HIS25年度通期連結、営業益7%増の116億円 添乗員ツアー好調、訪日需要による高稼働でホテル最高益に
2026年12月15日(月) 配信
エイチ・アイ・エス(HIS、矢田素史社長)が12月12日(金)に発表した2025年度(24年11月1日~25年10月31日)連結決算によると、売上高は前年同期比8・7%増の3731億600万円、営業利益は同7・1%増の116億2700万円、経常利益は同8・9%増の113億8100万円、当期純利益は同45・9%減の47億1900万円となった。
海外旅行事業で利益率の高い添乗員付きの欧州ツアーが好調に推移したほか、国内のホテルにおいて訪日客の受客を中心に高稼働が継続し、客室単価の上昇につながり、過去最高の売上と営業利益を達成した。
一方、トルコ法人の事業を縮小したことやホテル事業で想定していた収益が見込めなくなり、建物などの固定資産の帳簿価額を減額したことで、当期純利益は減益となった。
旅行事業は、売上高が同8・9%増の3091億3900万円、営業利益は同3・6%増の96億3600万円。SUPER SUMMER SALE! 2025など繁忙期の需要喚起と早期予約を促すプロモーションを展開し、収益性の高いヨーロッパと中近東方面の添乗員付きツアーのほか、航空券とホテルを自由に組み合わせることができる商品AirZが堅調に推移した。このうち、添乗員付きツアーブランド「impresso」の売上高は同44%増だった。
ホテル事業は、訪日客の需要がさらに活発化したことで、稼働率と客室単価が前期から上昇した。コラボルームの展開も高単価につながった。この結果、売上高は同9・8%増の252億4400万円、営業利益は同18・7%増の36億1800万円となった。
26年度通期は、売上高が同12・6%増の4200億円、営業利益は同20・4%増の140億円、経常利益が23・0%増の140億円、当期純利益は同90・7%増の90億円を見込む。
26年度は、27年度からスタートする新中期経営計画の0年度とし、同計画に向けたスタートダッシュの助走期間と位置付ける。方針「AI、テクノロジーと人の協業による変革」を掲げ、AIイノベーション本部がAI活用による事業成長を目的に経営資源の最適化と横断的な戦略策定を行う。
旅行事業では、国内市場向けに海外旅行の高付加価値商材の販売強化をはかる。国内旅行については、沖縄県で着地コンテンツへの投資、開発、運営を行う。さらに、11月1日に設立した「HIS GlobalDMC」が海外市場の事業拡大を目的に、海外法人を統括し、横断的な連携強化をはかる。
ホテル事業では、50軒あるホテルの施設数を100軒に増加させ、営業利益は100億円を目指す。これに向け、旅行事業との相乗効果がある立地を選定し、開業していく。リネンと物販、施設管理、料飲を自社で行い、収益増加を目指す。AIを活用し、宿泊料金の自動設定システムを実装し、クチコミを即時にオペレーションで生かす体制も構築する。
矢田社長は「コロナ禍前の19年度比で売上高が約8割、営業利益は7割ほどまで回復した。当時運営していたハウステンボスとエネルギー事業を除いた事業と比べると、営業利益は19年度を上回っている」と話した。
26年度については「来年1月に予定する経営陣の交代やAIの活用、新予約システムの導入などで組織の再加速をはかり、積極的な事業拡大をはかる攻めの経営に転じていきたい」と語った。
新体制における方針について来年1月28日(水)、社長に就任予定の澤田秀太取締役が「AIやテクノロジーを軸に事業拡大を加速する。これに、HISならではの高い企画力やホスピタリティなど人による力を掛け合わせて、ナンバーワンを目指したい」と意気込みを述べた。






