愛真館 夕食に焼肉・盛岡冷麺 新たな食事処オープン

2023年3月22日(水) 配信

夕食メニュー一例

 愛真館(岩手県・つなぎ温泉)の1階に新たな食事処「盛岡冷麺・焼肉 黒ひげ Produced by 髭」が2月20日にオープンした。

 新たな食事処は地元の人気店、焼肉冷麺「髭」がプロデュースした。「温泉旅館の夕食はバイキングや会席などが定番だが、ご当地の名物も味わいたいというお客様も多い。そこで盛岡の食と言えば盛岡冷麺と焼肉であり、気軽にその味を楽しんでほしいとオープンしました」(同館)と語る。

 会場は17卓(6人掛け5卓、4人掛け12卓)で木の温もりを感じるテーブル。ここで焼肉・盛岡冷麺のコースメニュー(県産黒毛和牛カルビ・国産ロース・ハラミ・豚カルビ、盛岡冷麺またはビビンパまたはクッパなど)や単品メニューを用意している。

 営業時間は午後5時30分―9時(ラストオーダー8時30分)。また、ランチ(午前11時30分―午後2時、ラストオーダー1時30分)は一般にも開放する。ランチは盛岡冷麺や、県産黒毛和牛カルビ重、豚カルビ重などで、焼肉は提供しない。

 今回のオープンで既存のバイキングや部屋食、食事処に加え、さらにさまざまなスタイルで食事を提供することができるようになった。

 同館がある盛岡市は、今年1月にニューヨーク・タイムズが発表した「2023年に行くべき52カ所」に福岡市とともに選ばれ、しかもロンドンに次いで2番目に紹介された。盛岡は中心街に歴史的な建物と、川や公園などの自然があり、街歩きを手軽に楽しめるほか、コーヒー店やわんこそば、ジャズ喫茶、書店など文化が根付く街であることが評価され、選ばれた。

 これまでに日本から選出されたのは東京、大阪、京都など世界的にも名の通る大都市で、中核市が選ばれたのは初めて。

【野村 一史】

しまなみ海道サイクリング オーダーメイドツアー展開 「Eバイクで長距離も快適に」

2023年3月22日(水) 配信

「サイクリストの聖地」瀬戸内しまなみ海道

 愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ全長約70㌔の「しまなみ海道サイクリングロード」は、多島美の絶景を眺めながらサイクリングが楽しめ、「サイクリストの聖地」として注目を集める。

 芸予諸島の島々を結ぶ西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の橋の部分に併設された原付および自転車・歩行者道を利用することで瀬戸内海を渡ることができる。日本初の海峡を横断する自転車道で、国土交通省の「ナショナルサイクルルート」にも認定されている。

 愛媛県自転車新文化推進協会では、安全・安心なサイクリングを楽しんでもらおうと、「サイクリングガイド」制度を展開している。事業委託を受けた「コイデル」(今治市)が実施するもので、出発地やルートの詳細、立寄場所の設定、レンタサイクルの手配など、サイクリングツアーをトータルプロデュースする。

 ツアーには道路交通法などを熟知した経験豊富なガイドが同行。地元ならではの視点で安全性の高いルートを設定するほか、交通状況を予測した安全管理や緊急時に適切な対応が受けられるなど、ガイドが付くメリットは多い。

安全・安心なサイクリングを

 ツアーは事前ヒアリングから始めるオーダーメイド型だ。例えば要望が、サイクリング拠点「サンライズ糸山」(今治市)から尾道まで片道70㌔を体力のない4人で走り午後5時までに到着したい、という場合、Eバイク(スポーツタイプの電動アシスト付き自転車)を利用しガイドは1人付く。

 Eバイクであれば、1時間当たりの平均で18㌔程度走行することができるので、昼食・休憩時間を含め所要7時間を想定。午前8時30分集合でブリーフィングを経て、同9時30分にスタートすれば、午後4時30分ごろには尾道に着くという流れだ。

 希望によっては、ツアーに車で伴走し、補給食やドリンクの提供などを行う「サポートカー」の手配も可能だ。

 普段、自転車に乗らない人にとっては数10㌔の走行は厳しいと思いがちだが、Eバイクを使うことで長距離移動も快適だという。観光スポットに立ち寄りながら、おいしいものを食べる、そして、しまなみの絶景に出会う。スローな自転車旅を今こそ楽しみたい。

のんびりと島々の風景を楽しむ

【土橋 秀孝】

「忍者」で広域周遊へ 伊賀・甲賀市と連携協定 大阪観光局

2023年3月22日(水) 配信

(左3人目から)溝畑宏理事長、岡本栄市長、岩永裕貴市長

 大阪観光局(溝畑宏理事長)は2月22日、忍者ゆかりの地である三重県伊賀市(岡本栄市長)のほか、滋賀県甲賀市(岩永裕貴市長)と観光振興の連携協定を締結した。協定締結には伊賀上野観光協会と甲賀市観光まちづくり協会、信楽町観光協会も加わった。

 両市は忍者の聖地として知られ、2017年には「忍びの里 伊賀・甲賀―リアル忍者を求めて―」が日本遺産に登録された。忍者はアニメ放送などの影響もあり、海外での知名度が高くインバウンド誘客にあたっての有力コンテンツになりうることから、ゲートウェイ機能を強化する大阪と連携することで、広域観光ルート形成をはかる。

 「忍者の日」である同日の記者会見で、大阪観光局の溝畑理事長は「コロナ禍を経てインバウンド復活後の大きなうねりとして忍者をコンテンツしたモデルコースをつくっていきたい」と話した。

 伊賀市の岡本市長は「しっかりと連携をして潮流を捉え、プロモーションやコンテンツの造成に取り組んでいきたい。伊賀市では忍者体験施設の整備も進めている」と語った。

 甲賀市の岩永市長は「令和2年11月22日にリアル忍者館をオープンした。甲賀の観光のゲートウェイとして人気だ。第2期工事として、体験施設の整備にも着手する予定だ」と述べた。

 会見には国内外で活躍するダンサーのケント・モリさんが登場し、忍者をテーマに拡張現実(AR)を使ったダンス映像を披露した。

阿部長商店 フィランソロピー賞受賞 社会貢献顕彰で語り部評価

2023年3月21日(火) 配信

贈呈式に出席した阿部憲子女将(前列右から2番目)

 南三陸ホテル観洋(宮城県・南三陸温泉)を経営する阿部長商店(宮城県気仙沼市)はこのほど、日本フィランソロピー協会(浅野史郎会長、東京都千代田区)が主催する「第20回企業フィランソロピー大賞」の企業フィランソロピー賞を受賞、3月3日に東京都内で贈呈式が開催された。

 同賞は自社の経営資源を有機的・持続的に活用した社会貢献活動を顕彰するもので、2013年に創設。

 阿部長商店はKATARIBEカルチャーの創成が対象活動として受賞した。同社が経営する南三陸ホテル観洋は2011年3月11日の東日本大震災時に自ら被災しながら、約600人の避難者を受け入れた。また所有する多目的ホール、高野会館は震災遺構として保存している。このような経験を通じて始めた「KATARIBEプロジェクト」はホテル宿泊者を対象に被災した場所を、同館の社員などが語り部となる「語り部バス」の運行を毎日継続するなど、震災経験の風化防止だけでなく、命を守ることの大切さを共有する学びの場となっている。

 さらにこの学びを南三陸に留めることなく、「全国被災地語り部シンポジウムin東北」を開催し、国内はもとより海外へも発信し続けている。

 なお、今年の全国被災地語り部シンポジウムは2月26、27日の2日間、同館の姉妹館であるサンマリン気仙沼ホテル観洋で開催した。

【野村 一史】

〈観光最前線〉通販で日本酒を買いまくり

2023年3月21日(火) 配信

日本酒三昧の日々

 日本酒の新酒ができる時期は一般的に12月から3月の日本の最も寒い時期に当たる。温度の変化を起こさないように、適切な温度管理の下に保管するためだ。吟醸造りをする時には気温が一定して低くないと品質を安定させるのが難しいからとされる。

 冬にはしぼりたての新酒が各地の酒蔵から出回るため、日本酒にとって美味しい酒が楽しめる特別な季節だ。近年はコロナ禍の影響で、従来は酒蔵に出向かないと手に入らなかったしぼりたての新酒が通販でも販売されるようになった。一部離島を除く日本中の誰でもネットで購入することが可能になったのだ。

 但しいまだにネットでも買えない銘柄が存在するのも事実。一筋縄で行かないところが「日本酒探しの旅」の醍醐味なのかもしれない。それもまた愉しい。

【古沢 克昌】

旅行新聞の連載「精神性の高い旅」(石井亜由美氏&島川崇氏) NHK文化センター青山教室で講座「東京の五色不動巡礼の旅」5月14日スタート

2023年3月20日(月) 配信

石井亜由美氏

 旬刊旅行新聞で毎月1日号掲載の「精神性の高い旅」は、グリーフケアや巡礼、色彩心理学などを研究するカラーセラピスト・石井亜由美氏と、神奈川大学国際日本学部教授の島川崇氏が交互に執筆する大好評企画だ。

 5月14日(日)からは、NHK文化センター青山教室(東京都港区)の講座「ふらっと巡礼 心の旅」として9月まで計5回、石井氏による「東京の五色不動巡礼の旅」が企画された。

 実際に徳川3代将軍家光公ゆかりの地をめぐりながら、仏教や仏像、歴史、開運などについて、案内人の石井氏が楽しいトークで“癒しの旅”を受講者と共に体感していく。

4月9日「精神性の高い旅」トークイベント

 なお、4月9日(日)午前10時30分~正午まで、石井氏と島川氏による「精神性の高い旅」の講演会&対談のトークイベントが開催される。

島川崇氏

 「東京の五色不動巡礼の旅」のオリエンテーションを兼ねた内容で、コロナ禍で失ったものが多いなか、新たなステージに向かう「心穏やかとなる旅へ」と誘う。

山崎まゆみ・著「温泉ごはん 旅はおいしい!」(河出文庫)発刊 著者初の食べ物エッセイ 「読めば温泉に行って美味しいものが食べたくなる!」

2023年3月20日(月) 配信

「温泉ごはん 旅はおいしい!」〈山崎まゆみ著〉表紙

「ひとっ風呂の後は、おいしいものが待っている‼」――。温泉エッセイスト・観光ジャーナリストの山崎まゆみ氏はこのほど、河出書房新社から、著者初の食べ物エッセイ集「温泉ごはん 旅はおいしい!」を発刊する。

 同書は、月刊誌「味の手帖」連載の温泉と美味をめぐる名エッセイを厳選し、文庫化した。32カ国、1000カ所以上の温泉に入った山崎氏が、北海道から沖縄、さらには海外まで、名湯湧く地を訪れて味わった絶品料理や名物の数々、そこで出会った多くの人々との交流を綴った、「読めば温泉に行って美味しいものが食べたくなる」ことまちがいなしの本だ。

 アワビが“ダンシング”(房総鴨川温泉)や、夏の戦の戦利品・稲庭うどん(秋田湯沢温泉)、湯治する大豆・ラジウム納豆(栃尾又温泉)、「うどんタクシー」に乗ってみた(琴平温泉)などのほか、乳頭温泉郷、箱根強羅温泉、下呂温泉、長良川温泉、有馬温泉、嬉野温泉、別府温泉郷に加え、海外の温泉と美味にまつわるエピソードも盛りだくさんの内容となっている。

 4月6日発売予定で、文庫判240㌻。価格810円(外税)。

埼玉県旅行業協会、創立70周年式典開く 「協定会員と一丸となり活性化はかる」

2023年3月20日(月) 配信

約140人が集まった

 埼玉県旅行業協会(浅子和世会長、242会員)は3月7日(木)、三日月シーパークホテル勝浦(千葉県勝浦市)で創立70周年記念式典を開いた。埼旅協協定会員連盟と特別協定会員連盟も出席し、計約140人が祝った。

 浅子会長は3月13日(月)からマスクの着用ルールが緩和され、感染対策のガイドラインも廃止されることにも触れ、「(これまでの)団体の慰安旅行も復活し、業界も活性化していくだろう」と予想した。そのうえで、「団体旅行の回復後には、いち早く協定会員連盟の施設に送客してほしい。今後も一丸となって業界の活性化をはかっていく」と話した。

浅子和世会長

 さらに、1953年に消費者保護のために設立された経緯などの歴史を振り返った。コロナ禍の3年間については「大変苦労したと思う」と語り、会員を労った。

 来賓の照川由美子勝浦市長は「コロナ禍からの回復の兆しが見られ、安堵している。今後は官民一体となった観光振興により努める。これが地域活性化となることに期待を寄せている」と語った。

照川由美子市長

 埼旅協協定会員連盟の森田繁会長は物価高騰の影響を受けている状況を報告。「(値上げ後に)我慢をしてでも来てくれたお客様へ、さらにおもてなしを磨き上げていく」と話した。

森田会長

 福岡県の旅館で基準値を大幅に超えるレジオネラ属菌が検出されたことに触れ、「全国の宿に不信感を持たれることを危惧している。安心して送客してもらえるよう、より一層お客様の立場に立ったサービスを提供していく」と語った。

 茨城県旅行業協会の木村進会長はコロナ禍を経て個人旅行が増加していることから、「団体旅行にも注力しながら、2~3人の旅行も大事することが我われの新時代の役割。観光業を活性化すれば、世界が明るくなる。自信を持ってほしい」と呼び掛けた。

木村進会長

 旅行新聞新社の石井貞德社長は「旅行客に喜びを与えていることにプライドを持ってほしい。皆様はコロナ禍を乗り越える力を持っている。これからも1人でも多くのお客を笑顔にしてほしい」とエールを送った。

石井貞德社長

 感謝状の贈呈では、全会員に記念品として社名入りの楯が贈られた。協定会員連盟の会員には感謝状が贈呈された。また、協会の設立以降70年間、その発展に貢献したとして、イーグルトラベル(谷島賢社長、川越市)が特別功労表彰を受賞した。

 式典に先立って開催された昨年の全旅協旅行災害補償の取扱高上位3社を表彰する分科会では、来賓として駒井輝男副会長が登壇。昨年、国のガイドラインが緩和されたこととマスクの着用が自由になったことに触れ、「これらは団体旅行を中心とする皆様のセールストークに生かせるだろう。以前のように大勢で楽しめる旅行に励んでほしい」と呼び掛けた。

駒井輝男副会長

 ㈱全旅の中間幹夫社長は「今年度のクーポン事業の売上が初めて400億円を超えた。団体旅行が少ないなかで健闘してくれた」と敬意を表した。

中間幹夫社長

 懇親会も開かれ盛会裏に終わった。

東京會舘「Drape(ドレープ)」が日比谷玄関口にオープン 本格的なクラシカルフレンチを気軽に 榎本支配人「新しい食の舞台を創造していきたい」

2023年3月20日(月) 配信

ドレープの榎本貞樹支配人

 東京會舘(渡辺訓章社長、東京都千代田区)は3月16日(木)、東京・日比谷の玄関口に、本格的なクラシカルフレンチを気軽なスタイルで楽しめるレストラン「Drape(ドレープ)」をグランドオープンした。

 創業100年を迎えた東京會舘が数々の国公賓やVIPをもてなしてきた本格的なフランス料理の味わいはそのままに、コース料理やドレスコードにとらわれないビストロのように、アラカルトを中心とした現代的なスタイルへと再構築した。

 同店では、1人1品からでも、グループでシェアしながらでも、多様なスタイルに対応する。「ウフマヨ」や「パテ・ド・カンパーニュ」、「黒豚のオルロフ風」などクラシカルな料理に合わせて、ワインを中心にさまざまなドリンクもそろえている。

オープンキッチンのエンターテインメント性が特徴

 オープンキッチンの舞台から広がる開放的な食空間が特徴で、テーマは「劇場」。調理や接客の過程も、エンターテインメントとして楽しめる空間づくりにこだわった。

 榎本貞樹支配人は、「さまざまな文化・芸術が集まる日比谷で、新しい食の舞台を創造していきたい」と語る。

 営業時間は平日・土曜日が午前11時~午後10時、日曜日は午前11時~午後9時。席数は52席(127平方㍍)。

 所在地は、東京都千代田区有楽町1―5―2 東宝日比谷プロムナードビル2階。

アウトバウンドを19年水準に、本格回復への政策パッケージ策定(和田観光庁長官)

2023年3月20日(月)配信

観光庁の和田浩一長官は3月15日(水)に会見を開いた

 観光庁の和田浩一長官は3月15日(水)に開いた会見で、アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージを策定したことを発表した。アウトバウンドの本格的な再開を見据えて、イン・アウトを両輪として双方向の交流拡大をはかり、出国日本人数を2019年水準である2000万人への回復を目指す。和田長官は「アウトバウンドはインバウンドに比べて回復が遅れている。業界団体や各国・地域の政府観光局と連携し、一層積極的な取り組みを進めていきたい」と力を込めた。

 アウトバウンドの推進について、同庁は「日本人の国際感覚の向上や国際相互理解の増進による諸外国との友好関係の深化をはかるもの。このうえで、双方向の交流拡大を通じて航空ネットワークの拡大、そしてインバウンドのさらなる拡大にもつながる」との認識を示した。

 政策パッケージでは、①諸外国との連携体制の強化②戦略的かつ効果的な取り組みの推進③安全・安心な旅行環境の整備・青少年交流の促進――の3つの柱を掲げた。3つの方向性から取り組みを実施するものとして、具体策は日本旅行業協会(JATA)などの業界団体と協議を行ったうえで決めていく方針だ。 

 1つ目の諸外国との連携体制の強化では、重点国・地域をはじめ各国・地域との連携体制を構築し、アウトバウンド増加に向けた強力な枠組みを整備する。2国家・地域間での海外旅行者数の設定など覚書の締結を推進し、各国政府観光局との総合的・一体的な連携スキームの構築を行う。

 2つ目の戦略的かつ効果的な取り組みの推進では、アウトバウンド増加のポテンシャルが高い若者やシニア層を中心に、戦略的かつ効果的な取り組みを推進する。各国政府観光局や旅行会社、航空会社などと連携した特別キャンペーンの促進や、ツーリズムEXPOのさらなる活用、戦略的・効果的な取り組みのためのマーケティング調査を行うとした。

 3つ目の安全・安心な旅行環境の整備・青少年交流の促進では、現地情報の発信を通じた安全・安心な旅行環境の整備や、次世代を牽引する青少年交流の促進をはかる。ツアーセーフティーネットによる現地の治安や医療機関に関する情報などの安全情報の発信の強化、参加事業者の拡大や、海外教育旅行のさらなる普及や促進、重点国・地域への送客強化に取り組む。

 和田長官は「イン・アウトともに、25年までにコロナ禍前の水準を超えたい」考えを明かした。

2月の訪日客数148万人、コロナ前77%まで回復

 2023年2月の訪日外国人旅行者数は、前年同月と比べて約88倍となる147万5300人となった。コロナ禍前の19年同月比は57%まで、水際対策が続く中国を除くと77%まで回復した。

 インバウンドの回復動向について、和田長官は「訪日個人旅行を解禁した22年10月以降、19年と比べた毎月の訪日者数回復率は毎月増加し、堅調な回復が続いている」と話した。今後の見通しについては「3月に中国からの入国者に対する水際措置の変更や国際クルーズが再開され、さらなる訪日客の回復につながる」と期待を寄せた。

 一方、23年2月の出国日本人数は53万7700人。同年1月と比べると約1.21倍だったが、19年同月比では約33%と回復には至っていない現状を明かした。和田長官は「円安や燃料費の高騰、そして感染への不安などにより海外旅行への機運が醸成できていないことから3割強に留まっている」との見解を示した。

「観光再始動事業」、3月中の採択を見込む

 インバウンドの本格的な回復に向けた「観光再始動事業」については、1月31日(火)~2月27日(月)まで公募を受け付けた。文化や自然、食、スポーツなど多岐にわたる分野から約1000件の申請があったと述べ、有識者などによる審査委員会で審査を行ったうえで3月中に採択を決定する見込み。なお今後、2次募集の実施も行う予定としている。

 和田長官は「同事業を活用してインバウンドの回復、それから地方への誘客をさらに加速して、訪日外国人旅行消費額5兆円の早期達成に向けて取り組みたい」考えだ。