西川丈次氏セミナー「地域観光 進化論会議」開く 高橋敦司氏も登壇
2025年12月15日(月) 配信

おもてなし経営研究所所長、観光ビジネスコンサルタンツ代表の西川丈次氏は12月12日(金)、東京国際フォーラム(東京都千代田区)でセミナー「地域観光 進化論会議」を開いた。
第1部は、ゲスト講師として元JR東日本びゅうツーリズム&セールス社長の高橋敦司氏が登壇した。
高橋氏は「先行する観光立国のフランスや米国は人口が増えている。一方、日本は人口減少による地域の衰退を、訪日外国人など観光客に穴埋めしてもらおうとする『切実さ』がある」とし、「本当の意味で、観光は地方を持続させるためのカギ。この現実に地域が気づいているか」と問題を提起した。

そのうえで世界中の旅行者がSNSで検索し、「ケンサクがセンタク」となって「人が行くところにしか行かない」状況は今後ますます顕著となり、「地域間格差は拡大していく」見方を示した。
高橋氏は「旅のチカラ」、つまり旅が地域を支えている意識の弱さを指摘する。「米国のDMOは、地元の雇用や、橋などのインフラ整備は観光収入で成り立っていると、数値を明示して住民に理解させる。これも大事なミッションの一つ」と話す。しかし、日本の観光協会やDMOはその意識は希薄だという。
「旅が地域を支えている」意識を住民が共有すると、地域の宝を大切にし、物語として訪れる観光客にも笑顔で語るため、受入側も旅行者も心豊かな旅となり、地域も豊かになる。「創ろう。人生を豊かにする旅を」と呼び掛けた。
第2部は西川丈次氏が登壇した。西川氏は「観る」から、体験して、知る(学ぶ)ことによる「楽しい時間」を過ごす旅へと、旅人が求めるものが変化していることを説明。「地元の人が畑について語れば、畑という日常の風景すら観光地になる」と語った。
「非観光素材であるマンホールや、スーパーマーケットの地元限定商品なども旅の素材になり得る」として、人の心を動かす「新しい旅」のきっかけはどこにでもあると、自らのエピソードを交え例示した。さらに「旅の思い出づくり」を観光商品にしている地域を紹介しながら、「観光地の使い捨てではなく、育てる、一緒に成長する考え方が大事」と力を込めた。




