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日本旅館協会、キャンセル料問題を議論 宿と利用客の納得に向けて

2026年3月4日
編集部:長谷川 貴人

2026年3月4日(水)配信

パネルディスカッションのようす

 日本旅館協会(桑野和泉会長)は2月19日(木)、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された第54回国際ホテル・レストラン・ショーで、セミナー「泣き寝入りしない宿経営―キャンセル料から見える未来戦略―」を開いた。宿泊予約のキャンセルに関するトラブルが増加し、宿にとって大きな課題となるなか、キャンセル料に関する法律的な解釈や現行の法的枠組みを解説し、宿泊施設と利用客双方の理解と納得を得るための具体的な対策を提示した。

日本旅館協会の桑野和泉会長

 桑野会長は、宿泊取り消しに伴うキャンセル料の徴収について「適正な対価を受け取り、準備していたスタッフの努力を守る」と強調。「お客様の予約機会を公平に確保することが持続可能な宿経営、そして日本の観光業の未来のため不可欠な規律」と説明した。

 このうえで、「キャンセル料を適切に管理・運用することは、時間の価値を守り、顧客との健全な信頼関係を築くための経営戦略そのもの。今回のセミナーが、宿経営を継続するための一助になれば」と語った。

 はじめに、同協会が昨年11月に実施した「キャンセル料運用状況アンケート調査」の結果を発表。同協会と全国旅館ホテル生活衛生同業組合(全旅連)の会員ら772人が回答した。

 調査結果によると、個人客からキャンセル料を「収受している」が92.6%で、大多数の施設が宿泊取り消しに伴う規定(キャンセルポリシー)を設定。しかし、収受割合でみると「ほぼ取れている」が46.7%と半数を下回り、多くの施設がキャンセル料による回収率の低さや客とのトラブル、事務作業の煩雑さに苦労していると答えた。

 団体客も「すべて収受」が32.4%にとどまり、旅行会社や企業との関係性で契約通りの収受が難しく、大幅な予約変更によるキャンセル対応が最も苦労していると回答。インバウンドに関しては、エージェントがキャンセル料を払わなくても良いと考える場合や、言語・文化の違いでキャンセルポリシーの理解が進みにくい点など、対応への課題が挙がった。

 今回の調査により、個人、団体客ともにキャンセルポリシーを設定しているが、実際には回収しきれていない構造的課題が浮き彫りになった。

請求課題と基礎を整理、Payn矢崎氏が講演

Payn取締役COOの矢崎達則氏

 セミナーでは、「キャンセル料の課題と法的基礎を整理する」と題し、キャンセル料の請求・回収業務を自動化する請求ツールを提供するPayn取締役COOの矢崎達則氏が講演を行った。キャンセル料に関する現状の課題と法的な基本情報を整理し、考え方の土台について解説した。

 矢崎氏は、消費者庁が実施した「キャンセル料に関する消費者の意識調査」の結果を基に、「旅行業界はあらゆる業界の中で、最もキャンセルの影響を受けるビジネス」と分析。とくに「ホテル・旅館などの宿泊」のキャンセル割合が30.6%と最も高く、宿泊事業者は消費者に対して、①適切な説明②妥当な金額③現地決済の回収導線――を提示することが重要との考えを述べた。

 キャンセルポリシーの原理原則として「予約は契約」「キャンセル料請求は債務不履行による損害賠償請求」であり、事業者はキャンセルに生じた損害を請求する正当な法的権利を持っていると解説。「経営者として正しい知識を持ち、無条件な免除や曖昧な対応ではなく正当な請求行為は適正に行い、泣き寝入り一択から脱却する意思を持つことが重要」とした。

現場の実践例を紹介、具体的な対策を議論

全旅連常務理事の山本氏(左)と、全旅連青年部副部長の小林氏

 パネルディスカッションでは、旅館・ホテルの経営者らがキャンセル料に対する取り組みを紹介し、具体的な対策について議論した。矢崎氏に加え、全旅連常務理事の山本剛史氏(喜びの宿高松、群馬県・草津温泉)と全旅連青年部副部長の小林篤史氏(ホテルニューステーション、長野県松本市)、日本旅館協会政策委員の内田宗一郎氏(古屋旅館、静岡県・熱海温泉)が登壇。モデレーターは日本旅館協会政策委員長の西村総一郎氏(西村屋本館、兵庫県・城崎温泉)が務めた。

 山本氏は、全旅連の第4部会である「宿泊料トラブル対策部会」担当として、ノーショー(無断不泊)やカスタマーハラスメント(カスハラ)など、宿泊料を回収できない問題への解決策を協議していると紹介。モデル宿泊約款の改正のほか、予約画面上で重要事項への同意チェックや予約時のクレジットカード認証の導入、カスハラ対策などを協議し、とくにノーショーの回収導線を提供したい考えを強調した。

(左から)日本旅館協会政策委員の内田氏と、政策委員長の西村氏、Payn取締役COOの矢崎氏

 内田氏は、キャンセル料がほぼ徴収できていない状態から、売上減を覚悟しながら全予約を事前カード決済に切り替えたが、ほとんどマイナス効果はなかったと報告した。団体予約も、予約部屋数に応じた階段式キャンセル料でリスクを適正化。事前決済の切り替えによって、「結果的にキャンセル徴収100%を達成した」と述べた。

 続いて、ビジネスホテルを運営する小林氏は、楽天トラベルなどの宿泊予約画面で提示されるキャンセル保険の仕組みを宿泊業界に取り入れることを提案。「抑止力になる保険というサービスを業界としても考えていただきたい」と語った。

 最後に、各登壇者から今後のキャンセル料問題に対する取り組みを宣言して会を締め括った。

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