NAA、中期経営計画(2025~27年度)発表 発着回数29万回、旅客数4700万人目標に
2025年5月30日(金) 配信

成田国際空港(NAA、田村明比古社長)は5月29日(木)に開いた会見で、中期経営計画(2025~27年度)を発表した。コロナ禍を経て回復期から再成長期に転じたとして、C滑走路を28年度、新旅客ターミナルを30年度前半に供用開始することを見据えて変革を加速させ、国や旅客、航空会社、空港従業員など同社のあらゆる関係者への価値創造を最大化していく。
同計画では空港の将来像の具現化と航空ネットワークの充実、経営資源の強化を軸に据えた。
このうち、航空ネットワークの充実では、30年までに訪日客数を6000万人へ増加させる政府の目標を踏まえ、旅客が行きたい場所へ行きたいときに訪れることができるよう、ネットワークを拡充させていく。こうした路線網でさらなる旅客数を確保し、価値創造につなげる。
空港の将来像の具現化では、アジアで新空港の建設や拡張プロジェクトが進んでいること、世界でLCCのシェアが拡大していることを受け、ニーズの変化に対応し、競争力を維持する空港の大規模な刷新に向けて、具体的な将来像を提示する。
経営資源の強化では、航空ネットワークを支える人的資本や新しい滑走路やターミナルの新設を鑑みた財務基盤の強化をはかる。
これらを実現し、27年度に発着回数は24年度比4万5000回増の29万回、旅客数は同623万人増の4700万人を目指す。このうち、国際線の外国人客数は同583万人増の2650万人、日本人客数は同142万人増の970万人、国内線は同41万人増の780万人を目標に掲げている。
田村社長は6月20日に退任し、新社長として藤井直樹氏が就任する予定で、「さまざまなプロジェクトが山積しているが、航空をはじめ国土交通行政全般に知識と経験を有する藤井氏が手腕を発揮し、空港を発展させることに期待している」と語った。
□25年度決算は増収増益 円安で飲食物販好調
同日には25年3月期の連結決算(24年4月1日~25年3月31日)も発表した。
売上高は、円安の効果で物販・飲食収入が好調だったため、前年同期比21・6%増の2637億7300万円と4期連続の増収となった。売上に連動して営業費用が増加したが、引き続きコストマネジメントの徹底に努めた結果、営業利益は同226.1%増の422億9300万円だった。
経常利益は同278.5%増の404億5400万円、当期純利益は同249.3%増の351億4400万円となった。
25年度通期は中国と東南アジアを中心とした増便を想定し、売上高は同4.7%増の2762億円を見込む。諸物価の高騰や老朽化した施設の更新を進めるためコスト増加を想定し、営業利益は同23.1%減の283億円、経常利益は同40.4%減の241億円、当期純利益は同61.0%減の137億円を見通している。
田村社長は「今後はさらに発展していくために、人材の確保や新滑走路の増設などによって利益の最大化を目指す」と話した。