JTBとオリックス、観光業の職業体験 小中学生に約50種類を展開

2026年9月7日(月) 配信 

「つなぐはぐくむツーリズムKidsジョブチャレンジ」ロゴと体験イメージ

 JTB(青海友社長、東京都港区)とオリックス・ホテルマネジメント(似内隆晃社長、同)は10月10日(土)~12月19日(土)まで、全国12都道府県で小中学生を対象に、職業体験プログラム「つなぐはぐくむツーリズムKidsジョブチャレンジ」を初めて共同開催する。約50種類の地元の観光業や地域産業の仕事を体験できる。予約受付は9月18日(金)から順次開始する。

 同プログラムは、オリックス・ホテルマネジメントが全国で展開する全21の直営施設とその周辺地域で開催する。ホテルのフロントやベッドメイキング、シェフ・パティシエのほか、お城ガイド、農家、伝統工芸士、美術館の学芸員など、地域の身近な観光の仕事を楽しみながら学ぶ体験プログラムを提供する。

 また、地域事業者と連携し、各地域が持つ文化や産業を生かした多様な体験プログラムも提供する。一例として、福島県会津若松市では鶴ヶ城のガイド体験、大分県別府市では地熱を活用して栽培する別府温泉バナナの収穫体験など、その土地ならではの観光資源に触れる機会を提供する。

 参加費は1プログラム1人当たりで税込1000円。定員は各プログラム5~15人程度。予約受付は特設ウェブサイトから。

「やまがた女将会」女将6人が旅行新聞を訪問

2026年9月7日(月) 配信

やまがた女将会の観光キャラバン隊

 今年創立25周年を迎えた「やまがた女将会」(会長=岡崎純子女将)の観光キャラバン隊が9月7日(月)、本紙東京本社を訪れ、山形県の観光魅力や41人で構成される「やまがた女将会」の活動などをアピールした。

 訪れたキャラバン隊は、岡崎純子女将(蔵王温泉 深山荘高見屋)、工藤真理女将(上山温泉 花明りの宿月の池)、山口陽子女将(天童温泉 ほほえみの宿滝の湯)、川﨑禮子女将(蔵王温泉 ル・ベール蔵王)、五十嵐律子女将(東根温泉 旅館さくら湯)、岡崎美樹子女将(蔵王温泉 JURIN)の6人。

 このほか、山形県観光物産協会から佐藤真二理事ら5人も同席した。

 山形県は、米国の有力メディア「ナショナルジオグラフィック」で、「2026年に行くべき世界の旅行先25選」に日本で唯一選ばれたことを受け、岡崎会長は「女将会としても、県や観光物産協会と協力しながら、山形の食や文化、旅館などの魅力を日本全国、世界に向けて発信していきたい」と語った。

ジオフラ、破産手続き開始決定受ける(帝国データバンク調べ)

2026年9月7日(月) 配信

 ジオフラ(倉谷一圭代表、東京都千代田区)は7月29日(水)、東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。帝国データバンクによると、負債は約5億5000万円。

 同社は2023(令和5)年3月に設立。移動距離や歩数、飲食店などへのチェックイン、イベント参加などでポイントを獲得できるアプリ「プラリー」を展開。広告出稿が相次ぎ、大幅増収となった26年2月期には、年間収入高約10億2000万円を計上していた。

 しかし、送客手数料や人件費、開発投資負担の増加などから、同期は約8億3500万円の赤字を計上し、債務超過に陥っていた。「その後も事業の継続に尽力したが奏功せず、自社での事業の継続を断念した」(帝国データバンク)。

 なお、「プラリー」事業は、別会社に譲渡されており、現在もサービス提供は継続している。

近ツーなど4社、スポーツホスピタリティ推進協議会を設立 10月に視察研修会を開く

2026年9月7日(月)配信

スポーツホスピタリティ推進協議会のロゴマーク

 近畿日本ツーリスト、JTB、東武トップツアーズ、ぴあの4社はこのほど、日本のスポーツ産業の発展と地域活性化を目的とした「一般社団法人スポーツホスピタリティ推進協議会(SHPC)」を設立した。10月2日(金)には「第20回アジア競技大会」が開催される名古屋で、第1回スポーツホスピタリティ視察研修会を開く。

 スポーツホスピタリティとは、スポーツコンテンツに付加価値やサービスを掛け合わせ、スポーツ観戦を同行者との交流や信頼強化の場に広げ、地域の魅力発信にもつながる新たな取り組み。同協議会は、参画機会の拡大や事業者の育成、新たな観戦スタイルとしての認知拡大を使命として活動している。

 今回の研修会では、2025年オープンの愛知国際アリーナの最新鋭のホスピタリティ施設や設備を視察できる。同アリーナ内のプライベート空間「ルームホスピタリティ」と、競技場外のプレミアム交流空間でのオフベニューホスピタリティも視察。ホスピタリティ運営担当者の解説付きで案内する。

 対象はスポーツホスピタリティビジネスに関心のある法人・自治体など。参加費は税込3万円。

【国土交通省】人事異動(9月1日付)

2026年9月7日(月) 配信

 国土交通省は9月1日付の人事異動を発令した。

 大臣官房付(九州地方整備局筑後川河川事務所長)塚原隆夫

 港湾局付・即日辞職(鉄道建設・運輸施設整備支援機構北海道新幹線統括役)神田尚樹

 出向 内閣府経済社会総合研究所景気統計部長(国土政策局計画官)山岸圭輔

 国土政策局計画官(内閣府経済社会総合研究所上席主任研究官)斎藤達夫

 【任命】

 水資源機構監事〈再任〉 尾根田勝

 水資源機構監事 鈴木真由子

姫路市、「姬路台灣紀行」を9月19日から開催 台湾夜市を再現したイベント

2026年9月7日(月) 配信

姬路台灣紀行

 愛媛県姫路市は9月19日(土)~21日(月・祝)まで、大手前公園で台湾の夜市を再現したイベント「姬路台灣紀行 ~ひめじ、チョット台湾になる。~」を開く。台北市との友好交流に関する協定を踏まえ、台湾の夜市や文化に触れる機会を設ける。

 イベントでは、台北市政府、台北市寧夏夜市観光協会、台北駐大阪経済文化弁事処の協力を得て、本場・台湾の夜市を再現する。飲食や物販、体験コーナーなど約30ブースが出店し、台北市の寧夏(ねいか)夜市による特設ブースも設ける予定だ。

 開催時間は各日午前11時~午後9時まで。入場は無料で、飲食や物販などは各店舗で支払う。小雨決行、荒天中止とし、開催可否は各日午前8時に公式ホームページと自動音声電話で発表する。

 姫路市は、台北市との交流を通じて両市の歴史や文化、暮らしへの理解を深め、友好関係のさらなる促進につなげるとしている。会場では台湾文化紹介の動画も公開する。

【第51回旅館100選】福島県・母畑温泉 「八幡屋」

2026年9月7日(月) 配信

別館「帰郷邸」天望大露天風呂

山里の自然と人のこころのぬくもりを感じさせる名宿

別館「帰郷邸」天望大露天風呂

 母畑温泉のはじまりは、平安時代中期のこと。前九年の役で、八幡太郎(源義家)が負傷した兵馬をこの温泉で癒し、母衣と旗を献じたのが訛り、「母畑」になったという。この霊泉の上に建つ「八幡屋」は、人と湯のぬくもりを存分に感じさせる名宿だ。

別館「帰郷邸」貸切風呂

 部屋の窓からは雄大な阿武隈の自然が望見でき、落ち着いた雰囲気にリラックスできる。

 湯処は多彩。四季の庭園と夜空を映す天然の石舟で非日常を味わえる露天風呂や、吹き抜けが心地よい開放感をもたらす自慢の内湯、さらに別館「帰郷邸」の天望大露天風呂は6階と5階に位置し里山を一望する解放感あふれるパノラマバスとなっている。

高級感あふれる和モダンの客室

 阿武隈の山海の贅を尽くした食材を、100 余年伝え継がれた技で調理した料理も自慢。趣向を凝らしたお楽しみ処も充実しており、憩いのひとときに心癒される。

「八幡屋」全景

吹き抜けのロビーとラウンジ「月の樹」

 高い吹き抜け天井からやわらかな光が降りそそぐ八幡屋の象徴的なロビーは、雅びやかな琴の調べで旅人を迎えてくれる。やわらかな照明と落ち着いた空間のラウンジ「月の樹」では、夕食後や出発前のゆるやかな時間に、こだわりのコーヒーを片手に、旅の余韻に浸れるだろう。

交通:《車》東北自動車道 矢吹ICからあぶくま高原道路 福島空港ICより母畑方面へ6km、P200台(無料)
   《電車》JR水郡線 磐城石川駅からタクシーで約10分
チェックin15:00 out10:00
食事:《夕食》宴会場 《朝食》コンベンションホール
部屋:全145室(和室112室、和洋室10室、洋室21室、特別室2室)
風呂:男女別大浴場(露天風呂、サウナ付)、帰郷邸・男女別天望大露天風呂 
泉質:アルカリ性単純泉
料金:2万円〜6万7,000円

〒963-7831 福島県石川郡石川町母畑字樋田75-1
☎ 0247(26)3131 FAX 0247(26)1220
https://www.yahataya.co.jp/
Wi-Fi:使用可 外国語対応:英

 

 

 ※この記事は、旅行新聞新社主催「第51回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」に選出された施設で、書籍「2027年度版 プロが選んだ日本のホテル・旅館100選&日本の小宿(BEST100 HOTELS&RYOKANS IN JAPAN)」(自由国民社)に収録されている内容を紹介しています。

【第51回旅館100選】福島県・磐梯熱海温泉 「ホテル華の湯」

2026年9月6日(日) 配信

趣あふれる岩に囲まれた「庭園露天風呂」

30種類の湯舎めぐりと選べる料理プランで華のあるおもてなし

「展望ひのき風呂」

 豊かな自然林と清流に囲まれ、やさしいおもてなしで出迎えてくれる「ホテル華の湯」。自慢は毎分472?もの湯量を誇る天然温泉で、1 階の「庭園露天風呂」や最上階の「展望ひのき風呂」、貸切風呂など、30 種類ものバラエティ豊かなお風呂が揃い、湯舎めぐりに心躍る。

旬の食材を味わう個室会席膳一例

 客室もニーズに合わせたさまざまなタイプがあり、心地良さを追求した本格派の和室を中心に、洋室や露天風呂付客室で、快適に過ごすことができる。

 食事は、メイン料理を肉料理か魚介料理か選べる月替り会席で堪能。専属の調理人がオープンキッチンで調理する彩り豊かな創作和食の数々を味わえる。

メインが選べる月替り会席一例

 また、「ビュッフェダイニング」では、目の前で出来立てを調理する地産地消、新鮮な福島の食材に特化したメニューを取り揃えている。

「ツアービュッフェ」には福島の美味が満載

「離れ松林亭」プレミアルームオープン

 「離れ松林亭」に2 人だけの時間を過ごすプレミアルーム「連」と「理」がオープン。広々とした源泉掛け流し露天風呂を備え、食事はインルームダイニングでお部屋食を堪能。専用のプレミアラウンジでは、ドリンクやスイーツ、おつまみなどが用意され、ゆっくりとくつろげる。

交通:《車》磐越自動車道 磐梯熱海ICから磐梯熱海温泉方面へ4km、P400台(無料)
   《電車》JR磐越西線 磐梯熱海駅からタクシーで5分
チェックin15:00 out10:00
食事:《夕・朝食》ビュッフェダイニング、レストラン、料亭、料理茶屋、宴会場(プランにより部屋食)
部屋:全163 室
風呂:展望ひのき癒しの湯(男女別入替制)、庭園露天風呂(男女別入替制、サウナ付)、貸切風呂2
泉質:単純泉
料金:1万7,750円~5万5,150円《特別室》5万2,650円

〒963-1387 福島県郡山市熱海町熱海5-8-60
☎024(984)2222 FAX024(984)2408
https://www.hotelhananoyu.jp/
Wi-Fi:使用可 外国語対応:英

 

 

 ※この記事は、旅行新聞新社主催「第51回プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」に選出された施設で、書籍「2027年度版 プロが選んだ日本のホテル・旅館100選&日本の小宿(BEST100 HOTELS&RYOKANS IN JAPAN)」(自由国民社)に収録されている内容を紹介しています。

「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(260)」祈りと採石が創った奇岩・鋸山(千葉県富津市・鋸南町)

2026年9月6日(日)配信

日本最大の摩崖大仏(日本寺)

 東京湾の湾口、千葉県富津市と鋸南町に跨る海岸部に、鋸の歯のような形をした特異な山がある。通称「鋸山」と呼ばれる高さ300メートル余の乾坤山である。ここは江戸時代から盛んに採石が行われた結果、露出した山肌の岩が鋸の歯のように見えることからこの名で呼ばれるようになった。

 その山のシンボルである日本寺は、山号を乾坤山といい、奈良時代の725(神亀2)年、聖武天皇の勅願により行基が開いたという古刹である。

 このエリア一帯は、観光地として古くから有名だが、とくに断崖からの展望スポット、いわゆる「地獄のぞき」や、高さ約30メートル級の百尺観音、石造の日本寺大仏などが圧巻である。日本寺大仏は「薬師瑠璃光如来坐像」といい、日本最大の摩崖仏である。同寺に残る羅漢石像群とともに県指定名勝「鋸山と羅漢石像群」にも指定されている。

 幕末の1862年、外交官アーネスト・サトウは、イギリス駐日公使館の通訳として赴任するため横浜に向かう途中、この奇妙な風景に驚き、その著書にも記している。この奇景には、多くの文人たちも強く惹かれ、古くは幕末の浮世絵師・歌川広重の連作「不二三十六景」にも描かれている。手前に鋸山、奥に浦賀水道越の富士山を描いた図である。また、日本寺には小林一茶や夏目漱石、正岡子規らも訪ねている。

 1960年代初頭、この山に鋸山ロープウェーが完成してからは首都圏の手軽な観光・ハイキングスポットとして人気を博した。東京方面からは、JR内房線浜金谷駅または保田駅下車だが、車だと東京湾アクアライン経由、さらに対岸の久里浜港(横須賀市)からは金谷港まで東京湾フェリーも利用できる。

 鋸山は日本寺を核とした祈りの山であると同時に、凝灰岩の山は、建築石材に適していた。そのため、江戸時代から「房州石」として盛んに採石が行われた。切出された石材は、幕末から明治、大正、昭和にかけて、主に横須賀軍港や横浜の港湾設備、東京湾要塞の資材として利用された。自然保護規制の強化により1985年を最後に採石は終了したが、その石切場や石材搬出路跡は産業遺産として観光資源にもなっている。

「ラピュタの壁」と呼ばれる石切場跡

 石切場は、「ラピュタの壁」に象徴される圧巻の景観である。また、地獄のぞきは、山頂展望台の通称であり、石切場跡の絶壁の上に張り出した岩盤上から約100メートル下を臨める。東京湾や房総丘陵、富士山などを見渡すことができるが、そのスリルはまさに圧巻である。

 鋸山は、特異な地形と立地から、古くからの祈りの地となり、また、その地形を形成した凝灰岩の存在から石切場としての産業の地にもなった。

 この物語は、日本遺産候補地域として認定されているが、この地域ストーリーのさらなるブラッシュアップとともに、首都圏近傍の観光地として、海外客を含めた多くの方々に訪れてほしい。

(観光未来プランナー 丁野 朗)

「ノン・アイロン・リネン」を開発 工学博士・内藤耕氏インタビュー 労力の大幅削減と資金流失止める

2026年9月5日(土) 配信

「ノン・アイロン・リネン」で作業性が飛躍的に向上する

 工学博士の内藤耕氏は、生地メーカーと共同で、現場の負担を軽減する「ノン・アイロン・リネン」を新たに開発した。素材は、伸縮性に富んだ3次元形状のポリエステル100%生地のため、プレスが不要。内藤氏は「リネン洗濯の内製化フローで、作業性の飛躍的向上と現場の肉体的負担の大幅軽減を実現し、固定費の大幅なコスト削減につながる」と語る。導入した宿の実例をもとに、清掃・リネン洗濯の内製化の業務フローなど、詳しく聞いた。

【本紙編集長=増田 剛】

 ――宿泊業の成長産業化に向けた取り組みが活発化しています。

 そもそも宿泊業界は大変厳しい市場環境に晒されています。人口減少による内需の縮小から、多くの地方で客数減によって売上を増やすことが難しくなっています。団体客が減って主要な客層が個人化して、大きな投資を伴う宿泊施設の業態転換も迫られています。同時にインフレにより、ありとあらゆる経費が上昇しています。

 インバウンド客が増えている地域もありますが、人手が確保できず、「客室の清掃が間に合わない」、「調理スタッフの休日を確保できない」ことが常態化しています。なんとか人手を確保するために、賃金アップを含めたスタッフの抜本的な処遇改善にも努めなければならない状況にあります。

 つまり、売上高が増えない、たとえ増えたとしてもそれ以上に経費が増える厳しい状況が今後も続きそうです。

 一方、厳しい国際競争に晒されてきた製造業は、これまでさまざまな工夫をしてきました。その一つが、部品や製造方法の標準化で、これにより各メーカーは商品の開発やデザイン、ユーザビリティなどに、より専念できるようにしてきました。

 宿泊業などを含めたサービス産業では、このような取り組みはまだまだ未成熟で、結果として各現場でサービスの提供方法を一から組み立てることに多くの労力を費やしています。

 このような問題意識から、私はこれまでサービス産業の現場に使える部品として、労働時間管理法(稼働対応労働時間)、現場業務管理法(シフト編成ソフトopsplot)、リネン内製化(ノン・アイロン・リネン)、現場の業務フロー(リアルタイム・サービス法)を開発し、これらを裏付ける科学的理論(サービス・キネティクス原則)を提案してきました(詳しくは書籍「サービス産業・労働生産性の革新 理論と実務」旅行新聞新社)。

 今回は、その一つであるリネン内製化についてご紹介します。

内藤耕氏

 ――一部の宿でリネンの洗濯内製化が進んでいます。

 固定費の大幅な削減が期待できるリネン洗濯の内製化について、私は10年以上前から高い関心を持ち続けてきました。

 ゴルフ場や健康ランドなどでは早くから、代表的なリネン類であるタオルや部屋着などの洗濯内製化を普通に行っていたので、作業工程などのノウハウは蓄積していました。しかし、宿泊業の場合、「シーツ類をどうするか」が大きな課題でした。

 ずいぶん前のことですが、ある旅館経営者から、「海外のホテルでは化学繊維製の生地のシーツを使い始めている」ことを耳にしました。もしこれが事実ならば、伸縮性がある化繊生地は、シワのコントロールが容易になり、これによりプレス加工を省ければシーツ類の形状の制約がなくなり、ベッドメイクや布団敷きの労力を大幅に削減できるだけでなく、これまで外注されてきたリネン類の洗濯の内製化で資金流失を止めることもできると思いました。

 ――「プレス加工の呪縛から解放される」ということですね。

 糊付けしてプレスすることでシワを解消できるメリットがありますが、デメリットとしてプレス機を通すために形状の制約を受けてしまうことがあります。もし伸縮性により、シワのコントロールが容易になれば、プレス機を通さないボックス型の「3次元のフィットシーツ形状」が実現し、現場の日々の作業性の飛躍的な向上につながります。

 このような考えから、洗濯の内製化に適した素材をずっと探していたところ、大手インテリア量販店がフィットシーツ(ボックスシーツ)を販売するようになり、「これだ」と思いました。しかし、仮に家庭用として使えたとしても、毎日洗濯・乾燥をする旅館やホテルで「耐用が可能なのか」という課題があり、最終的に実用に至りませんでした。

 同様の問題意識から、さまざまなメーカーから化繊生地の業務用シーツ類が販売され始めていますが、実際の現場で使おうとすると色々な課題が出てきました。

 例えば、ベッドに掛けるシーツは、下側のゴムの力で止める形状になっているものが多く、乾燥機を高頻度で使用するうちにゴムが緩んでいくことも考慮に入れなければなりません。また生地によっては、生地自身がへたり、また毛玉やほつれやすかったりもします。また静電気防止の加工がされていないと、洗濯時のスタッフの負担が大きく、また埃や毛類を引きつけます。

 しかし、ある温泉旅館で実際にリネン類の内製化に着手してみると、洗濯が意外にも手間が掛からないことが分かりました。ベッド、掛け布団、枕などのリネン類を細かく仕分けせずに洗濯・乾燥して、その日のうちに客室に戻してベッドメイクなどをしてしまうので、作業工程が大幅に減り、既存の清掃業務の中で内製化へ移行できてしまいました。

 リネン類の外注業者は洗濯工場への運搬などの手間から一般的に4―5日分の在庫を抱える必要があり、夏の繁忙期などはシーツやタオル類などの枚数が足りなくなることもあり、施設側の枚数の管理に多くの労力を費やしています。しかし、内製化すれば、使ったシーツ類を即洗濯し、1時間後に元に戻せるので、その日のベッドメイクが可能になり、極言すれば1日分の在庫で回るようになります。

 はがしたシーツ類を洗濯して元の客室に戻すため、保管する作業や、一次保管した場所にシーツ類を取りに行くといった作業も無くなります。「何枚取りに行くか」という帳票づくりの作業も不要になります。

 内製化で一見すると仕事量が増えるように考えがちですが、不要となる作業量はその何倍にもなります。ベッドメイクや布団敷きの肉体的負担減により省人化も進み、帳票づくりや枚数の管理が無くなり、現状の清掃スタッフの人員で実現できてしまうだけでなく、外注していた時よりもむしろ省人化を実現してしまうのです。

 ――具体的にどのような作業工程ですか。

 フロアごとに各客室にあるシーツ類を一斉にはがして、仕分けもせずに洗濯機1台分の容量の大きさの袋に入れて洗濯し、乾燥機に移し替えます。乾燥が終わると、取り違えないよう別に色分けした袋に戻します。このときに枕カバーとベッドのフィットシーツはベッドに取り付けることでシワが伸びて解消できますが、デュベカバー(封筒状の布団カバー)は、お客の目に直接触れる部分なので、簡易的に折り畳んで運ぶようにしています。

 当初は洗い終わったシーツ類を同じフロアにワゴンで運ぶやり方でしたが、洗濯に30分、乾燥に30分と計1時間分の時間差が生じるため、前日の夕方に洗った1フロア分を在庫として余分に持ち、それらを最初のフロアに持って行き、フロアごとにずらしてシーツ類を交換しながらベッドメイクするように変えました。

 そうすると、時間のロスなくシーツ類の回収とベッドメイクが一連の作業で同じチームででき、最後に洗濯した1フロア分のシーツ類を、翌日の最初のフロア分として持って行くため、枚数を管理する作業もありません。

 ――客室清掃やリネンの交換では静電気対策が重要です。

 リネン洗濯の内製化により、清掃前にシーツ類を集め、そしてベッドメイクしなければならないので、毛や埃を巻き込んでしまうケースがありました。そこで生地の素材に静電気防止糸をつけると、表面もツルツルして髪の毛などが張り付くこともなく、問題が解決しました。

 これまではベッドメイクを清掃後にやるので、気づかずに舞っていた綿埃が、お客が入室したときにテーブルなどに付着してしまうことも多くあります。このためベッドメイクを最初にやって、その後に、床回り、水回りの清掃を分業制で行っています。

 ――内製化した清掃をチームによる分業制にしている理由は。

 1つの客室に複数のスタッフが入ることになり、1つの客室を複数の目で見ること(チェック)が可能になります。これによってミスを発見しやすくなります。

 例えば、冷蔵庫の清掃に4人が手を触れます。①冷蔵庫の電源を切ってドアを開ける人②拭く人③仕上げる人④客室案内時に冷蔵庫の中を開けてお客に説明する人――です。 

 1人で完結すると、どうしても見落としが出てきます。作業工程の中にチェック機能が働き、「作業中に品質が上がっていく」方法を取っていて、多くの宿泊施設で行われているフロントスタッフによる客室のチェックもなくせます。

 ――現場の負担を軽減するために開発された新素材とは。

 生地メーカーとの出会いがあり、ポリエステル100%の静電気防止糸の入った「ノン・アイロン・リネン」を共同開発できました。

 開発のなかで重要視したのは、①「作業性」を上げていく②「耐久性」を担保する――の2点です。

 作業性を上げる部分では、現場の肉体的な負担が大きく軽減されるため、一度体験すると、むしろ現場スタッフから経営者にリネンの洗濯内製化を催促することが実際に起こっているところがこの内製化の特徴です。

 3次元形状のシーツは4隅を引っ掛けるだけなので、ベッドを動かすこともなく1人でベッドメイクが可能です。また、短辺と長辺、裏と表、対応するベッドのサイズを迷わず、一目で分かるように糸の色を変え、セミダブル、ダブルベッドも糸の色で見分けられるように工夫しています。デザインは無地とストライプの2種類をそろえています。

 耐久性については、毛玉やほつれ、へたりの問題をどう解消していくかがポイントです。3次元形状の下には輪ゴムを使わず、生地自身の伸縮性だけで止められる素材を採用し、不快な就寝中のシーツのズレが生じないところも強みです。

 綿の掛布団カバーは乾燥機を掛けると縮むため、少し大きめに作るため間延びした印象もありますが、開発した生地は縮むことがないので、布団のサイズに対して若干小さめに作っています。これによって全体的に布団がふっくらし、シワが目立たなくなります。

 このノン・アイロン・リネンに関心があれば、QRコードからお問い合わせください。サンプルを有償提供もしています。