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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(136)お客様の心を掴むメッセージ 自慢のスタッフを紹介

2021年5月14日(土) 配信

 

 今年開催する大型イベントで、観光客を案内する添乗員向けの研修を依頼されました。1日目が座学で、「添乗員としてのお客様対応について」の話をして、2日目にバスを使った具体的な行動のロープレ研修を行いました。

 各地から早朝に集まった添乗員を、バスドライバーが笑顔で迎えます。全員が集合してバスに乗り込むと、1本のペットボトルと主催者からの短いメッセージカードが私の座席に置いてありました。

 ホテル・旅館に宿泊すると、こうしたサービスやメッセージカードをよく目にします。とくに、お客様それぞれに準備されたメッセージカードには感動します。ただ用意する側は、非常に手間が掛かります。

 お客様の反応やその効果を考えると、「やった方が良いのは分かるが」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。

 メッセージカードの効果を高めるには、同じ文面ではなく、お客様への個別メッセージが重要であると思います。ただ、多くの宿泊者に個別のメッセージを書くのは大変なことです。

 今回の添乗員研修でもらったメッセージカードは、もうひとつのヒントとなるものでした。

 研修バス担当のバスドライバーは、乗降のたびに参加者と「お疲れ様です」「がんばってください」と言葉を交わしていました。

 添乗員のあいさつ研修のときも、ドライバーを紹介するたびに、運転席から帽子を高く上げて応えてくれました。こうした雰囲気だからこそ、添乗員は気持ちよく研修できたのです。

 1日の研修を終えたとき、「ここだ」と思って主催者から受け取ったメッセージカードを読み上げました。すると、多くの添乗員が涙を流しながら、ドライバーに大きな拍手を送ったのです。

 そのカードには、ドライバーが「今日ラストラン」であると、記されていたのです。出逢って数時間を共にしただけで、ドライバーに対してみんなが涙を流すような感動が生まれたのか。

 研修ドライバーの役割を一生懸命に果たしたことも大きな要因です。

 ただ、それ以上に「ラストラン」を伝えた、主催者のスタッフへの想いも忘れてはならないと思います。「チームスタッフを大切に想う気持ち」が、お客様の心を掴んだのです。

 今日書くメッセージカードに、自慢のスタッフを紹介してみてください。本人のやる気にもつながるでしょうし、お客様も逢ってみたいと思われるでしょう。

 カードを読む、お客様の心に残るメッセージとは、丁寧な文字で例文を書き移すことではないのです。

 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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