奥出雲多根自然博物館 ブラジルから研修生 博物館などで実務研修
2026年10月31日(土) 配信

島根県・奥出雲町の奥出雲多根自然博物館は今夏、ブラジル・サンパウロ出身の日系4世、ドス・サントス・カロリネ・ハルミさんを研修生として受け入れた。同県が実施する「JICA日系社会研修員受入業務」の一環。8月3日―9月30日の約2カ月間、博物館業務に加え、宿泊や飲食、温泉、地域文化など幅広い分野を体験した。
ハルミさんは、ブラジルの島根県人会が定期的に行っている文化・情報発信の講習会への参加をきっかけに、日本や島根への関心を深めた。大学時代はマーケティングを学んでいたこともあり、日本のマーケティング手法や「おもてなし」の考え方、人とのコミュニケーションに興味を持ち、今回の研修に応募したという。
同館での研修内容は多岐にわたった。夏休みに実施したバンダイナムコとのコラボレーション企画「プラモデル体験会」では運営をサポート。8月末には鳥取県で開催された「世界文化温泉サミット」を視察した。
また、「日本で唯一の泊まれる博物館」を掲げる同館では、ベッドメイキングやレストランでの配膳、利用客への案内、清掃など宿泊施設の業務も経験。博物館向かいにリニューアルオープンした日帰り温泉施設「佐白温泉 長者の湯」でも業務に携わった。
来日した8月は記録的な暑さに見舞われた。「ブラジルより暑い」と話す一方、奥出雲については「とても静かで、びっくりした」と笑顔を見せる。サンパウロの喧騒とは対照的な環境について、「それがとてもリラックスできることにつながります」と話す。日本での生活を通じ、人との関わり方についても学びがあったといい、「人と人のかかわり方、距離感、助け合う心を学びました」と振り返る。
一方、地域での生活を通じて観光情報の発信や交通案内の課題も実感した。ウェブなどで地域の情報を探すことが難しく、公共バスを利用しようとしても情報収集に苦労したという。外国人旅行者向けに、地方の観光情報や公共交通の案内を分かりやすく提供することの重要性を感じたようだ。
温泉文化の違いも印象に残った。ブラジルで「温泉」といえば、水着を着用して利用するプール型の施設をイメージすることが多いという。日本の温泉文化に触れ、「同じ温泉でもまったく違う」ことを実感した。
地域文化への理解を深める機会もあった。近隣の「奥出雲百姓塾」では茶の手ほどきを受けるなど、奥出雲の暮らしや文化にも触れた。研修で得た体験や気づきは、自身のインスタグラムでも発信している。
【土橋 孝秀】







