〈旅行新聞4月1日号コラム〉――24時間サービスの回転軸 おもてなし精神の根底に「清掃」がある

2025年4月1日(火) 配信

 旅館やホテルでチェックアウトが遅くなったとき、客室の清掃スタッフと廊下で鉢合わすことがある。大半の客室の扉は開放され、丸めたシーツや新しいアメニティを載せたワゴンなどが廊下に散見される。

 「おはようございます」「ありがとうございました」など、すれ違うときにあいさつを交わしながら、エレベーターホールに向かう。「仕事場」となった客室フロアは、前日の塵一つ落ちていない、真新しいページを捲るような張り詰めた雰囲気との違いを感じる。

 午前10時から午後3時までの5時間は、宿の表情が一変する。客室や大浴場の清掃、庭の手入れ、料理の下拵えなど、バックヤード担当のスタッフが大活躍する時間帯だ。

 夕食会場やラウンジなど、宿の公共空間で出会うスタッフは、いわば「表の顔」だ。快適な滞在時間を過ごしてもらうために、ほど良い緊張感と心地良い笑顔で、さまざまな気遣いやおもてなしをしてくれる。

 24時間を円グラフで描くと、フロントや客室係、厨房、清掃、夜警担当などが時間帯によって入れ替わりながら、それぞれが「主役」となって役割を果たし、リレー形式で宿泊客に快適なサービスを提供している。

 宿泊客の目線で見ると、宿における24時間サークルは、チェックインする午後3時が起点(スタート地点)で、チェックアウトの午前10時が終幕(フィナーレ)となる。あとの残りは「次の客が来るまでの準備時間」で、これが毎日回転していると感じてしまいがちだ。

 でも実は午前10時から午後3時の5時間が、24時間高品質なサービスを提供するための最も大切な回転軸なのである。

 宿のおもてなしの軸は清掃にあると思っている。客室に入った瞬間、とてもきれいに清掃されていると「この宿にして良かった」と思う。建物が古くても、心を込めて清掃されていると分かる。客室だけでなく、ラウンジや大浴場、食事会場なども同じで、すべてのおもてなし精神の根底に清掃がある。

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 最近、宿のおもてなしについてしばしば考える。

 到着早々、宿泊客が聞いてもいないのに、宿の特徴やコンセプト、滞在中の楽しみ方などを説明する宿もある。「客への説明=おもてなし」という体裁を装いながら、自らの宿の価値を、自らの説明によって高めようとする姿勢には共感できない。しゃべり過ぎるバーテンダーのいるバーのようで足が向かない。「我が宿の優れたデザインコンセプトを延々と説明し続けていいのだろうか」と、客の表情や仕草で判断するような「控えめ」さも必要だろう。

 料理のテーブルで炎が上がったり、煙が出たりするサプライズの瞬間を客が見逃さないように、随分前からソワソワしながらお客の後ろにスタッフが張り付いて感動を共にしようとする演出なども、プロの仕事ではない。その瞬間、客はやや大袈裟に喜び、宿を褒め、企画の成功に満足げなスタッフに感謝するしか選択肢はないのだから。 

 しっかりと清掃された客室には「仕事の成果」のみがあり、仕事をした当人はいない。お礼を言いたいのに、その人は風のようにいない。置き土産として精一杯心を込めた「清潔な客室」が客の前に残されている。涙が出そうになる時がある。これこそが究極のおもてなしではないか。

(編集長・増田 剛)

【日本ホテル協会】パレスホテル東京とメトロポリタンエドモントが最優秀賞 社会的貢献へ会長表彰

2025年3月31日(月) 配信

 日本ホテル協会(蔭山秀一会長、230会員)は3月27日(木)、春季通常総会に合わせて、「会員ホテルの社会的貢献に対する会長表彰」の表彰式を行った。最優秀賞は、パレスホテル東京と、ホテルメトロポリタンエドモントが受賞、優秀賞には7ホテルが選ばれた。

 6回目を迎える同表彰には14ホテルから応募があり、表彰委員会(小林節委員長)が取り組みの「新規性・先進性」、「効果・成果」、「継続性・持続性」、「展開性・発展性」、「社会的評価」の5つの観点から、ホテルの規模と取り組みの種類に区分して審査した。

 最優秀賞(総合型・従業員200人以上)を受賞したパレスホテル東京は、心のバリアフリー認定取得をはじめ、グルテンフリー商品の拡充、従業員トイレの非接触自動ドア化、全社員にサステナビリティ研修などを実施。プラスチック削減や、フードロス対策商品の販売なども高く評価された。

 同じく最優秀賞(個別型・従業員200人以上)のホテルメトロポリタンエドモントは、消費者庁や厚生労働省の「食べ残しの持ち帰りに関するガイドライン作成検討会」にホテル事業者の立場として参画し、管理責任の明確化や法的責任、保健所からの指導の明確化などを提言した取り組みが認められた。

 優秀賞を受賞した7ホテルは次の通り。

 SHIROYAMA HOTEL Kagoshima▽ホテルニューオータニ▽芝パークホテル▽南の美ら花ホテルミヤヒラ▽ホテルメトロポリタン盛岡ニューウイング▽ホテルカデンツァ東京▽ホテルニューオータニ高岡

全国2000カ所のポイントラリー 日本全国ドライブキャンペーン2025実施中

2025年3月31日(月) 配信

9月30日まで実施中

 オートバックスセブン(堀井勇吾社長、東京都江東区)は9月30日(火)まで、ネクスコ東日本エリアトラクトと中日本エクシス、西日本高速道路サービス・ホールディングス、全国道の駅連絡会、日本観光振興協会と連携し、「日本全国ドライブキャンペーン2025」を開催している。ドライブで観光地や地域を盛り上げようと企画したポイントラリーイベントで、全国約2000カ所にスポットを設定した。

 キャンペーンはモビリティライフ情報サービスアプリの「MOBILA(モビラ)」のマップ上に登録された全国各地の「サービスエリア・パーキングエリア」「道の駅」「観光地」約2000カ所のスポットを巡り、ポイントを貯めて応募。ポイント獲得上位者のなかから、抽選で合計40人に旅行券や地域のカタログギフトなどが当たる。また、参加賞として300ポイント以上の獲得で先着1万人にCoke ON®ドリンクチケットをプレゼントする。

 ポイントの獲得方法は、モビラアプリをダウンロードしてマップ上に表示されるスポットを訪れ、画面をタップする。達成状況やポイント獲得数のランキングは全国、エリア別、スポットカテゴリー別にリアルタイムで確認でき、全国の参加者と競いながら楽しめるという。同社は「サービスエリアや道の駅などを経由し観光スポットを巡ったり、ポイント数の高いスポットを目指してドライブ計画を立てたり、おでかけの楽しみが広がります」とアピールしている。

NAA、展望デッキ改修 空港滞在楽しむ新たな価値提供へ

2025年3月31日(月) 配信

展望デッキの芝生エリア

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)は4月7日(月)から、第1ターミナルの展望デッキを含む5階エリアの改修工事を実施する。これに伴い、同エリアを全面閉鎖。2026年春のリニューアルオープンを目指す。

 供用再開後には、「日本の文化と精神性を育む豊かな水と四季の移ろい」をテーマに、日本の玄関口である成田空港で滞在を楽しむ新たな価値を提供する。同エリアのうち、展望デッキは、芝生エリアやウッドデッキなどを備えた空間に生まれ変わる。館内には日本らしい畳のスペースのや茶の間を備えたスペースを設置する。

居の間

 なお、5階にあるレストランとショップ、ラウンジは通常通り営業を行う。

【ANA X】人事異動(4月1日付)

2025年3月31日(月) 配信

 

 ANA Xはこのほど、4月1日付の管理職者(部長級)の人事異動を発表した。

                 ◇

 旅行顧客戦略準備室室長(旅行事業推進部部長)森田將裕

 経営戦略部部長(事業開発部部長)金子和靖

 EC事業推進部部長(EC事業推進部副部長)髙橋渉

 ライフバリュー事業部部長 若林慶太郎

 

8月に大曲で「全国花火競技大会」を鑑賞 ジャルパックがツアー販売

2025年3月31日(月) 配信

 

 ジャルパック(平井登社長、東京都品川区)はこのほど、秋田県大仙市で8月30日(土)に開かれる「全国花火競技大会」を鑑賞するツアーを売り出した。8月29日(金)出発限定の2泊3日の旅。

 同花火大会は、全国の花火師たちが日本一を目指して競い合う日本最高峰の花火競技大会。毎年約1万8000発が打ち上げられるという。ツアーでは、会場中央から花火が鑑賞できる「デラックステーブル」を用意した。大迫力の作品を間近に鑑賞できる人気の席。ノンアルコールの飲み物のほか、終了後に花火師を称えて振るペンライトをセットにする。

 また、花見大会前には秋田の観光地「角館」を案内。武家屋敷など、風情ある街の観光も楽しめる。

 出発は全国各地の空港から。募集定員は24人で予約は先着順。定員になり次第、販売を終了する。


新年度も「平日に泊まろう!」CP実施 JATA、休暇取得促進の機運醸成を

2025年3月31日(月) 配信

平日に泊まろう!CPロゴ

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は4月1日(火)から、旅行需要の平準化などを目指し、「平日に泊まろう!」キャンペーンを開始する。2024年度から継続して実施する事業で、週末や連休に旅行需要が集中するなか、平日は混雑を避けられ「ゆっくり のんびり」旅が楽しめることを訴求。平日の旅行を考えるきっかけとし、休暇取得促進の機運を醸成するのが狙い。

 CPは年間を4期に分けて実施。JATA会員会社で平日1人1万円以上の宿泊を伴う旅行商品を購入し、旅行した人のなかから抽選で次回の旅行で使える3万円、または1万円のクーポンが当たる。クーポンはそれぞれ20人ずつ用意し、各期40人・計160人にプレゼントする。詳細はキャンペーンサイトへ。

国内旅行推進部の野浪健一部長

 JATAが3月27日(木)に開いた定例会見で、国内旅行推進部の野浪健一部長は国内旅行キャンペーンについて、以前は需要の拡大を主軸にしていたが、24年度から平日旅行を促すものにシフトしたことを報告。「平日の旅行は混雑緩和になり、お客様の満足度も向上する。平日に旅行するきっかけになってほしい」と運動論として位置付けているとした。国を挙げた休暇取得促進や自治体の休み方改革、ラーケーションなどの各種取り組みと連動して進めていく考え。

 野浪部長は24年度のJATA内での効果として、会員各社でチラシ掲示やサイトでのリンク掲載などを行い、意識付けができたことを紹介した。また、自治体が平日の誘客に焦点を充てた取り組みを実施した際に合わせてJATAのCP告知があった例も挙げ、「25年度はこうした事例がもっと増え、うまく連携ができればうれしい」と意気込んだ。

H.I.S.ホテルHD、満天ノ 辻のやで夏会席プラン アフタヌーンティーも用意

2025年3月31日(月) 配信 

「四季会席 夏」
 H.I.S.ホテルホールディングス(澤田秀雄社長、東京都港区)は3月14日(金)から、運営する満天ノ 辻のや(石川県・粟津温泉)で、2024年度調理師関係功労者に対する厚生労働大臣表彰で調理業務功労者を受賞した田中剛総料理長考案の夏の新メニューとして「四季会席 夏」と「夏のアフタヌーンティー」付の宿泊プランを販売している。
 
 「四季会席 夏」は1日50食限定。食前酒に夏みかんカクテル、鱧の南蛮漬けや白身魚のお造里、一口そば、焼イセエビ、ローストビーフサラダ、鮑水貝、しらすの釜飯、デザートにガトーショコラなどを提供する。料金は2食つきで4人1室利用時、1人3万9800円(税・サ込)から。
 
 夏のアフタヌーンティーはケーキやスコーン、プリンのほか、エビの手毬寿司やサーモンのカナッペなどを用意する。利用客はチェックイン前の午後 12時30分または1時から、庭の見える「満天ノ 庭園カフェ」で堪能する。 また、3時チェックイン開始時間まで、庭を散策したり温泉を楽しむことができる。宿泊料金は2食つきで4人1室利用時、1人4万4800円(税・サ込)から。
 

日旅連 白石会長が再任 日旅創業地の滋賀で総会

2025年3月31日(月) 配信

白石武博会長

 日本旅行協定旅館ホテル連盟(会長=白石武博・カヌチャベイホテル&ヴィラズ社長、1724会員)は3月5日、滋賀県・おごと温泉「琵琶湖グランドホテル 京近江」で「第63回通常総会」を開いた。任期満了に伴う役員改選では、白石会長の再任が決まった。

 白石会長は「今年は日本旅行創業120周年の節目の年であり、大阪・関西万博も開幕することから、日本旅行創業の地滋賀県での開催となった」と、例年の東京ではなく地方開催となった経緯を説明。今後の事業展開として「我われ旅ホ連の存在意義は宿泊販売を拡大させること。少子高齢化が進み、インバウンドが増加するなど、マーケットが大きく変動するなか、中長期を見据えながら新しいマーケットを開拓していきたい」と展望を述べた。

 来賓で招かれた日本旅行の小谷野悦光社長は「120年にわたって皆様に多大なお世話になってきたこと、改めて感謝申し上げる」と謝辞を延べたうえで、「創業者の南新助は、日本で初めて国鉄貸切列車による団体旅行を実施した。この“前例のないことを行った”というフロンティア精神を大切にしながら、次の100年を考えていきたい。今後ともご支援、ご協力をお願いしたい」とあいさつした。

 議事では、すべての議案を承認可決。宿泊販売拡大に向け、法人、個人、インバウンドの3部門への取り組みを、さらに推進していく。とくにインバウンドについては、国内旅行の最重要マーケットと捉え、事業の中心的役割を担う営業推進委員会を、新たに「GT委員会(法人)」「FIT委員会(個人)」「海外事業検討委員会」の3つに再編。個人、法人それぞれに委員会を設けることで、より有効な販売施策を進める。

また、役員改選のない年の通常総会については、理事会総会を開いて総会附議事項を審議し、総会に代えることが決まった。

【塩野 俊誉】

高知県 大阪駅で街頭宣伝 連ドラ舞台を契機に誘客

2025年3月31日(月) 配信

着ぐるみフォトセッション

 高知県は3月16日、大阪府大阪市のJR大阪駅2階アトリウム広場で、観光PRイベント「やなせたかしと暢夫妻のふるさと・どっぷり高知旅に出かけよう!」を開いた。

 同県を舞台にしたNHK2025年度前期の連続テレビ小説「あんぱん」の放送を契機に、関西圏からの誘客をはかろうと企画した。

 県と四国旅客鉄道(JR四国)、物部川DMO協議会がブース出展し、観光案内やパンフレット配布などを行った。NHK高知放送局もブース出展し、「あんぱん」のPRを行った。

 やなせさんがデザインされたキャラクターとのフォトセッションやクイズ大会、高知あるあるネタを集めた「どっぷり高知旅かるた」大会、よさこい演舞などもあり、多くの人で賑わった。

 「あんぱん」放送に合わせ、3月29日から2026年2月8日まで、南国・香南・香美3市の物部川エリアを舞台に観光博覧会「ものべすと」が行われる。