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「観光革命」地球規模の構造的変化(289) 中国依存観光の見直し

2025年12月3日(水) 配信

 11月7日(金)の衆院予算委員会で、中国による台湾有事への対応について質問を受けた高市早苗首相が「武力攻撃が発生したら存立危機事態にあたる可能性が高い」と答弁し、大騒動が生じた。野党や大手メディアは「首相として中国を相手に集団的自衛権行使の可能性に踏み込んだ発言」として批判している。

 中国の薛剣・駐大阪総領事は「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟ができているのか」とXに投稿し話題になった。「一国の宰相の首を斬る」という信じ難い暴言であり、ウィーン条約に則ってペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として国外退去させるべしという批判が生じた。

 中国政府はいち早く日本への渡航自粛を要請したためにツアー取消などが相次いで生じており、また国営航空会社は日本向けフライト減便を発表した。日本留学の自粛要請や日本産海産物の輸入停止なども行われている。

 中国は日本のインバウンド観光立国の主役なので、観光業界に大きな動揺が広がっている。2024年の訪日外国人数は3687万人だったが、このうち中国と香港の合計が966万人で、全体の約26%を占めている。消費額でみると、訪日外国人全体で8兆1200億円だったが、このうち中国と香港の合計が2兆3800億円で、全体の約29%を占めている。そのため観光業界は今後の訪日観光の動向に大きな不安を感じている。

 第2次安倍政権・菅政権はインバウンド観光立国を重視し、訪日外国人旅行者の量的拡大観光・稼ぐ観光路線を強力に推進してきた。自公連立政権で公明党選出の国土交通大臣といういわば「親中」を前提にしたインバウンド観光立国政策が大成功を収めてきた。ところが高市政権の成立によって、日本の観光政策に大きな変化が生じている。

 日本ではこれまでインバウンド観光が重視される一方で、国内観光が軽視されてきた。24年の国内旅行消費額は25兆1500億円で、中国と香港からの旅行者による消費額の10倍を超えている。日本観光の正常な在り方として、日本人による国内観光の重要性に気づくべきであり、オーバーツーリズムの解決を視野に入れながら、中国依存観光の見直しが必要になっている。

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