test

コンプラ遵守へレベル向上を 三位一体の回復が重要 JATA

2023年7月6日
編集部:飯塚 小牧

2023年7月6日(木) 配信

記者懇談会のようす(左から3人目が髙橋会長)

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)は7月5日、東京都内で記者懇談会を開き、今年度の事業方針などを語った。髙橋会長は不正受給問題など、旅行会社による度重なるコンプライアンス違反が発生したことに対し、「コンプライアンス遵守は最優先」と強調したうえで、「レベル向上に取り組んでいく」と力を込めた。

 市場環境については、国内、訪日旅行が順調に回復している一方、海外旅行の回復を喫緊の課題に挙げた。「海外旅行の回復なくして旅行業の回復なし。三位一体のバランスの取れた回復が重要だ」と述べた。

 ポストコロナの旅行産業の在り方は、「持続可能性への挑戦」をテーマに掲げる。「SDGsは当然の価値基準になってきている。世界的にみると、取り組んでいない企業とは取引を避ける動きもある」と言及。今年から開始した「JATA SDGsアワード」を通じ、業界全体の意識の向上や取り組みを強化し、レスポンシブルツーリズムの推進を目指す。

 髙橋会長は、今後の発展には業界で知恵を絞り、協調と競争をしていく必要があると強調。「旅行会社として、社会的使命をしっかり果たしていく」と意気込んだ。

海外旅行の早期回復を

 海外旅行については、コロナ前の市場規模は約2兆円だったが、2020年からの3年間で約5・5兆円が消失。主要旅行会社の総販売額の約4割が海外旅行を占めていることから、早期の回復が望まれる。

 現況、航空座席供給数は19年並に近づいているが、インバウンド中心で海外旅行は3割強にとどまっている。海外旅行担当の酒井淳副会長は「旅行会社の強みは海外旅行」とし、改めて旅行会社を通じた海外旅行の良さなどを訴求したい考えを述べた。

 その一環で、観光庁と実施している「今こそ海外!宣言」プロジェクトではパスポート取得キャンペーンが注目を集めたことを評価。「パスポート取得そのものが最終目標ではなく、海外旅行への関心を高めることに意味がある」と述べた。今後は、ワークショップ開催などスタッフの教育支援も行っていく。

観光産業共通プラットフォーム構築へ

 国内旅行は、業界全体の生産性を高めるための「観光産業共通プラットフォーム」構築に注力する。宿泊施設と各旅行会社間で行っていた非効率な業務を一元化・プラットフォーム化することで負担を軽減。産業全体のDX化をはかり、災害時の正確な情報集約や発信で混乱を回避し、風評被害の最小化を目指す。

 取り組みスケジュールとしては、7月1日に6月中旬までにプラットフォームに登録した宿泊施設約2000施設を対象に、災害時情報集約訓練を実施。国内旅行担当の小谷野悦光副会長は「まず実効性の高い取り組みから進めていく」と述べた。

 需要喚起策は「笑う旅には福来る」キャンペーンで、「平日賞」「バスコース賞」を新たに設け、平日旅行と貸切バス利用の団体旅行回復に取り組むと報告。ニューツーリズムなど新たな需要創出支援も実施する。

訪日の急激な回復で人手不足課題

 訪日旅行は水際対策緩和後、急激な回復を見せたことから各業種による人手不足、サービス低下が課題となっている。訪日旅行推進委員会の百木田康二委員長によると、ツアーオペレーター各社の要員不足により問い合わせに対応できず、「海外旅行会社からの指摘も増えてきている」という。これを受け、日本観光振興協会らの協力を得て、業種別課題や地域格差を可視化するため7月中にも、全国のDMOや観光施設などを対象に、訪日受入体制の意識調査を実施する予定だ。

 また、13年からJATAが事務局として開始した、「ツアーオペレーター品質認証制度」で、今年から新たに評価基準に「サステナブルツーリズム」の項目を追加。観光スタイルによる質の転換を行い、消費額拡大やオーバーツーリズム対応などにつなげていく。

 このほか、旅行業全体で人手不足が続くなか、人材確保への取り組みとして、人材派遣会社と連携した経験者採用を会員会社へあっ旋する。人材育成としては「JATA旅行未来塾」を開講し、中堅を対象に次世代のリーダーを育成していく。

 会見では、旅行業における女性の働き方について、運営委員でシイ.エイ.エヌ.社長の勅使河原晃子氏が自身の経験を踏まえて、「前向きな気持ちで働き続け、小さな改革を積み重ねることが旅行業界、ひいては社会を変えていく」と力強く語った。

いいね・フォローして最新記事をチェック

コメント受付中
この記事への意見や感想をどうぞ!

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。