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「観光革命」地球規模の構造的変化(267) 大地変動時代と観光

2024年2月10日(土) 配信

 今年の干支は甲辰(きのえたつ)である。干支は十干と十二支の組み合わせなので60年で一回りしている。

 二回り前の甲辰は1904年で日露戦争の年であった。大日本帝国とロシア帝国が激突し、運良く日本が勝利を収め、海外に植民地を得た。世界の列強が弱肉強食的に主導する帝国主義時代に、遅ればせながら日本が参入するきっかけになった年だ。日本はその後に軍事大国化して満州事変や太平洋戦争を引き起こし、第2次世界大戦の敗戦国になった。

 一方、一回り前の甲辰は64年で、東京五輪が華々しく開催された年だった。日本は敗戦復興を経て、55年から高度経済成長期に突入した。とくに62年から「五輪景気」で東海道新幹線や名神高速道路の整備、三種の神器(テレビ・冷蔵庫・洗濯機)ブームなどで池田政権による「所得倍増計画」が軌道に乗った象徴的な年であった。64年は私が大学に入学した年でもあり、日本が世界に門戸を開くことによる海外への関心拡大で胸を弾ませた思い出深い年だ。

 本紙元旦号のこの欄で「今年は大波乱の年になる可能性が大である」と予測したが新春早々に能登半島地震が発生し、甚大な被害・幾多の悲劇が生じていて心を痛めている。古くから「能登はやさしや土までも」といわれており、能登の人々の純朴な人情味が大好きでしばしば訪れる機会があった。そのため能登半島地震のニュース映像に接するたびに涙が止まらなくなる。

 能登地方は加速する過疎化と高齢化に悩まされてきた。若い世代が流出し、高齢者の多い地域を大地震が直撃したので災害復興は容易ではない。災害復興のための公的支援の充実化が不可欠である。

 日本の地震学者や地球科学者は日本列島が既に「大地変動の時代」に突入していて、今後30年以内に70%の確率で首都直下地震や南海トラフ地震などの巨大地震の発生を警告している。巨大地震によって「総人口の半数6800万人が被災する」という予測を提示する学者もいる。

 岸田政権は米国に媚びへつらって、防衛予算を闇雲に増額しているが、国防以前に災害大国の国民の生命や暮らしを守るために巨額の国費を投入して万全を期すべきであろう。観光立国に伴って増加する観光ビジターに対する防災システムの確立も急務である。

石森秀三氏

北海道博物館長 石森 秀三 氏

1945年生まれ。北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授、北海道博物館長、北洋銀行地域産業支援部顧問。観光文明学、文化人類学専攻。政府の観光立国懇談会委員、アイヌ政策推進会議委員などを歴任。編著書に『観光の二〇世紀』『エコツーリズムを学ぶ人のために』『観光創造学へのチャレンジ』など。

 

 

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