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〈旬刊旅行新聞4月11・21日合併号コラム〉ロケツーリズム 「北の国から」の舞台 富良野を訪れる

2021年4月16日
編集部:増田 剛

2021年4月16日(金) 配信

 

 俳優の田中邦衛さんが3月24日に亡くなった。日本を代表する名優がまた1人いなくなり、寂しさを感じる。

 
 田中邦衛といえば、ドラマ「北の国から」の黒板五郎役があまりにハマっていて、再放送されるたびに観てきた。当初は長男・純の視点から観ていたのだが、自分も年齢を重ね、いつしか父親役の黒板五郎に重ね合わせていることに気づく。

 
 数々の名シーンや名セリフがちりばめられている「北の国から」は、これからも何度も観ることができるのが救いだ。そのときどきの境地によって、映像の中の何気ない田中邦衛さんの表情や、少ない言葉に、心を動かされるのだろう。

 

 
 思えば、昨年の夏、北海道を旅したとき、富良野に寄った。宿泊した新富良野プリンスホテルの敷地内には、「北の国から」の脚本を書いた倉本聰氏が監修した隠れ家的なバー「Soh,s BAR」がある。夜、長い林道を歩き続けると、ひっそりと、小さな建物が現れる。まさに大人のバーという雰囲気だ。私はそこでゆったりとスコッチのオンザロックを飲みながら富良野の夜を楽しんだ。

 
 バーから少し離れたところに売店があり、そこには「北の国から」で黒板五郎が愛用していたトレードマークの冬用のジャンパーや、ニットの帽子が売っていた。私は「黒板」と刺繍されたジャンパーを着て、ニット帽もかぶり鏡の前に立った。憧れの田中邦衛さんに格好だけでも少し似ることができ、心が満たされたことを思い出す。

 

 
 今号1面特集のテーマは、「ロケツーリズムでまちづくり」だ。湯河原町(神奈川県)町長の冨田幸宏氏や、ロケーションジャパン編集長の山田実希氏、ロケツーリズム協議会事務局長の木庭清美氏、そして観光庁参事官(当時)の片山敏宏氏の4氏が座談会を行った。

 
 湯河原町は、2020年8月にロケ誘致をスタートし、わずか5カ月で情報番組など14番組のロケが行われたという。

 
 私は旅番組を見るのが好きだ。過去に訪れた場所だと思い出として楽しめるし、未知の場所であれば、心のどこかに留めておいて、旅する機会をつくることが多い。

 
 また、旅番組で美味しそうな食堂は店名などメモしている。実際にその地を訪れた時に行ってみる。私のようなズボラな人間もこのようなマメなことをしているので、旅番組や情報番組を見て旅行をされている人は多いと思う。

 

 
 映画やドラマ、アニメのロケ地を巡る「聖地巡礼の旅」も完全に根付いてきている。旅行新聞の座談会で、ロケーションジャパンの山田編集長は、ロケツーリズムとは「映画・ドラマのロケ地を訪ね、風景と食を堪能し、人々のおもてなしに触れ、その地域のファンになってもらうこと」と語っている。

 
 通常、縁のない人々に土地のファンになってもらうことはとても難しい。だが、映画やドラマ、旅番組を見て「そこに訪れよう」と思った時点で、すでにファンになっているのだ。その意味で、ロケツーリズムの力の大きさを感じる。

 
 自治体にロケ誘致の窓口を一本化することにより、競争力が高まるだけでなく、地元の人たちの情報共有や、おもてなしの一体感ができる利点もある。コロナ禍だからこそ、ロケツーリズムの活用も考えていきたい。

(編集長・増田 剛)

 

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