東海道を巡る「駿州の旅」、静岡の宿場町と峠歩きを体験
2025年11月10日(月) 配信

江戸と京都を結ぶ「東海道五十三次」は、江戸時代に本格的に整備された五街道の一つ。静岡県中部に位置する静岡市、島田市、焼津市、藤枝市、牧之原市、吉田町、川根本町の5市2町は連携事業として、街道観光プロモーション事業を推進している。そのなかでも東海道の真ん中、駿州(すんしゅう)と呼ばれる地域は、旅人に愛された東海道の情緒や面影が今もそこかしこに残っている。このほど事業の一環として、「駿州の旅」を楽しむファムツアーを実施した。
東海道といえば、作家・十返舎一九(じっぺんしゃ・いっく)による弥次さん、喜多さんを主人公にした滑稽本「東海道中膝栗毛」や、浮世絵師・歌川広重の描いた「東海道五十三次」の浮世絵の舞台としても有名だ。2つの作品は、日本で初めての「旅ブーム」を起こした火付け役とも呼ばれ、現在の静岡市と藤枝市にあった宿場町や峠などが登場している。
今回、昔ながらの建物が残る宿場町や絶景を一望できる峠を歩き、東海道の歴史や文化に触れ、まるで過去へ遡る江戸時代への時間旅行のような街道観光で巡った観光素材を紹介する。
□江戸香る「宿場町」、情緒あふれる街並み
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「蒲原宿」は、江戸時代の面影を強く残す東海道15番目の宿場町。高波により1701年に現在の位置に宿場を移してから町割りは変わらず、なまこ壁や特徴的な町家建築、和洋折衷の大正モダン建築など、歴史街道に認定されたレトロな街並みが現在も残っている。
歌川広重の浮世絵作品の傑作の一つ「蒲原 夜之雪」の記念碑のほか、外観は洋風、内観は和風の大正モダン建築「旧五十嵐歯科医院」など、歴史感じる見所が満載だ。
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「府中宿」は、駿府城の城下町として栄えた東海道最大規模の宿場町。徳川家康公が駿府城(すんぷじょう)を築城し、現在は本丸、二ノ丸部分を整備した「駿府城公園」が市民の憩いの場として親しまれている。
公園内にある風光明媚な「紅葉山庭園」や、2021年に内部の展示を一新した「東御門・巽櫓(たつみやぐら)」は、時間を忘れて見学したくなる。23年に開館した「静岡市歴史博物館」が隣接しており、静岡の歴史を深掘りできる。

「丸子宿」は、宇津ノ谷峠の東麓に位置する東海道20番目の宿場町。とろろ汁が名物であり、歌川広重が描いた浮世絵には、現在もとろろ汁を看板料理にする老舗「丁子屋」が描かれている。国の登録有形文化財。
丁子屋に訪れ、浮世絵から見る歴史やとろろ文化を学び、すりおろし体験でつくったとろろ汁のフルコースを堪能した。自然薯や味噌など素材から味わい、自分の手で仕上げたとろろ汁の味と香りの変化を楽しんだ。
「岡部宿」は、宇津ノ谷峠の麓に構える東海道21番目の宿場町。旅人や幕府の役人、大名も多く利用する宿場として栄えていた。江戸時代に建てられ、国の有形文化財に登録された「大旅籠柏屋」が今も残っている。
大旅籠柏屋は、当時の旅籠のようすや人の暮らしぶりが一目でわかる貴重な歴史資料館であり、数多くの展示から当時の面影を楽しめる。
「藤枝宿」は、東海道22番目の宿場町。徳川家康公が鷹狩りのためにたびたび訪れた「田中城」の城下町として栄えた。
城主の下屋敷跡に本丸櫓などの建物が移築、復元された「史跡田中城下屋敷」を見学。田中城の歴史や特徴を学び、遠くまで見渡せる本丸櫓の景色に想いを馳せた。
□2つの大きな峠、薩埵峠、宇津ノ谷峠
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「薩埵峠(さったとうげ)」は、江戸時代から往来した人たちを魅了してきた東海道屈指の絶景スポット。天候が良ければ、歌川広重の浮世絵にも描かれた雄大な富士山と深い青色の駿河湾が見渡せ、浮世絵さながらの風景を楽しめる。
「宇津ノ谷峠」は、静岡市と藤枝市の市境に位置し、現在も多くの人や物の往来を支える交通の要衝。古代から現代における主要な道路6本と、明治、大正、昭和、平成の4つのトンネルが現存し、時代の流れとともに移り変わる峠道のようすを体感できる。
□魅力ある歴史を体感、静岡市の観光スポット
「日本平夢テラス」は、標高300メートルの丘陵地にあり、屋外の展望回廊から富士山や清水港、伊豆半島、南アルプスなどのパノラマビューを楽しめる。「久能東照宮」につながる日本平ロープウェイまで徒歩3分。
「久能山東照宮」は、家康公の遺言により御遺骸を久能山に埋葬し、2代将軍秀忠公の命で創建された神社。全国で最初に創建された東照宮といわれ、御社殿に家康公を祀る霊廟がある。
「バンダイホビーセンターPDIIミュージアム」は、今年竣工したバンダイの新工場内に9月からオープンしたプラモデルの体験ミュージアム。生産工程の見学や、自身がデザインしたプラモデルのオリジナルパッケージ箱を持ち帰られる。完全予約制。






