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【特集 No.624】清風荘(あわら温泉) 劇場型の“最先端ビュッフェ”

2022年11月30日
編集部:増田 剛

2022年11月30日(水) 配信

 高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その人気の秘訣を探っていく対談シリーズ「いい旅館にしよう! Ⅲ」の14回目は、福井県・あわら温泉「清風荘」社長の伊藤由紀夫氏が登場。今年9月にオープンした「劇場型」をメインコンセプトに据えた“最先端”のビュッフェレストラン「虹」にかける想いや、デジタル化、労働時間短縮を実現した改革について、内藤氏と語り合った。

【増田 剛】

 ――清風荘の歴史からお話しください。

 伊藤社長:清風荘は1952(昭和27)年に同じあわら温泉で、親戚でもある「まつや」(現まつや千千)の別館「まつや別館清風荘」として開業しました。今年70周年を迎えました。
 当時は木造2階建ての7室からのスタートでした。高度経済成長の波にも乗り、67(昭和42)年に先代があわら温泉で初めて4階建て27室の鉄筋コンクリート造の旅館を建てました。250畳の大宴会場も作りました。
 なかでもバス・トイレは特別室にしかなかった時代でしたが、全室に備え付け、リーズナブルな料金設定で団体客を中心に受け入れていました。
 これがとても支持され、増改築を繰り返していき、92(平成4)年7月に現在の170室900人収容の旅館となりました。この年は40億円ほどの売上がありました。

 ――その後の経営状況はいかがでしたか。

 伊藤社長:バブル経済が崩壊したころでしたので、年々収益は落ち込んでいきました。
 また、遊興型のお客様から、癒しを求める個人客へとニーズが変わっていきましたので、大きな建物を持て余すような状態となりました。  
 昼食時に団体を取り入れるなど、365日24時間お客様を入れていかないと売上が上がらず利益が出てこない経営が続きました。
 当時は旅行会社からの予約が8割を占め、料理プランも80種類を超えていました。年に一度しか出ない食材も冷凍庫の中で保存しているような状態でした。団体から個人客へと重心が移っていくなかで、スタッフのオペレーションも煩雑化を極めました。お客様へのおもてなしに費やす余力もなく、ただこなしているという感じでした。

 内藤:社長に就任されたのはいつですか。

 伊藤社長:02年5月に先代が亡くなり、その年の8月に社長に就任しました。今から20年前です。宿に入ったのは25歳のときでした。
 その後、06(平成18)年に「このまま部屋食を続けていたのではムリが生じる」と感じ、レストランを作りました。
 当時、関西のお客様はズワイガニなどの会席を求められ、夏休みはファミリー層が多くビュッフェが人気だったため、ハーフバイキングというかたちで少しでも料理の提供がラクになるスタイルを模索していました。
 このなかで「ビュッフェスタイルにしていこう」と方向性を定めましたが、個室型だったので「お客様が食事を終えなければお皿などのバッシングができない」などの弊害もありました。

 内藤:オペレーションに変化はありましたか。

 伊藤社長:接客係は少しずつ作業効率を高めてきました。一方、調理場の働き方については、朝から仕込みをして、土・日は昼食の団体も受け入れており、深夜まで働くというような状態でした。

 内藤:どの部分から改革を始められたのですか。

 伊藤社長:3年前に中隆太支配人をはじめ、新しい幹部社員を登用しました。中村淳太郎総料理長も迎え、新しい組織に大きく変えることで、マルチタスク化も進めました。課長クラスにも若い人材を数名登用し、コロナ禍も重なり、新旧交代を進めました。
 それまでは旅行会社の料理プランでジャンボステーキにズワイガニ、ノドグロなどを盛り合わせたコースも提供していましたが、「実際お客様はそんなに食べられるのか」と思うこともありました。「商品を企画する旅行会社ではなく、お客様に満足していただける自分たちの自信がある商品を売っていこう」と、団体から個人化に対応する方針を明確に打ち出しました。

 内藤:今年9月に食事会場を一新し、リニューアルオープンしました。

 伊藤社長:調理場の働き方改革では、まず朝食をビュッフェ会場1カ所に集約しました。以前のビュッフェ会場は38テーブルで150人ほどの収容でしたが、これを2倍の70テーブルにし、それを2回転すれば140テーブルになります。当館は満室でも170室なので「十分に対応できる」と計算しました。これが今回リニューアルしたビュッフェレストラン「虹」です。
 中村総料理長が大改革し、手作りで、趣向を凝らした出来立ての美味しい料理を小ロットで提供するようになると、評価も高くなっていきました。…

【全文は、本紙1889号または12月7日(水)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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「【特集 No.624】清風荘(あわら温泉) 劇場型の“最先端ビュッフェ”」への1件のフィードバック

  1. 先日も友人と訪れました。地元の旬の食材を出来立てのまま、何度でも頂ける。本格的なピザ釜もあり驚きでした。色んな料理でお腹がいっぱいの通常のバイキングと違い、ワンランク上の、ご馳走を頂いた満足感がありました。お風呂も沢山あり
    大満足です

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