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「観光ルネサンスの現場から~時代を先駆ける観光地づくり~(252)」 重要伝統的建造物群の町並みとまち歩き(千葉県・佐原)

2026年1月10日(土)配信

小野川・町並み舟めぐり

 12月半ば、千葉県の佐原(香取市)で「全国まちあるきフォーラムin佐原」が開催され参加した。3日間にわたる大会に全国各地から、観光まち歩きリーダーたち150人が集まり、佐原の新たな可能性について検証する良い機会となった。

 佐原は、近世には利根川東遷による舟運が栄え、「佐原本町江戸優り」といわれるほどに繁栄した。小野川と香取街道沿いには、商家や和風の町屋、洋風建築などの伝統的建造物と生業が残り、1996(平成8)年には、関東で初の伝統的建造物群保存地区に指定された。

 香取神宮などの社寺はもとより、全国を測量して歩いた伊能忠敬の屋敷や記念館、ユネスコ無形文化遺産・佐原の大祭の山車会館、小野川の舟めぐりなど、観光拠点も沢山あるが、まち歩きの楽しさは、これら観光拠点だけでなく、このまちを支えた豊かな生業の数々である。酒蔵、醤油蔵、胡麻油などの店、角打ちができる酒屋、銭湯など、暮らしの魅力に溢れている。

 小野川の舟運が衰退した時期、ここに蓋をして駐車場にする案もあったそうだが、地域はこれを認めなかった。面としての町の保全と活用は、地域の合意形成を含めまことに手間がかかる。

生業を訪ねる魅力的なまち歩き

 「長崎さるく」(長崎市)を発端とするこのフォーラムは、佐原大会で10回目を迎える。2006年開催の「長崎さるく博」では、いわゆる点としての観光地だけでなく、地域の方々が、暮らしの現場や、その土地の歴史・文化や生業などをテーマに、まちを歩く(さるく)ことによって地域の魅力を伝えるという新たな観光まちづくりの手法が確立した。今大会は、このような趣旨のもと、佐原におけるまち歩きの課題や可能性を探ることが目的であった。

 シンポジウムでは、地元佐原の「NPO小野川と佐原の町並みを考える会(石毛麻理理事長)」のほか、「沖縄まちま~い」の沖縄県浦添市、八千代座などの温泉街がある熊本県山鹿市の「米米惣門クラブ」、「風の盆」で有名な富山県八尾などの代表者らに登壇いただき、全国から集まったキーマンたちと交流した。

 一口にまち歩きといっても、今や実に多様である。城郭など観光拠点をガイドする昔からのガイドボランティア、事業性を重視し、まちなかの魅力をテーマとともに歩く有償ガイド、主にインバウンド客を対象に高付加価値化した広域を手掛けるガイドなどがある。

 当日の討議では、まち歩きの「物語性」と語り部をどう育てるか、歩きの舞台となる町の景観活用やガイダンスの仕組みづくり、若いガイドの育成・参入やまち歩き組織の自立など組織マネージメントに係る課題など、多岐にわたった。

 佐原の魅力は、日々の暮らし・生業が今も息づいている点にある。これらまち歩きと町の魅力を後世にどのように継承し生かしていくか。どの地域にも共通する大きな課題である。

(観光未来プランナー 丁野 朗)

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