「津田令子のにっぽん風土記(116)」吹く風、空の色を絵に乗せて~ イラストレーター編 ~
2025年9月6日(土) 配信


絵のある暮らしを始めて30年が経ったというたまひろみさん。美術系の学校を卒業後、自動車メーカーでデザインの仕事に携わったのが社会人としてのスタートだったという。
「人生のなかでは、家庭のこと、自分の心のこと、色々な転機が重なって絵を描くことから離れていた時期もありました」と語る。
その間にカウンセラーや、アロマセラピストの資格を取得され、人の心に寄り添う仕事に関わってこられた。「でも、やっぱり私は絵を描く人。もう一度イラストレーターとして活動を始めたときには、ただ描くだけでなく、誰かの心に届く絵を描きたいと思うようになっていました」と振り返る。
現在はキャラクター制作や挿絵、LINEスタンプ、グッズ展開、パンフレットやポスター、地図のデザインなど幅広く活動する。
「ありがたいことに、やさしいね、癒される、ほっとするといった声をいただくことが多く、それが私の原動力になっています」。
「最近、津田令子さんとのご縁で、旅をテーマにした新しいキャラクター『トリップちゃん』が生まれました。赤毛の女の子(津田令子さんのイメージ)で、前を向いて旅をしています。彼女には仲間がいて、黄色い小鳥の『カナリーさん』、そしてちょっとおっちょこちょいなデイバッグの『デイバーさん』。この3人で、さまざまな場所をめぐり、旅をします」と笑顔で語る。「その場所に吹く風や空の色、そこにいる人の表情まで、絵に乗せて届けられたら嬉しいですね」。
12月に個展を控え、ご多忙のひろみさんのこれからの目標は、「旅の思い出や地域の風景、人の物語を、イラストやキャラクターを通じて伝えていく。そのようなお仕事を広げていきたいと思っています」と話す。
自然の中で育ったひろみさんの故郷は埼玉県飯能市。「木々の静けさ、風の音、自然の色や手ざわり……そんな記憶が、イラストに滲んでいるのかもしれません。自然と、音と、心のつながり。それはきっと、飯能で感じてきた原体験と重なるんだと思います」。
旅の中で心が動き、その喜びを誰かに伝えたくなる――。そんな想いが、新たなキャラクター「トリップちゃん」の誕生につながっているのかもしれない。
イラストレーターたまひろみ個展「くまカフェのクリスマス」は「こはぜ珈琲早稲田店」(東京都新宿区西早稲田1―9―13)で、12月1日から約1カ月間、開催される。
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

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