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訪日客の地方誘客へ、「2次交通の確保が重要」(秡川観光庁長官)

2025年5月23日(金)配信

観光庁の秡川直也長官は5月21日に会見を開いた

 観光庁の秡川直也長官は5月21日(水)に開いた会見で、インバウンド(訪日外国人旅行)をはじめ観光客の地方分散に向けて、2次交通の確保と充実が非常に重要であるとの認識を示した。また、石破茂首相が参議院予算委員会で言及した国際観光旅客税(出国税)の見直しについて「石破首相からは、新たな観光立国推進基本計画を今年度末までに策定するという指示を受けて、観光施策の議論をしているところ。財源は次の議論になる」と述べた。

 国がインバウンド拡大を強力に推進するなか、とくに地方部の温泉地ではバスやタクシーなどの2次交通の安定的な提供が喫緊の課題となっている。秡川長官は「インバウンドや日本人も同様に、日本各地に行って楽しんでもらうためには2次交通の確保と充実が非常に重要である。あわせて、分かりやすく情報を提供することも大事」との認識を示した。

 国土交通省では現在、「交通空白」解消本部を設置し、地域・観光の足である地域交通の確保に向けたさまざまな施策を進めていると説明した。交通空白の解消に向けて「日本版ライドシェアや公共ライドシェア、観光客向けの周遊バスや乗合タクシーに対する支援も行っている。あとは経路検索アプリや、訪日客向けの観光情報ウェブサイトにおける交通手段に関する情報の掲載も充実してきた。今後も各地域のニーズに応じた移動手段を確保し、情報提供をしていきたい」と話した。

 温泉地での2次交通の課題解消に向けては、山形県・銀山温泉が24年12月に導入した日本版ライドシェアを例に挙げた。地元タクシー会社の管理下で、一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ仕組み。タクシー運転手の人手不足を解消し、「観光や足の確保、充実にライドシェアも非常に有効な手段である」と述べた。

出国税引き上げ検討、財源の前に施策議論

 出国税については、石破首相が5月19日(月)の参議院予算委員会で、訪日客に対する税額の引き上げに関して今後政府で検討していく考えを示した。

 受け止めを問われた秡川長官は「石破首相からは現在、新たな観光立国推進基本計画を今年度末までに策定するという指示が出ている。来年度から2030年までの5カ年で訪日客数6000万人、消費額15兆円という目標に向けて何が必要なのか観光施策の議論をしているところ。財源については、その次の議論になる」と述べた。

 開幕から1カ月が経った大阪・関西万博についても触れ、「万博協会や経済産業省に聞くと予想よりも多く来場し、予約も入っていて非常に良い状況」と、良いスタートを切れたと評価した。

 旅行会社や協会によると「万博パッケージの旅行商品もかなり売れていて、予約も入っているようす」。ただ、万博による国内および訪日客の影響については「全体の中で万博の効果がどのくらいあるのかというところの数字はまだ出ていないので、現時点で影響というところはまだわからない」と回答した。

 そのほか、米国の関税政策に伴う旅行業界の影響について「現時点で日本の旅行動向に特段の影響は生じていない」と述べる一方で、引き続き今後の状況を注視していく考えを示した。

国内消費額5.6兆円、第1四半期で過去最高

 25年1~3月期の旅行・観光消費動向調査の速報値によると、日本人国内旅行消費額は前年同期比15.5%増の5兆6483億円と報告した。第1四半期として過去最高を記録。旅行消費による波及効果について「消費額の約2倍とされ、同期間の経済効果は約11兆円」と推測した。

 日本人国内旅行消費額のうち、宿泊旅行が同18.5%増の4兆5866億円、日帰り旅行が同4.1%増の1兆617億円となった。

 日本人国内延べ旅行者数は同6.0%増の約1億1964万人。このうち宿泊旅行が同8.0%増の6666万人、日帰り旅行が同3.7%増の5298万人だった。

 日本人国内旅行1人1回当たりの旅行単価は同8.9%増の4万7212円。宿泊の有無でみると宿泊旅行は同9.8%増の6万8807円、日帰り旅行が同0.4%増の2万40円となった。

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