊張感や激しくぶつかりあう音など、迫力満点。また、相撲スーツを着て力士に挑戦する土俵体験も味わえる。

 この地は、1919年に新世界で完成した大阪国技館の跡地からほど近く、江戸時代から200年以上にわたって受け継がれてきた大阪相撲に縁の深い場所。企画・演出は、大阪・関西万博で国際イベント「SUMO EXPO 2025」を手掛けたチームが行う。

 相撲ショーは、毎日午後6時と8時の2回実施。公演時間は約45~60分。月曜定休。料金は、入館料にカツサンドとドリンク1杯が付いて大人1万2000円、子供6000円。4月30日までは、オープニングキャンペーンとして、大人1万1000円、子供5500円。

JB四国としまなみ 遊覧船と塔頂体験 26年度春期の受付開始

2026年3月31日(火)配信

塔頂から瀬戸内海の絶景を望む

 本州四国連絡高速道路(JB四国、後藤政郎社長、兵庫県神戸市)と、しまなみ(村上秀人社長、愛媛県今治市)は、瀬戸内しまなみ海道の人気体験型ツアー「来島海峡遊覧船&塔頂体験(くるくるクライム)」における2026年度4~6月開催分の参加を受け付けている。

 同ツアーは、日本三大急潮流の一つである来島海峡を遊覧船で巡る体験と、瀬戸内しまなみ海道に架かる来島海峡大橋の主塔(高さ約180㍍)への登頂をセットにしたもの。

 25年度における参加者数は800人を突破し、前年度比78%増と大きく伸長した。テレビ番組での紹介などメディアでの露出も追い風となり、認知度が急速に拡大している。

 来島海峡遊覧船&塔頂体験は、4月25日~6月28日までの土・日曜日を中心に(ゴールデンウイーク期間は除く)、それぞれ午前と午後の2回実施される。所要時間は2時間30分ほど。集合・解散場所は愛媛県今治市吉海町の下田水港で、しまなみ来島海峡遊覧船による移動後、馬島から来島海峡大橋の主塔へアクセスする。料金は1人8250円(税込)。定員は各回30人で、最少催行人数は8人となっている。

【土橋 孝秀】