「ノン・アイロン・リネン」を開発 工学博士・内藤耕氏インタビュー 労力の大幅削減と資金流失止める

2026年9月5日(土) 配信

「ノン・アイロン・リネン」で作業性が飛躍的に向上する

 工学博士の内藤耕氏は、生地メーカーと共同で、現場の負担を軽減する「ノン・アイロン・リネン」を新たに開発した。素材は、伸縮性に富んだ3次元形状のポリエステル100%生地のため、プレスが不要。内藤氏は「リネン洗濯の内製化フローで、作業性の飛躍的向上と現場の肉体的負担の大幅軽減を実現し、固定費の大幅なコスト削減につながる」と語る。導入した宿の実例をもとに、清掃・リネン洗濯の内製化の業務フローなど、詳しく聞いた。

【本紙編集長=増田 剛】

 ――宿泊業の成長産業化に向けた取り組みが活発化しています。

 そもそも宿泊業界は大変厳しい市場環境に晒されています。人口減少による内需の縮小から、多くの地方で客数減によって売上を増やすことが難しくなっています。団体客が減って主要な客層が個人化して、大きな投資を伴う宿泊施設の業態転換も迫られています。同時にインフレにより、ありとあらゆる経費が上昇しています。

 インバウンド客が増えている地域もありますが、人手が確保できず、「客室の清掃が間に合わない」、「調理スタッフの休日を確保できない」ことが常態化しています。なんとか人手を確保するために、賃金アップを含めたスタッフの抜本的な処遇改善にも努めなければならない状況にあります。

 つまり、売上高が増えない、たとえ増えたとしてもそれ以上に経費が増える厳しい状況が今後も続きそうです。

 一方、厳しい国際競争に晒されてきた製造業は、これまでさまざまな工夫をしてきました。その一つが、部品や製造方法の標準化で、これにより各メーカーは商品の開発やデザイン、ユーザビリティなどに、より専念できるようにしてきました。

 宿泊業などを含めたサービス産業では、このような取り組みはまだまだ未成熟で、結果として各現場でサービスの提供方法を一から組み立てることに多くの労力を費やしています。

 このような問題意識から、私はこれまでサービス産業の現場に使える部品として、労働時間管理法(稼働対応労働時間)、現場業務管理法(シフト編成ソフトopsplot)、リネン内製化(ノン・アイロン・リネン)、現場の業務フロー(リアルタイム・サービス法)を開発し、これらを裏付ける科学的理論(サービス・キネティクス原則)を提案してきました(詳しくは書籍「サービス産業・労働生産性の革新 理論と実務」旅行新聞新社)。

 今回は、その一つであるリネン内製化についてご紹介します。

内藤耕氏

 ――一部の宿でリネンの洗濯内製化が進んでいます。

 固定費の大幅な削減が期待できるリネン洗濯の内製化について、私は10年以上前から高い関心を持ち続けてきました。

 ゴルフ場や健康ランドなどでは早くから、代表的なリネン類であるタオルや部屋着などの洗濯内製化を普通に行っていたので、作業工程などのノウハウは蓄積していました。しかし、宿泊業の場合、「シーツ類をどうするか」が大きな課題でした。

 ずいぶん前のことですが、ある旅館経営者から、「海外のホテルでは化学繊維製の生地のシーツを使い始めている」ことを耳にしました。もしこれが事実ならば、伸縮性がある化繊生地は、シワのコントロールが容易になり、これによりプレス加工を省ければシーツ類の形状の制約がなくなり、ベッドメイクや布団敷きの労力を大幅に削減できるだけでなく、これまで外注されてきたリネン類の洗濯の内製化で資金流失を止めることもできると思いました。

 ――「プレス加工の呪縛から解放される」ということですね。

 糊付けしてプレスすることでシワを解消できるメリットがありますが、デメリットとしてプレス機を通すために形状の制約を受けてしまうことがあります。もし伸縮性により、シワのコントロールが容易になれば、プレス機を通さないボックス型の「3次元のフィットシーツ形状」が実現し、現場の日々の作業性の飛躍的な向上につながります。

 このような考えから、洗濯の内製化に適した素材をずっと探していたところ、大手インテリア量販店がフィットシーツ(ボックスシーツ)を販売するようになり、「これだ」と思いました。しかし、仮に家庭用として使えたとしても、毎日洗濯・乾燥をする旅館やホテルで「耐用が可能なのか」という課題があり、最終的に実用に至りませんでした。

 同様の問題意識から、さまざまなメーカーから化繊生地の業務用シーツ類が販売され始めていますが、実際の現場で使おうとすると色々な課題が出てきました。

 例えば、ベッドに掛けるシーツは、下側のゴムの力で止める形状になっているものが多く、乾燥機を高頻度で使用するうちにゴムが緩んでいくことも考慮に入れなければなりません。また生地によっては、生地自身がへたり、また毛玉やほつれやすかったりもします。また静電気防止の加工がされていないと、洗濯時のスタッフの負担が大きく、また埃や毛類を引きつけます。

 しかし、ある温泉旅館で実際にリネン類の内製化に着手してみると、洗濯が意外にも手間が掛からないことが分かりました。ベッド、掛け布団、枕などのリネン類を細かく仕分けせずに洗濯・乾燥して、その日のうちに客室に戻してベッドメイクなどをしてしまうので、作業工程が大幅に減り、既存の清掃業務の中で内製化へ移行できてしまいました。

 リネン類の外注業者は洗濯工場への運搬などの手間から一般的に4―5日分の在庫を抱える必要があり、夏の繁忙期などはシーツやタオル類などの枚数が足りなくなることもあり、施設側の枚数の管理に多くの労力を費やしています。しかし、内製化すれば、使ったシーツ類を即洗濯し、1時間後に元に戻せるので、その日のベッドメイクが可能になり、極言すれば1日分の在庫で回るようになります。

 はがしたシーツ類を洗濯して元の客室に戻すため、保管する作業や、一次保管した場所にシーツ類を取りに行くといった作業も無くなります。「何枚取りに行くか」という帳票づくりの作業も不要になります。

 内製化で一見すると仕事量が増えるように考えがちですが、不要となる作業量はその何倍にもなります。ベッドメイクや布団敷きの肉体的負担減により省人化も進み、帳票づくりや枚数の管理が無くなり、現状の清掃スタッフの人員で実現できてしまうだけでなく、外注していた時よりもむしろ省人化を実現してしまうのです。

 ――具体的にどのような作業工程ですか。

 フロアごとに各客室にあるシーツ類を一斉にはがして、仕分けもせずに洗濯機1台分の容量の大きさの袋に入れて洗濯し、乾燥機に移し替えます。乾燥が終わると、取り違えないよう別に色分けした袋に戻します。このときに枕カバーとベッドのフィットシーツはベッドに取り付けることでシワが伸びて解消できますが、デュベカバー(封筒状の布団カバー)は、お客の目に直接触れる部分なので、簡易的に折り畳んで運ぶようにしています。

 当初は洗い終わったシーツ類を同じフロアにワゴンで運ぶやり方でしたが、洗濯に30分、乾燥に30分と計1時間分の時間差が生じるため、前日の夕方に洗った1フロア分を在庫として余分に持ち、それらを最初のフロアに持って行き、フロアごとにずらしてシーツ類を交換しながらベッドメイクするように変えました。

 そうすると、時間のロスなくシーツ類の回収とベッドメイクが一連の作業で同じチームででき、最後に洗濯した1フロア分のシーツ類を、翌日の最初のフロア分として持って行くため、枚数を管理する作業もありません。

 ――客室清掃やリネンの交換では静電気対策が重要です。

 リネン洗濯の内製化により、清掃前にシーツ類を集め、そしてベッドメイクしなければならないので、毛や埃を巻き込んでしまうケースがありました。そこで生地の素材に静電気防止糸をつけると、表面もツルツルして髪の毛などが張り付くこともなく、問題が解決しました。

 これまではベッドメイクを清掃後にやるので、気づかずに舞っていた綿埃が、お客が入室したときにテーブルなどに付着してしまうことも多くあります。このためベッドメイクを最初にやって、その後に、床回り、水回りの清掃を分業制で行っています。

 ――内製化した清掃をチームによる分業制にしている理由は。

 1つの客室に複数のスタッフが入ることになり、1つの客室を複数の目で見ること(チェック)が可能になります。これによってミスを発見しやすくなります。

 例えば、冷蔵庫の清掃に4人が手を触れます。①冷蔵庫の電源を切ってドアを開ける人②拭く人③仕上げる人④客室案内時に冷蔵庫の中を開けてお客に説明する人――です。 

 1人で完結すると、どうしても見落としが出てきます。作業工程の中にチェック機能が働き、「作業中に品質が上がっていく」方法を取っていて、多くの宿泊施設で行われているフロントスタッフによる客室のチェックもなくせます。

 ――現場の負担を軽減するために開発された新素材とは。

 生地メーカーとの出会いがあり、ポリエステル100%の静電気防止糸の入った「ノン・アイロン・リネン」を共同開発できました。

 開発のなかで重要視したのは、①「作業性」を上げていく②「耐久性」を担保する――の2点です。

 作業性を上げる部分では、現場の肉体的な負担が大きく軽減されるため、一度体験すると、むしろ現場スタッフから経営者にリネンの洗濯内製化を催促することが実際に起こっているところがこの内製化の特徴です。

 3次元形状のシーツは4隅を引っ掛けるだけなので、ベッドを動かすこともなく1人でベッドメイクが可能です。また、短辺と長辺、裏と表、対応するベッドのサイズを迷わず、一目で分かるように糸の色を変え、セミダブル、ダブルベッドも糸の色で見分けられるように工夫しています。デザインは無地とストライプの2種類をそろえています。

 耐久性については、毛玉やほつれ、へたりの問題をどう解消していくかがポイントです。3次元形状の下には輪ゴムを使わず、生地自身の伸縮性だけで止められる素材を採用し、不快な就寝中のシーツのズレが生じないところも強みです。

 綿の掛布団カバーは乾燥機を掛けると縮むため、少し大きめに作るため間延びした印象もありますが、開発した生地は縮むことがないので、布団のサイズに対して若干小さめに作っています。これによって全体的に布団がふっくらし、シワが目立たなくなります。

 このノン・アイロン・リネンに関心があれば、QRコードからお問い合わせください。サンプルを有償提供もしています。

 

【第51回旅館100選】福島県・東山温泉 「庄助の宿 瀧の湯」

2026年9月5日(土) 配信

2021年にリニューアルオープンした貸切大浴場「天寧温泉」

名瀑 伏見ヶ滝の景勝と会津の伝統に心やすらぐ癒しの旅亭

眺望足湯「庄助の足湯」

 民謡で有名な粋人・小原庄助をはじめ、多くの文人墨客が訪れた創業140年の老舗「瀧の湯」。「をんりーわんサービス」のもてなしで、訪れる人を温かく迎えてくれる。

食事処「花みずき」

 2021年には、貸切大浴場「天寧温泉」が誕生。建築家により、木のぬくもりと天然石の質感にこだわった浴場で、贅沢に大浴場を貸切ることができる。子供向けの備品や洗い場も充実しており、大人数や家族連れに好評だ。そのほか、敷地内の伏見ヶ滝を望む絶景風呂などが揃い「東山温泉発祥の湯」を満喫できる。また、床にプロジェクションマッピングの演出が施された食事処「花みずき」や会津地方の地酒が揃う地酒展示会場「蔵ssic」、館内随一の景色を堪能する眺望足湯「庄助の足湯」などが2022年に、2024年には庄助浪漫亭棟をリニューアルオープンし、館内の至るところで充実した時間を過ごすことができる。

図書コーナー「東山文庫」
地酒展示会場「蔵ssic」

地酒展示会場「蔵ssic(くらしっく)」

 当館3階に2022年リニューアルオープンした地酒展示会場「蔵ssic」。会津地方を中心に60種類以上の地酒を展示し、飲むことができる地酒も用意。会津、福島の日本酒の文化を学び、感じたりできるよう、さまざまな工夫がされ、日本酒が得意ではない人も楽しめるコーナーだ。

交通:《車》磐越自動車道 会津若松ICから国道49号を経由し15分、P70台(無料)
 《電車》JR磐越西線 会津若松駅からタクシーで10分またはバスで15分、東山温泉下車徒歩1分
チェックin15:00 out10:00
食事:《夕食》部屋食、料亭個室、和風ダイニング 《朝食》会食場
部屋:全60室
風呂:大浴場2、露天風呂2、貸切露天風呂3、貸切風呂3
泉質:ナトリウム・カルシウム—硫酸塩・塩化物泉
料金:1万8,000円~6万5,000円

〒965-0814 福島県会津若松市東山温泉108
☎0242(29)1000 FAX0242(27)3288
https://shousuke.com/
Wi-Fi:使用可 外国語対応:英・中

 

 

 ※この記事は、旅行新聞新社主催「第51回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」に選出された施設で、書籍「2027年度版 プロが選んだ日本のホテル・旅館100選&日本の小宿(BEST100 HOTELS&RYOKANS IN JAPAN)」(自由国民社)に収録されている内容を紹介しています。

和多屋別荘、テーブルマークと食体験を共創 「うどん」に地域文化掛け合わせ

2026年9月4日(金) 配信

「日本料理 利休」で提供する「嬉野×テーブルマーク ほうじ茶うどん」

 佐賀県嬉野市・嬉野温泉の「和多屋別荘」(小原嘉元社長)は9月4日(金)、冷凍食品などを製造販売するテーブルマーク(松田要輔社長、東京都中央区)と共同で、冷凍うどんを起点とした新たな食体験の共創プロジェクトを始めた。11月30日(月)まで、館内の「日本料理 利休」「李荘庵」で、冷凍うどんを使用した特別メニューを提供する。

 今回の取り組みは、テーブルマークが50年以上にわたり培ってきた冷凍うどんに関する知見と、和多屋別荘が持つ旅館・レストランというリアルな顧客接点を掛け合わせるもの。実際の宿泊・レストラン利用者に料理を提供し、味やメニュー構成だけでなく、器、盛り付け、提供方法、旅館という非日常空間との相性などを含め、冷凍うどんの新たな可能性を探る。

 期間中、「日本料理 利休」では「嬉野×テーブルマーク ほうじ茶うどん」、「李荘庵」では「嬉野×テーブルマーク 地域特産3種の出汁」を提供する。いずれもテーブルマークの冷凍うどんをベースに、嬉野ならではの地域性を取り入れたメニューとして展開する。

 和多屋別荘は旅館を単なる宿泊施設としてではなく、地域と企業が交わり、新たな価値を生み出す実証の場と位置付ける。「URESHINO LIVING LAB」として、地域に存在する文化や資源と、企業、生産者、クリエイターなどが持つ技術・知見を組み合わせ、新たな事業や体験の創出を進めている。

宿の駐車場に車中泊スポットを開設 大江戸温泉グループ7施設で展開

2026年9月4日(金) 配信

大江戸温泉物語にRVパーク

 大江戸温泉物語グループの宿などを展開する、GENSEN HOLDINGS(川﨑俊介社長、東京都中央区)は9月1日(火)から、ホテルの敷地内駐車場を活用した車中泊スポットを7施設で順次開設する。24時間の有人対応サービスとホテルの施設を車中泊利用者にも提供する。

 今回の車中泊スポットは、各施設の駐車場に電源付きサイトを設け、車内で宿泊する利用者が館内設備を利用できるようにするもの。1日から山中彩朝楽(石川)、Premium山中グランドホテル(石川)、三好屋(兵庫)、Premium下呂本館(岐阜)、Premium白浜御苑(和歌山)、南紀串本(和歌山)はサービスを開始しており、Premiumホテル壮観(宮城)のみ9月下旬の開始を予定する。

 利用料金は1泊1台3500円で、電源利用は1000円。午後9時以降のチェックインには1000円を追加する。入浴、夕食は別途料金のオプションで、夕食バイキングは事前予約制で用意する。料金は各施設で異なる。

 予約はRVパークウェブサイトからの完全事前予約制で、チェックインは午後3時~9時まで、チェックアウトは午前11時まで。電源付きサイトのほか、24時間利用できるトイレと無料のごみ回収に対応する。

 日本RV協会の調査によると、国内のキャンピングカー保有台数は2025年に17万3000台となり、前年から8000台増えた。車中泊の需要が広がる一方、防犯や入浴、食事に関する課題もあるため、同社は夜間に遊休化する駐車場と施設のサービスを活用し、需要に応えていく。

【アーストラベル水戸・尾崎精彦社長】旅で社会課題を解決 誰にも負けない茨城専門の旅行会社に クラファンも開始

2026年9月4日(金) 配信

尾崎精彦(おざき・きよひこ)社長

 アーストラベル水戸(尾崎精彦社長、茨城県水戸市)が企画・運営する職場体験企画「シゴトリップ」はこのほど、「ツアーグランプリ2026」(主催=日本旅行業協会)で国内旅行部門優秀賞を受賞した。茨城県の子供たちに地域の魅力を伝えるため、「県内から県内へ」をコンセプトに、職場体験を深化させた教育プログラムを展開する。「誰にも負けない茨城専門の旅行会社」を目指す、尾崎社長に話を聞いた。

                 ◇

コロナ禍で生まれた 「シゴトリップ」

 尾崎社長は大学卒業後、旧東急観光(現東武トップツアーズ)に入社し、水戸支店に配属された。埼玉県出身の尾崎社長と茨城県との出会いはここから始まる。約10年在籍し、その後は同じく10年ほどフリーランスで旅行業を手掛けてきた。このときの縁で、2020年12月に「アーストラベル水戸」を第三者承継した。当初2人からスタートした会社は6年で10人のスタッフを抱えるまで拡大。現在の事業割合は教育旅行6割、法人・行政関係で4割だ。

 一方、事業承継した時期はコロナ最盛期。県外をまたぐ移動が制限されていた。このなかで、学校側から「近隣でコロナ禍でもできる屋外の体験はないか」と教育旅行の相談を受けたことで、茨城県内に目を向けるようになる。

 尾崎社長自ら地域の事業者に会い、体験することで茨城には多くの魅力ある場所や事業、そして人が溢れていることに気付く。「茨城からの発地型旅行をメインに扱ってきたが、茨城に人を呼び込む、または県内間の移動で地域とつながりを持ち、お金を落とす方が企業として価値が高いのではと考えた」。こうして数年前からシゴトリップの原型となる教育旅行が始動した。

 現在のシゴトリップは中学2年生時に推奨されている、職場体験を深化させたもの。バスを利用した日帰り企画で、職場体験と校外学習を合わせたような運用が行われている。午前中に各職場体験を行ったあと、午後は地域のキーパーソンによる講演、観光施設や道の駅などでの見学・買い物で構成する。

 特徴は生徒の興味や学校の特性から最適な職場体験先を組み合わせること。現在は農業や観光、福祉、製造業など200社以上の事業所と連携してプログラムを用意する。10~15人程度の少人数制で、生徒自身が関心のある体験を選ぶことができる。実績では、23~25年で延べ33校・約4500人が体験した。

日立市にて漁業体験

 内容だけではなく、教職員の負担軽減がはかられていることも特筆する点だ。教育現場では長時間労働や業務の煩雑化が課題として挙げられるなか、ときに1日数百件も電話を掛け、調整を行わなければいけない職場体験の企画や運営は学校側に大きな負荷となる。それを同社が一手に担うことで、教員に負担なく良質な体験を提供する。

 ツアーグランプリの表彰式では「緻密なリサーチのもとで少人数の職場体験を実現し、先生の負担を減らしながら、生徒の探究学習と地域の担い手育成を両立させる、業界のベンチマークとなる企画」などと評された。
 また、旅行商品では異例といえるが、現在シゴトリップ全体の仕組みに関して特許を出願中だ。理由について尾崎社長は「協力してくれる事業者や受入先への感謝と社員がプライドを持って働けるよう、カタチを示したかった」と語る。

茨城でホンモノ体験を 「あすたび」を提供

 同社のコンセプト「あすたび」は「明日に生きる旅」の略で、「一度の体験で明日からの見え方が変わる、ホンモノの好奇心を引き出す旅」の提供を掲げる。

 尾崎社長によると、県内の高校卒業後の進学者のうち8割が首都圏の学校に進み、そのまま県外へ出てしまう。「しかし、県内にも光る仕事やプライドを持って働いている人がいることを知っていれば、大学などの卒業後に茨城に戻る選択をする子が増えるかもしれない」と考える。

 教育旅行の現場では、実際に体験する前と後では考えが変わる生徒たちが少なくない。事前アンケートでは働くことにネガティブな印象だった生徒も、輝いている大人を見て、地域の魅力や自身の将来の可能性に気付きを得る。「体験は引率の先生も感動している。働く本来の意味を知ってほしいので、仕事内容というより熱意のある『おもしろい人』にスポットを当てる」とこだわる。

 シゴトリップ以外に、首都圏の私立学校の教育旅行を請け負うことも増えた。昨年度の実績は6校。生きるために必要な第1次産業から、つくば市を中心に最先端の技術や研究を学べることが進学校に受けている。尾崎社長は「東京ではできないことが茨城ではできる」と自信を見せる。

3年後に取扱10億円へ 茨城専門を極める 

 今後はこうした県外客の取り込みも積極的に行っていく。シゴトリップは業務内容から年間15~20校が限度で、現状ではほぼ最大値だが、県外の学校は3年後を目途に50校まで取り扱いを増やし、会社全体の取扱高は10億円を目標に掲げる。

 茨城県への教育旅行誘致に向け、同社は一般社団法人「森と未来の学校」も設立している。教育関係者や他産業の事業者らと新しい教育旅行を考え、オリジナルの旅を創出するのが狙い。

 尾崎社長はこうした教育旅行の取り組みをまとめた書籍を10月初旬に発刊する予定だ。

 将来的にはインバウンドの取り扱いも視野に入れる。「インバウンド客にとってディープな日本の体験は魅力だと思う。我われは県内約200事業者とつながりがあるので、多様な体験が提供できるのが強み」とし、2~3年後に本格的な誘客を実現したい考え。

 尾崎社長は「茨城に人を呼び込みたい。人口減少、円の価値が下がるなかで、外貨を獲得することが地域にとって重要だ」と強調する。

 ここまで茨城、地域活性化にこだわるのは、旅行会社の存在意義を考えた末のこと。「東日本大震災やコロナ禍で、旅行会社の価値の低さを感じ、『なくてもいいのでは』とさえ思った」。そこを経て、存在価値を高めるため「旅で社会課題を解決し、地域や小さい事業者の価値をしっかり伝えられる会社になっていきたい」と前を向く。

 取り組みを継続することで応援してくれる人も増えた。報いるためにも「誰にも負けない茨城専門の旅行会社でありたい」と力を込める。

                  ◇

クラウドファンディングを開始

 尾崎社長は10月、これまでの取り組みをまとめた書籍を出版する。この一環で、教育の最前線で活躍する人々との対談動画を制作。本と動画により、地域とつくる教育旅行を広く全国へ発信していくため、このほどクラウドファンディングを開始した。

 プロジェクト名は「子どもたちに『明日に生きる旅』を。地域とつくる教育旅行を全国へ」。プラットフォームのCAMPFIREで11月21日まで展開している。

 支援は3000円~10万円で、リターンは書籍など。支援金は書籍や動画の制作費、広告、出版記念イベント運営費などに充てられる。

ピアードパパが手掛けるシューギフト店が東京駅に開業 「デセール・シュー」

2026年9月4日(金) 配信

杉本えい司本部長と「Dessert CHOUX(デセール・シュー)」常設店

 シュークリーム専門店の「ピアードパパ」などを展開するDAY TO LIFE(杉内健吉社長、大阪府大阪市)は9月4日(金)、東京駅の八重洲北口「東京ギフトパレット」内にシューギフト専門店「Dessert CHOUX(デセール・シュー)」を開業した。各駅でポップアップを展開し、満を持して初の常設店を東京にオープンした。

 同店では、ピアードパパで培った技術を生かし、フランス料理のデザート「デセール」をイメージした、土産用のシュースイーツをそろえた。前日に開催したプレス内覧会で同社事業開発部の杉本えい司本部長は「我われの調査によると、シュークリームはアイスに次ぐ王道の人気を誇るスイーツ。万人受けするシュークリームの出来立てを届けてきたが、課題はお土産だった」とし、コロナ後に本格的に土産品の開発に乗り出したことを語った。

販売する3種の商品

 とくに、常温菓子として販売する「シューもっち」は約2年かけて作り上げたこだわりの逸品。クッキー生地のパリッと感となかの濃厚なペーストチョコ、餅の食感が楽しめる品ながら、2週間の日持ちを実現させた。価格は3個入りで890円。

 焼き菓子はシュー生地にキャラメルとアーモンドスライスをトッピングして焼き上げた「パヴェ・ド・シュー」。賞味期限は2カ月ほどで、5個入り980円。

 また、冷凍で販売する「ムームーシュー」は雲のようなもっちりした食感の生地が特徴。キャラメルと抹茶、ストロベリーの3種をそろえた。解凍後2日が期限で、3入り1260円で販売する。

 杉本本部長は「東京を起点に、全国へ美味しさを広げていきたい」と意気込む。

 営業時間は平日が午前9:30~午後8:30、土日祝が午前9:00~午後8:30まで。

阪急交通社、10月12日から「ハイキングフェア」 全国4都市で開催

2026年9月4日(金) 配信

ゲストトークショーも開催

 阪急交通社(山川豊治社長、大阪府大阪市)は、10月12日~11月1日まで、東京・大阪・名古屋・福岡の全国4都市で「ハイキングフェア2026」を開く。トークショーや登山講座、2027年度のハイキングツアー紹介などを行う。

 フェアでは、日本山岳ガイド協会認定の山岳ガイドや登山ユーチューバーが登壇し、ハイキングや登山に関するトークショーや「正しい山の歩き方講座」などを実施する。企業・団体の出展ブースも設け、登山情報を提供する。旅行説明会では、阪急交通社の2027年度国内・海外ハイキングツアーを紹介する。

 大阪会場は10月12日(月・祝)にコングレコンベンションセンターで開催し、時間は午前10時30分~午後4時30分。東京会場は10月18日(日)にJPタワーホール&カンファレンス、名古屋会場は10月31日(土)に中日ビルホール&カンファレンス、福岡会場は11月1日(日)に電気ビル共創館みらいホールで開く。東京と名古屋は午前10時~午後4時20分、福岡は午前10時~午後4時。参加費は無料で、事前予約が必要となる。

JAL、大韓航空と戦略的パートナーシップ 9月3日に共同宣言

2026年9月4日(金) 配信

大韓航空ウ・ギホン副会長(左)、JAL鳥取三津子

 日本航空(JAL、鳥取三津子社長)は9月3日(木)、大韓航空(趙源泰会長兼CEO、韓国ソウル特別市)と戦略的パートナーシップに関する覚書に署名し、共同宣言を発表した。両社の協力関係を深め、安全性や顧客サービスを含む新たな価値の創出を目指す。

 両社の協力関係は、1960年代初頭に始まり、1964年の東京―ソウル線開設などを通じて深まった。今回の提携では、日韓を起点にアジアやグローバル市場で人流・物流のさらなる活性化を2社でリードし、日韓両国間の持続的な経済・文化の発展をはかる。

 大韓航空は2026年12月17日にアシアナ航空と統合する予定で、両社は、コードシェアやマイレージ提携など既存の協力を、大韓航空とアシアナ航空の統合後の運航便にも拡大する。日韓の空も新しいステージへと突入するなかで、提携の深化と航空分野の社会課題解決を進める。

紅葉と灯りを楽しむ「秋の夜長のそぞろ歩き」 長門湯本温泉で10月23日から

2026年9月4日(金) 配信

秋の長門湯本温泉の名所「紅葉の階段」

 山口県長門市の長門湯本温泉で、秋季限定イベント「秋の夜長のそぞろ歩き」が10月23日(金)から11月29日(日)まで開催される。温泉街を流れる音信川沿いの遊歩道や石橋、竹林の階段などを舞台に、紅葉と灯りを組み合わせた夜間景観を演出する。

 期間中は、日没となる午後6時ごろから同10時まで、温泉街各所を灯りで彩る。メイン会場となる「紅葉の階段」では、特設スペースに寝転びながら頭上の紅葉を楽しむ「紅葉ごろ寝BAR」を実施。昼間の紅葉狩りとは異なり、夜の幻想的な空間を創出する。

 イベントでは、地域店舗との連携も進める。期間中は夜営業や秋の期間限定メニュー、関連企画などを実施し、回遊性を高める。

 また、そぞろ歩きをより楽しんでもらうため、温泉街にある立ち寄り湯「恩湯」では湯たんぽを無料で貸し出す。約600年の歴史を持つ長門湯本温泉の元湯である恩湯は、浴槽の足元から源泉が自然湧出する全国的にも珍しい温泉。入浴で温まった後、そのぬくもりを湯たんぽとともに持ち歩くという、温泉地ならではの夜の過ごし方を提案する。

吉村知事「やっぱりラグビーですよ!」 大阪府がスポーツツーリズム強化

2026年9月4日(金) 配信

吉村洋文知事(中央左)

 スポーツ観戦・体験を観光振興や地域活性化につなげる「スポーツツーリズム」の取り組みを強化している大阪府は9月2日(水)、JR大阪駅5階「時空の広場」で府内のトップスポーツチームやスポーツ団体、経済団体など17団体と連携して推進する「OSAKA FUNtast!c SPORTS PROJECT」の2026年度キックオフイベントを開いた。

 キックオフイベントには吉村洋文知事のほか、ラグビーリーグワンのレッドハリケーンズ大阪の山内俊央選手、花園近鉄ライナーズの河村謙尚選手、栃木ホンダヒートの北條拓郎選手が登壇。大阪・関西万博公式キャラクター「ミャクミャク」や府広報担当副知事「もずやん」も参加し、ラグビーを軸とした今年度の展開をPRした。

 元ラグビー部員の吉村知事は、「皆さん、やっぱりラグビーですよ!」と呼び掛け、競技の魅力について「試合会場に行くと、タックルの音も聞こえて、現場の熱量を感じることができる」と、生観戦ならではの臨場感を強調。「大阪は熱量が高い街。熱と熱がぶつかり合って、さらに大きくなって大阪の街に伝わっていったら嬉しい」と、スポーツを起点とした地域への波及に期待を示した。

 プロジェクトの目玉となるのが、11月14日(土)に東大阪市花園ラグビー場で開催する「OSAKA熱活GAMES」だ。国内最高峰の「ジャパンラグビー リーグワン」に所属する大阪府内のレッドハリケーンズ大阪、花園近鉄ライナーズ、栃木ホンダヒートと、オーストラリアの「スーパーラグビー」に所属するACTブランビーズを迎え、2試合を実施する。当日は試合だけでなく、大阪・関西万博閉会式で注目を集めたダンスユニット「アバンギャルディ」とミャクミャクによるスペシャルパフォーマンスを実施するほか、会場周辺には世界各国のグルメを提供するキッチンカーが出店する。

 府は昨年度、「OSAKA FUNtast!c SPORTS PROJECT」を立ち上げ、スポーツと大阪の食、文化、観光を組み合わせた新たな体験づくりを進めてきた。26年度は「OSAKA熱活」を掲げ、特別な試合やステージイベントを核とした「OSAKA熱活GAMES」「OSAKA熱活HEROES」を展開する。