test

【特集 No.672】 第一滝本館の挑戦 登別温泉はATに“最適な場所”

2025年9月1日(月) 配信

 北海道・登別温泉の第一滝本館は、旅行部門「登別ツーリストセンター」がツアー企画や予約、代金収受までを担い、グループ会社の「adex base」で、高品質なアクティビィティツアーを提供するなど、アドベンチャートラベル(AT)の拠点づくりと、新しいコンセプトでリブランドした「adex inn」を一体化させた「滞在型観光」へのシフトに挑戦している。南智子代表取締役と、登別アドベンチャー協会(NAA)代表理事も務める、ネイヴィン・マーク取締役会長に“ATに最適な場所・登別温泉”について聞いた。

【本紙編集長・増田 剛】

滞在型観光へ拠点づくり

 ――登別温泉で新たな魅力的なコンテンツとして、アドベンチャートラベル(AT)の拠点づくりに挑戦されています。

 :「登別市は30年後に人口が4割減少する」というデータを目にして、大きな危機感を覚えました。ずっと、地域活性化にできることはないかと考え続けていましたが、「新型コロナ」が足を前に踏み出す大きなきっかけとなりました。
 コロナ禍にお客様がまったくいなくなると、JRは間引き運行となり、空港行きのバスもなくなりました。ドラッグストアなどが閉店していき、地元住民の生活も非常に不便になりました。
 そのときに強く実感したのは、「登別のインフラは、年間約400万人の観光客が訪れていただいていたから成り立っていた」ということでした。人口減少は簡単には止められないですが、「滞在型観光」にシフトすれば、地域社会を維持していけるのではないかと思ったのです。

 ――「アドベンチャートラベル・ワールドサミット(ATWS)」が2023年9月に北海道でリアル開催されました。

 :ATWSは大きな話題になりましたが、夫のネイヴィンは登別温泉に来たころから、「どうして登別は素晴らしい自然に囲まれているのに温泉しか売らないんだ?」と不思議そうに話していました。登別は森林が7割を占めています。そこに古くから根づく宿や温泉文化があります。アイヌ文化に触れることができる「ウポポイ(民族共生象徴空間)」も開業しました。あとはアクティビティさえ加われば、「アドベンチャーツーリズムに最適な場所」ということに気づいたのです。
 ATへの取り組みと並行して、滞在型観光にシフトすることによって、1泊目は旅館で夕食を食べた旅行者が、2泊目は地元の飲食店で食事をすれば、まちにお金を落としてくれます。
 第一滝本館の年間宿泊者数は約25万人ですが、半分の12万人が外に出ると、「登別温泉街で飲食業をやってみたい」という若い人も増え、「住んでよし、訪れてよし」のまちづくりへとつながっていくのではないか。住民と観光客がともに利用する「住観共用」の施設が増えていくことが理想です。

 ――登別温泉の魅力を教えてください。

 ネイヴィン:たくさんありますが、もちろん第一は温泉が素晴らしいこと。登別温泉には7種類の泉質があるので、とくに外国人旅行者にとっては、登別温泉に来れば日本全国のさまざまな種類の温泉を一度に楽しめるメリットがあります。
 また、森の中に1日4千人収容可能な宿泊インフラが整っている場所は世界的にみても珍しい。国際空港(新千歳空港)まで約1時間という近さも魅力です。さらに、登別温泉のシンボル・地獄谷など、地形学的にとても希少価値の高い資源が豊富にあります。
 通常アドベンチャートラベルはすごく不便なところに行かなければ体験できないものですが、登別エリアは簡単に行けてしまう。とても恵まれている場所だと思います。

 ――ネイヴィンさんは、登別アドベンチャー協会(NAA)の代表理事を務めています。

 ネイヴィン:NAAは、22年7月にアウトドアに関係している人だけでなく、地域のビジネスを支えているコミュニティーの人たちで立ち上げた組織です。「登別」という名前を使っていますが、苫小牧市や白老町、伊達市、洞爺湖町、室蘭市などを含む胆振エリア全体で持続可能なアドベンチャートラベルを推進しています。
 登別商工会議所の会頭や宿泊施設、バス会社の経営者、地元の病院なども加わって、アクティビティ体験プログラムの開発や地域活性化に取り組み、最近では登別国際観光コンベンション協会も温泉以外の魅力を紹介してくれています。

 ――課題について。

 ネイヴィン:実際にやってみてわかったのですが、……

いいね・フォローして最新記事をチェック

コメント受付中
この記事への意見や感想をどうぞ!

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。