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「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(259)」地域資源をどう見抜くか(香川県さぬき市)

2026年8月9日(日)配信

1万人収容のイベント拠点「テアトロン」

 香川県東部のさぬき市が、新たな観光ビジョンを策定するというので、7月初旬、4日間にわたるフィールドワークに参加させていただいた。さぬき市と言えば、皆さんは何を思い浮かべるであろうか。東京など首都圏から見ると、なかなかイメージしにくい地域である。

 四国霊場八十八ヶ所に興味のある方は、弘法大師・空海が修行した四国遍路の結願寺(結びの地)といわれる88番大窪寺や87番長尾寺、86番志度寺などを思い浮かべられるであろう。また、昨年の大河ドラマ「べらぼう」に登場した江戸の奇才、平賀源内の生誕地であることをご存じの方も少なくないであろう。さらに、この地域の海は瀬戸内海国立公園にあり、とくに「津田の松原」(3千本の松原と渚百選)はよく知られている。

 私事ながら、中・高の6年間を高松市で過ごした関係で、多少とも土地勘はあった。ただ、2002年に周辺5町村が合併して誕生した市であり、全体を貫くような共通の地域イメージと言われると自信はない。

 今回のフィールド調査では、古墳時代中期、5世紀前半ごろの墳丘長139㍍の四国最大の古墳・富田茶臼山古墳(国史跡)や、奈良時代の高僧・行基が、病気平癒のために造ったと伝わる「古代サウナ」の塚原からふろなど、律令国家として栄えた讃岐國を象徴する第1級の資源の数々に驚いた。

 自身、馴染みの薄い地域を訪ねるときは、その地域の地理・地勢(X軸)とともに、歴史の積み重ね(Y軸)を意識したリサーチを心掛けている。この地域は、そもそも何者か、未来に向けてどんなポテンシャルを秘めているのかを探るには不可欠の作業である。

 同時に、資源調査で重視しているのが、地域の人々の力、つまり地域づくりを担う人的資本である。

 瀬戸内海に突き出した大串半島は、瀬戸内海を一望できる絶景の地である。かつて京都の寺院や石仏の基壇などに用いられていたという石切場もある。その半島の突先に、ギリシャ神殿を彷彿とさせる1万人収容のライブ・イベント施設、テアトロンが設置された。2年前には、岬を流れるゆったりとした時の流れを、「自らの過去・現在・未来をそっとしまっておける」場所というコンセプトの「時の納屋(オーベルジュ風レストラン)」も開館した。香川大学農学部が育成した「香大農R―1」などの品種を用いたさぬきワイナリーなどもあり、この地を感じる新しい拠点になっている。

古民家再生の拠点「うみの図書館」

 衰退した海岸部では、地域の若者たちによる古民家再生など新たな町づくりも盛んだ。津田にある「うみの図書館(泊まれる図書館)」もその一つである。ここをフロントとして周辺の空き屋再生宿とのネットワークもできつつある。

 地域の未来を描く観光ビジョンは、こうした地域を担う人々を発見し育てるプロジェクトでもある。ビジョンの今後に期待したい。

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