〈旅行新聞7月1日号コラム〉――現場を知る中小旅行会社 AIには無い信頼関係や心強さがある
2026年7月1日(水) 配信

5月20~23日にかけて、東京都旅行業協会(小松信行会長)と、台湾・台北市旅行商業同業公会(陳怡璇理事長)が友好協定を結ぶ締結式の取材で台北市を訪れた。
本紙は日台の観光交流拡大に向けて取材や発信を続けてきたが、この締結に本紙が関われたことは感慨深い。今号1面と4面で締結式と、台湾各地での交流会のようすを掲載している。
今回の締結式には、東旅協の訪台団14人と、本紙からも3人が出席し、台北市や新竹市、桃園市、新北市などを視察し、各地の交流会にも参加した。
2025年の訪日台湾人旅行者数は約673万人。これに対し、訪台日本人旅行者数は約148万人と5倍近い格差が生じているなか、「この現状を少しでも改善していこう」と、日台両首都の旅行業協会が力強く握手した。来年27年には再び、「訪台日本人旅行者数200万人達成」という大きな目標へ、協力し合うことが約束された。
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今回の同行ツアーでは、中小旅行会社の経営者の方々と、4日間フルに行動を共にする機会に恵まれた。現地の移動中にもパソコンを開き、行程表の作成や、顧客やバス会社などとの連絡を絶やさない姿を間近に見ることができた。
実際に、羽田空港で集合してから、搭乗手続きや出入国審査などの流れは、まるで氷上を滑るようにスムーズに流れていった。私自身、出入国手続きや渡航先の交通システムにいつもモタついて、自己嫌悪に陥ってしまうのだが、今回は東旅協の方々の継ぎ目のない丁寧な誘導に、「これがプロの旅行会社なのか」と改めて感じ入った。
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今やAIが旅行プランも作れる時代になった。総合旅行会社や、宿泊予約サイトを運営するオンライン旅行会社(OTA)はAI時代にどのように生き残っていくか、将来の明確なビジョンを描くのは容易ではない。
大手旅行会社は主軸の旅行業だけでなく、地域振興やさまざまな事業受託など、幅広い分野に参入し、事業の多角化が進んでいる。旅行業で培ったノウハウや人材を有効に活用していく道筋を模索し、既に実績を積み上げていている会社も多い。
来るべき時代における活路をいち早く見出し、新業態への扉を開いていく挑戦的な姿勢は素晴らしいことだと思う。
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一方で、中小旅行会社の未来はどうだろうか。近い将来、旅行業は不要になるのか――といった議論も耳にするが、むしろ少数精鋭の旅行会社は強く必要とされていくのではないかと感じている。
その理由は、「現場を知っている」からである。
先述の通り、中小旅行会社の経営者らと密度の濃い時間を過ごした。彼らは現場に通暁している。なぜなら経営者自らが営業し、ツアーを企画する。宿や飲食店、バス会社などとサービス内容や料金などを交渉し手配する。お互い顔が見える同士、信頼関係が強固だ。そして常に顧客と連絡を取り合い、当日は満面の笑顔でツアーガイド旗を持って出迎え、数日間の旅行を全力で盛り上げる。訪れた地の歴史や文化を語り、旅の途中で体調を崩した旅行者には、柔軟な対応で安心感を与え、速やかに適切なケアをする。
このような小さな専門家(プロ)集団はかけがえなく、心強い存在だ。「AIには無い強みが旅行会社にある」と確信している。
(編集長・増田 剛)


