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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(115)迷わずおもてなし力を高める時 心伝わるおもてなしを

2020年8月8日
編集部:木下 裕斗

2020年8月8日(土) 配信 

 

 新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言の解除後も、感染者は増えています。いつまで続くのか分からず、明日が見えないところが私たちを迷わせ、疲弊させるのかもしれません。

 私は、ウィズコロナは「人」の時代と考えています。おもてなしが大切な時代です。しかし、私たちが長年大切にしてきたお迎えや見送り、客室への案内など、人と接触するおもてなしはもはや必要ないという声が増えているようです。

 働く人の確保も大変な時期です。新しい時代のあり方として、そうしたおもてなしを私たちは捨てるべきなのでしょうか。立地や安さ、あるいは新しさや豪華さといった価格とハード面に頼ることが望ましいのでしょうか。こうしたおもてなしの行動を煩わしいと感じる人たちの多くは、これまで形だけのマナー的な行動を受けていたに過ぎないのではないかと考えます。

 私は、本当に価値のある行動を受けて、そのおもてなしの素晴らしさを知ることができれば、おもてなしの優れたところに行きたいという想いは高まると信じます。それでも必要がないとすれば、必要とするお客様に来てもらうことを考えましょう。つまり、「客質」を変えるということです。

 私たちが大切に育んできたおもてなしに価値を感じて、それを選ぶ基準とするお客様にお越しいただく。そのために、これまでのおもてなし行動の本質をスタッフ間で共有しましょう。お客様をお迎えする行動価値は、玄関先でお迎えをするから良い宿に来たと思ってもらうための行動ではありません。これから始まる滞在時間を、より素晴らしい時間に変える行動なのです。

 お客様に出逢った瞬間から感動を提供できれば、お客様におもてなしをより高く評価する想いが芽生えるのです。東京にあるアマンでは、客室に早く案内するよりも、時間のある方には滞在中に楽しんでもらえるような施設案内を提案します。その時に、より多くのスタッフと逢ってもらうように彼らを紹介してくれるのです。

 お見送りは楽しかった時間に私たち自身を含めて記憶に残して、再度の来館を強く意識してもらうための行動です。お客様が見えなくなるまで見送ることだけが見送りではありません。無事にご自宅にお帰りになっただろうかと気に掛けることもお見送りです。

 また、客室までの案内は、単に荷物を客室に運ぶサービスの実行ではなく、案内中の会話で顧客情報を得る大切な時間でもあります。こうした先人から受け継いだおもてなしを、私たちはお客様方に伝える行動ができていなかったのではないでしょうか。この徹底をしっかりと、迷うことなく今の時間にやりましょう。

 
 

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

 

 

 

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