「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(185) サービス業の本質を学ぶ 笑顔で仕事ができる現場を
2026年6月21日(日) 配信

東京駅にある「東京ステーションホテル」は、私の大好きなホテルのひとつです。初めて宿泊してから10年以上が経ちますが、なぜそれほどまでに私を魅了するのか……。
過日、久しぶりに総支配人である藤崎斉氏を訪ねて話をしました。そのときに確信しました。トップの想いが未来に向けてどれだけ強いかと、それをどのようにスタッフと共有するかによって、その魅了は大きく変わるということをです。よく言われることであり、各社も取り組んでいます。
しかし、他の多くの施設と違い、東京ステーションホテルは、人を惹き付ける魅力が非常に高いのです。7月7日に東京ステーションホテルで、セミナーを開催して藤崎氏にご登壇いただき、その本質をお話いただくことになりました。
宿泊のきっかけは、東京ステーションホテルの歴史に魅力を感じ、国の重要文化財に指定されている建物にも惹かれてのことでした。しかし、その後の宿泊は、その初めての宿泊時に出逢った「人」の魅力でした。
フロントでチェックインが終えたあとに、客室係が荷物を持って部屋に案内をしてくれたのですが、そこで大きな感動をしたのです。エレベーター内では他のお客様もいらして会話をすることはあまりありません。そして、エレベーターを降りてから客室までは比較的近く会話をする時間はありません。
しかし東京ステーションホテルは、エレベーターを降りてから客室までが長いのです。客室は2階と3階がメインで(一部4階もあります)そこに150室があります。東京駅の電車ホームと同じくらいに横に長く、東京タワーを横にした長さとほぼ同じ335㍍もあります。これはかなり大変なことです。
私を客室まで案内してくださった方は、若い女性スタッフでした。「大変でしょう?」と思わず声を掛けてしまいました。
すると、「いいえ、そんなことはありません。このご案内するときにお客様と交わす会話が楽しいのです」と。「それに、もし会話が途切れても、会話のきっかけとなる写真が通路に貼ってあるので、立ち止まって話を再開することもできるので助かっています」と、にっこりと笑ってくれた笑顔が本当に素敵だったのです。
スタッフが大きな負担を抱えずにイキイキと笑顔で仕事のできる現場を創ることが大切です。カスハラが問題となった昨今、社員を守る社内風土が重要視されています。しかし、その本質は、これまでしていたサービスの軽減ではなく、こうした工夫を創り出し、これまで提供していたサービスをより高めることなのです。それが働くスタッフにとってもやりがいにつながるのです。
コラムニスト紹介

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。


