海外旅行回復へ 「環境や体制の整備必要」(村田観光庁長官)
2025年8月25日(月)配信

観光庁の村田茂樹長官は8月22日(金)に開いた会見で、2025年1~7月までの出国日本人数が781万4500人と報告した。コロナ禍前の19年同期と比べると回復率が約7割と下回っている状況にあり、物価高や為替などの旅行控えの要因もあるなか、前年同期比では14.1%増と回復傾向にある見解を示した。
25年8月のお盆期間における主要航空会社の国際線旅客実績にも触れ、前年同期比プラスで好調だったと伝えた。今後は海外旅行(アウトバウンド)の回復が重要な課題と認識していると強調。このうえで「国民が海外に意識を向け、海外に行きたいと思うようなさらなる機運醸成や若者の国際交流の促進、海外旅行を実施しやすくなる環境や体制の整備などが必要」と所感を述べた。
観光庁としては、外務省や日本旅行業協会(JATA)と共同で発出した「もっと! 海外へ宣言」に基づく取り組み、海外教育旅行のプログラム開発、諸外国との連携体制の強化などを進めていると説明した。
□オーバーツーリズム、意欲的な対策を支援
一方、日本国内では8月に「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」の3次公募を行った。観光客向けの移動手段などの受入環境の整備や増強、混雑状況の可視化などによる需要の分散や平準化、マナー違反行為の抑制などの対策を支援している。同事業では「先駆モデル地域」の26地域を選定し、事例を観光庁のホームページで公表していると紹介した。
村田長官は「自治体やDMO、観光関連事業者などの多様な関係者が連携し、住民の意見を取り入れながら対策を講じる地域が着実に増えてきている」と事業成果を報告。引き続き、各地域の実情に応じた意欲的な対策を総合的に支援していきたいと力を込めた。
□旅行・観光消費動向、4~6月期過去最高に
25年4~6月期の日本人国内延べ旅行者数は前年同期比0.3%増の約1億4566万人。日本人国内旅行の1人1回当たりの旅行支出は同5.8%増の約4万6676円。日本人国内旅行消費額は同6.2%増の約6兆7988億円で、4~6月期として過去最高を記録したと話した。
そのほか、8月末の26年度予算の概算要求について、一般財源や旅客税財源のいずれもしっかりと要求を行いたい考えを明かした。村田長官は「9月以降の予算編成過程においてもあらゆる機会を捉え、観光立国推進基本計画で定められた必要な施策を実施するための予算を確保していくことが何よりも重要」として、さらなる充実をはかっていく方針だ。


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