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【精神性の高い旅~巡礼・あなただけの心の旅〈道〉100選】-その27-会津さざえ堂&厳島神社 東北神仏めぐり(福島県会津若松市) 二重らせんのさざえ堂 市杵島姫命様の聖地を訪ねる

2023年7月8日
編集部

2023年7月8日(土) 配信

 今回の精神性の旅の舞台である、福島県会津若松市にある飯盛山は、会津の城下町を一望できる小高い山であり、ヤマトタケルなどの神話が残る信仰の山です。鶴ヶ城は飯盛山から向かって、左側に見ることができます。この山は、戊辰戦争の悲劇の舞台とされ、戦いに立ち向かった16歳から17歳の少年で結成された会津藩士の子息でもある白虎隊たちのお墓もあります。

 

 飯盛山には、イタリア記念碑・ドイツ記念碑もあります。イタリアの独裁者ムッソリーニは、日本の武士道を高く評価し、彼は白虎隊のエピソードに感動して、ローマ市民の名をもって記念碑を送るよう命じました。その記念碑は、ポンペイ遺跡から発掘された本物の石柱が使用されています。また、ドイツ大使館に外交官として赴任した、フォン・エッツ・ドルフ氏も、会津の白虎隊の少年たちを賛美し、1935(昭和10)年に碑と十字章を寄贈しています。

 

 

 そんな歴史的背景のある飯盛山に建立されたのが、世界でも珍しいとされる二重らせん構造の「会津さざえ堂」。「円通三匝堂」とも呼ばれています。その特異な外観や構造が、サザエに似ているところから、「さざえ堂」と呼ばれているとのこと。1796(寛政8)年に建立された、高さ16・5㍍の六角三層の仏堂です。かつて飯盛山には、「正宗寺」という寺院があり、その住職であった郁堂和尚が考案したと伝えられています。

 

会津さざえ堂

 

 このお堂の特徴は、内部通路がDNAと同様の「二重らせん」のスロープ構造になっていて、のぼりもくだりも一度も人とすれ違わない一本道なのです。あのレオナルド・ダビンチが設計したという説もあり、建築史上貴重な建築物として1995(平成7)年に国の重要文化財に指定され、日本遺産にも認定されています。

 

 かつては、その独特な二重らせんのスロープに沿って、「西国三十三観音像」が安置され、参拝者はこのお堂をお参りすることで「三十三観音まいり」ができるといわれ、塔を一巡りすることで、西国巡礼と同じご利益を得られると考えられていました。日本各地には巡礼のコースが大小1000以上あり、代表的な巡礼といえば、四国八十八ヶ所や西国・坂東・秩父の百観音巡礼です。その他にも不動尊巡礼、地蔵尊巡礼、七福神霊場など多数あります。現在は、「地方霊場」と呼ばれる四国・西国霊場を模倣して造られたという小霊場が全国に広まり、各地に形成されていきました。なかなか遠い四国や西国の巡礼に行けない場合は、小さな地方霊場へ足を運び、自分と真摯に向き合う精神性の旅へ出掛けてみてはいかがでしょうか。

 

 さて飯盛山には厳島神社もあり、会津さざえ堂の近くにあります。古くから厳島神社は、近隣の人々から崇敬されてきた神社であり、創建は南北朝時代の1381年から1383年(永徳・弘和年間)。主祭神は、市杵島姫命様。創建のきっかけは、多くの童女を従えて現れた美しい霊妃のお告げによるものとされています。社殿造営中も童女たちが姿を現し、手伝ってくれた人たちに小豆ご飯を振る舞いましたが、この小豆ご飯がいくら食べても減らなかったことから、当時の地名「飯盛」となったそうです。

 

福島 厳島神社

 

 東北には青森の恐山をはじめ、数多くの霊場や先祖の霊をあの世に送るお祭りがあり、自分とご先祖様、神仏と深く対面できる、とても貴重な精神性の高い旅ができる地域であると思われます。

 

 精神性の高い旅をより充実させていくためには、スマホやタブレット、PCなどをいっさい置き去りにする、デジタル・デトックスの旅が心身をより研ぎ澄まし、効果的になるのではないでしょうか。

 

旅人・執筆 石井 亜由美
カラーセラピスト&心の旅研究家。和歌山大学、東洋大学国際観光学部講師を歴任。グリーフセラピー(悲しみのケア)や巡礼、色彩心理学などを研究。

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