JATA原新会長、「誰もが誇りを持てる産業に」 旅行業の成長性や意義示す数字開示を
2026年7月9日(木) 配信

日本旅行業協会(JATA)は7月8日(水)、東京都内のJATA本部で記者懇談会を開いた。6月の総会で新たに会長に就任した原優二会長は、旅行産業の成長性と社会的意義を示すことで「有能な人材が集まり、誰もが誇りを持って働ける産業にしていくことが課せられた使命だ」と力を込めた。そのためには旅行業を取り巻く数字の開示や第5次観光立国推進基本計画への貢献が重要だとした。
原会長はコロナを経た旅行業について、「我われは再び過度な価格競争に戻るのではなく、お客様にしっかり価値を提供し、その価値にふさわしい対価をいただく産業へ進化しなければならない」と語った。「旅行産業を若い世代へ引き継ぎ、真に観光立国を担う産業にしていくためには、生産性を高め、事業そのものを高付加価値化させることが必要」とし、「働き方改革を一層進め、『働いてよし・給与よし・仲間よし』を実現していきたい」と意気込んだ。
このためにJATAがすべきことは、旅行産業が立脚する市場の実態を示す数字として、生産性向上や働き方改革、給与水準、労働環境、業界で働く人の満足度などを可能な限り明確にし、年ごとに数値の改善をしていくことを挙げた。
2026年度からスタートした第5次観光基本計画については「アウトバウンドが国の観光政策の柱になったことは画期的なこと」と評価する一方、「多大な貢献が求められ、責任も重くなる。外部へモノを申し、我われの想いを実現させていくには相応の努力と成果が必要だ。JATAはもっと強い組織にならなければならない」とし、「バランスの取れた双方向交流の促進、インバウンドの地方分散、国内旅行の平日への需要の平準化の3つを実現させるために全力を尽くす」と引き締めた。

会見では、各分野を担当する副会長も登壇した。国内旅行を担当する吉田圭吾副会長は市場動向について、旅行会社の国内旅行取扱はコロナ禍前には戻っていないが、取扱額は24年度で下げ止まり、25年度は前年を上回る状況だと報告。これまでの数を追うスタイルから脱却した商品企画や地域と連携した需要創出などが実を結びつつあるとした。
一方、国内旅行需要の拡大に向けては、需要の平準化で平日旅行を増加させることが喫緊の課題とした。週末や連休などに需要が集中することで、「特定の日だけ予約がとれず、インバウンドの伸びにブレーキがかかることになるほか、集中により費用が高騰し、日本人の宿泊旅行は縮小していく」と危惧した。平日旅行促進には「休み方改革」が不可欠で、第5次観光基本計画に明記された「ラーケーション」や国が進める企業の休暇取得促進(ポジティブオフ)と連携した取り組みを進めていく。「例えば企業が月曜と金曜に大きな会議を入れなければ両日に休みが取れやすくなり、平日の旅行が促される。JATAも今年度から極力会議を入れないようにしている」と紹介した。
また、来年の3月から横浜で開催される国際園芸博覧会(グリーンEXPO)については半年前の秋以降からの告知が認知度向上に効果的だと示したうえで、「旅行会社ならではの企画やホスピタリティで博覧会を盛り上げたい」と述べた。

海外旅行は外的要因として航空仕入環境の変化、円安の影響、燃油サーチャージの急激な高騰、中東情勢など懸念要因があるなかで、7月のパスポート手数料引き下げなど好機を捉え、「もっと!海外へ」キャンペーンなどの展開で需要を喚起していく。数値目標は30年までに海外旅行者数2000万人、パスポート保有率20%。
CPでは安心・安全な旅行に向けて外務省の「たびレジ」の普及啓発も行っている。担当の酒井敦副会長は、「海外へ行くときは、必ずたびレジの登録をお願いしたい」と呼び掛け、過去の有事の際には、登録者から帰国の手配が行われた事例も紹介した。

訪日旅行の担当は山北栄二郎副会長。今年度も観光事業者へインバウンド受入拡大に向けた意識調査を行い、9月ごろに発表するとした。4回目となった昨年度は課題解決に向けた施策をまとめ、観光庁に提言書を提出した。高付加価値化と地方誘客に向けては、ゴールデンルートに変わる新ルート「レインボールート」の提案などを行っている。JATAとしては引き続き、会員会社がインバウンド事業へ参入しやすい環境づくりなどに努め、新たな事業の柱に位置付けたい考え。







