2025年7月3日(木) 配信

全国旅行業協会(ANTA)の近藤幸二会長(全観トラベルネットワーク、岡山県)はこのほど、6月25日(水)の総会で会長に選任されたことを受け、就任にあたってのメッセージを発表した。
全文は次の通り。
【ANTA会長への就任にあたり】
この度、二階俊博前会長の後を継ぎ、新たに全国旅行業協会会長に就任いたしました、近藤幸二でございます。このような大役を仰せつかり、身に余る光栄であると同時に、その責任の重さに身の引き締まる思いです。
まず、この場をお借りし、二階前会長に心からの御礼を申し上げます。二階前会長におかれましては、1992年より33年もの長きにわたり、ANTAはもとより、旅行観光産業界全体の発展に多大な功績を残してこられました。現在の旅行観光産業が、我が国の「成長戦略の柱」や「地方創生の切り札」とまで言われる存在に昇華できたのは、まさに二階前会長の強いリーダーシップとカリスマ性の賜物と申し上げても過言ではありません。改めて、二階前会長のご功労に深く敬意を表し、心より感謝申し上げます。今後も、当協会の名誉会長として、当協会のみならず観光業界の発展にご支援賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
さて、観光業界は今、大きな岐路に立たされていると言えるでしょう。新型コロナウイルス感染症が収束し、インバウンドは過去最高の約3700万人を記録し、国内観光も個人旅行を中心に活況を取り戻し始めています。しかしその一方で、日本人による海外旅行者数は約1300万人と依然として低迷しており、ANTA会員が得意とする団体旅行も、コロナ禍前の約8割程度の回復にとどまっています。さらに、旅行サービスの供給不足・価格高騰、オーバーツーリズム、旅行店舗離れ、生成AIとの共生など、従来の旅行業者のビジネスモデルでは立ち行かなくなる日が差し迫っているのではないかという、まさに危機感を覚えるほど、業界を取り巻く環境は激変しています。
このような状況において、当協会としては、目まぐるしく変化する社会情勢やニーズを見極めながら、旅行業界とANTA会員の持続的な発展を目指した活動を展開してまいります。具体的には、まず旅行者の裾野を広げるため、パスポート所持率の向上や若者の国際交流機会の創出、さらにはラーケーション導入促進などによる平日への分散化といった旅行需要の平準化を推進し、新たな旅行者層の獲得に注力してまいります。また、旅行業界が「魅力的で稼げる業界」へと回帰するためにも、特別な体験やユニバーサルツーリズムなど高付加価値旅行商品の企画、リアル店舗ならではのサービス提供、地元の魅力を生かしたインバウンド商品の取扱強化、そしてDX推進など、収益性の向上をはかる事業についても重点的に取り組んで参ります。これらの取り組みで成果を上げていくためには、観光関係団体の皆様との連携が何よりも肝要であると存じますので、何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます。
二階前会長が常々仰っておられましたとおり、旅行産業は人々に笑顔を与えるだけではなく、地域・国を元気で豊かにし、世界の平和に貢献することができる崇高で不可欠な産業です。こうした旅行観光産業を明るい未来に紡いでいけるよう、全国都道府県47支部の5300社の会員とともに、微力ではございますが、新会長として職務を全うすべく、全身全霊で尽力していく所存でございます。 皆様には、より一層のご支援とご協力を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
近藤 幸二(こんどう・こうじ)氏 1952年生まれ。1975年3月東海大学政治経済学部卒業後、同年4月水島臨海鉄道入社。79年4月全国観光公社入社。91年全観トラベルネットワーク設立、代表取締役社長。2004年7月全国旅行業協会岡山県支部長、岡山県旅行業協会理事長、09年6月全国旅行業協会理事、13年6月同副会長などを経て、25年6月同会長に就任。