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韓国の「咸安落下ノリジャパンデー2026」に日本客1500人 KTOらが取材ツアー実施

2026年11月4日
編集部:飯塚 小牧

2026年11月4日(水) 配信

咸安落下ノリ

 韓国観光公社(KTO、パク・ソンヒョク社長)は10月14~17日まで、日本の観光業界専門メディアを対象に、韓国でプレスツアーを実施した。KTOと日本旅行業協会(JATA)が企画し、日本人観光客1500人が参加した「咸安落下ノリジャパンデー」を中心に、朝鮮半島の南東部に位置する釜山広域市や慶尚南道を視察した。

□咸安(ハマン)落火ノリ

 咸安落火ノリは、釈迦の誕生日である旧暦の4月8日に咸安郡の槐巷(クェハン)村・無尽亭(ムジンジョン)で開かれる花火大会。朝鮮時代から行われている伝統的な行事で、安寧の祈りを込めて開かれる。韓国の三大火祭りの1つとされ、慶尚南道無形遺産に指定されている。

保存会の会員が1本ずつ火を灯していく

 池の上のロープに、細かく砕いた木炭粉を紙で包んで作った「落火棒」を数千本吊るし、いかだに乗った咸安落火ノリ保全会会員が1つずつ点火していく。点火された落火棒から、赤く輝く無数の火の粉が1~2時間かけて静かに水面へと舞い落ち、風が吹くと一気に光が広がる。意図的にロープを叩き、一斉に落下棒から火の粉を落とす「チュルチギ」という演出もある。

一斉に火の粉が落ちる「チュルチギ」のようす

 通常は年に一度の年中行事として開催されているが、韓国国内でも人気が高まり始めたのはここ数年。ドラマやテレビ番組、SNSで取り上げられたことから話題を集め、近年は一般の入場券は販売後にすぐ売り切れてしまうほどだ。

□地方誘客の好例 旅行会社の強み生かす

 落下ノリが観光コンテンツとして優れていることから、KTOらは24年度から日本人観光客向けのスペシャルデーを設けた。会場は決して交通の便が良いとはいえないが、JATA会員の旅行会社が商品造成を行うことで初年度は500人、昨年度は1000人、今年度は1500人と順調に集客数を伸ばしている。

 これは韓国側の日本人観光客の地方誘客を促進したい狙いと、個人旅行化で旅行会社離れが進む韓国旅行のテコ入れをはかりたいJATAの思惑が一致し、奏功したといえる。

 KTOは今年3回目を迎えた咸安落火ノリジャパンデーについて、「これまであまり知られていなかった都市に、多くの外国人観光客を誘致することで認知度を高め、地域経済の活性化にも貢献した好事例」と考える。今後は優れた観光コンテンツを持つ韓国のほかの地方都市にも展開し、「第2、第3の咸安落火ノリ」を生み出していきたいとしている。

 開会式のあいさつで、KTOのジョン・ソギン国際観光本部長は「韓国の新たな魅力として、長年受け継がれてきた伝統行事を体感してほしい」と日本からの観光客に呼び掛けた。ソウルから足を延ばして地方を観光する動きが出ていることについて「地域に大きな活力をもたらせている」と歓迎したうえで、「各地の特色がある。もう一度訪れたくなる韓国を発信できるよう努めていく」と語った。

JATAの蝦名理事長。チュルチギも行った

 会場内でメディアの取材に応じた、JATAの蝦名邦晴理事長によると、今回はJATA会員から20社以上、36営業所が商品を企画した。釜山の地の利から九州の旅行会社の参加もあり、規模や地域など参画する会社の幅が広がっている。KTOとJATAの旗振りから3年目を迎えたことで、「自走できるイベントになったのではないか」と評価した。

 蝦名理事長は、知られていない魅力を伝えるのが旅行会社の取り組みの1つとし、「FITやAIとは違う切り口で価値を作り続けていく。提供する地域側の思いをカタチにし、顧客のニーズと結ぶつけることが旅行会社の役割だ」と語った。

□各30選の魅力紹介 釜山、慶尚南道巡る

 KTOとJATAのアウトバウンド促進協議会(JOTC)・東アジア部会韓国ワーキンググループは、訪韓日本人観光客拡大をはかるための施策を講じている。このなかで、地方の魅力を発信するため「韓国絶景30選」「韓国小都市30選」「韓国絶品グルメ30選」を選定し、商品造成に生かしている。

 今回の視察では、これらに選定された地域や食を中心に巡った。

韓国絶景30選

パステルカラーの家が並ぶ甘川文化村。星の王子さまのフォトスポットも多数

 釜山広域市沙下区の甘川(カムチョン)文化村は、山の麓にある階段式に形成された集落で、パステルトーンの家々と迷路のような路地が特徴。1950年代の朝鮮戦争避難民が山肌を切り開いて暮らしたのが始まりだが、都市再生事業を推進し、今は国内外から年間185万人の観光客が訪れる名所となっている。

 星の王子さまのオブジェや人気グループ・BTSのメンバーを描いた壁画など、撮影スポットが多数ある。

釜山の街が眺められるロープウェイ

 西区の松島海上ケーブルカーは、海をわたるロープウェイ。釜山の都会の街並みと海が一望できるのが魅力。

 機張(キジャン)郡の古刹・海東龍宮寺は岩場の上に建立された、韓国では珍しい海に面した寺で、ならではの景観が楽しめる。パワースポットでもあり、国内客も多数訪れる。

韓国小都市30選

統営ケーブルカーからは周辺の島々の景色が楽しめる

 慶尚南道の統営(トンヨン)は釜山から海底道路などを経由し、車で約2~3時間の距離にある港町。「韓国のナポリ」と呼ばれ、周辺には数々の島が点在する。統営(閑麗水道眺望)ケーブルカーは韓国でも有数の長さを誇り、頂上からは天気がよければ対馬まで見ることができる。

統営洗兵館

 歴史史跡は統営洗兵館。朝鮮時代の代表的な木造建築で、国宝に指定されている。豊臣秀吉の朝鮮出兵時に日本軍と戦った、李舜臣(イ・スンシン)将軍の功績を称えて建立され、朝鮮王朝の水軍本部の公館として使用された。

韓国絶品グルメ30選

30選の「ナクチポックム」。写真は「ナップコセ」

 釜山名物のテナガダコの炒め物「ナクチポックム」はグルメ30選の1つ。名物店で人気ナンバーワンのコプチャン(腸)や海老も加えた「ナッコプセ」を体験した。締めのラーメンも売り。

テジクッパ

 もう1つの釜山名物「テジクッパ」も30選に選ばれている。白濁のあっさりした豚肉スープに薄切りの豚肉が入っているもので、オキアミの塩辛などを入れて味を調える。今回は米が別添えの「タロクッパ」スタイルで提供された。

 30選ではないが、ハマン名物の「ユッケジャンクッパ」も試してほしい一品。

□世界遺産の古墳群 隣には咸安博物館

「末伊山古墳群」

 2023年にユネスコ世界文化遺産に登録された「加耶古墳群」は、1~6世紀に掛けて朝鮮半島南部に存在した「加耶」を代表する7つの古墳群で、咸安郡には「末伊山古墳群」がある。古墳群は丘陵地に造成されているが、整備されており、散策もしやすい。

 隣接の咸安博物館では、地域の歴史や出土品などの展示のほか、古墳への埋葬方法などが分かりやすく解説されている。博物館を先に訪れると、より理解が深まるのでおすすめだ。

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