「津田令子のにっぽん風土記(94)」春の風景をもとめて館山へ~ 千葉県館山市編 ~
2023年2月22日(水) 配信
東京都心から90分で海と山の両方のリゾートを満喫できる館山。温暖で「ないものが一つもない館山」といわれるほど何でもそろう一大観光地だ。館山市観光協会観光まちづくりセンター室長の木村義雄さんに早春の館山の魅力を伺った。
温暖な館山は既に春の花が、あちらこちらで咲き始めている。「フラワーラインの菜の花、城山公園のスイセンと椿が、ちょうど見ごろを迎えています。中旬には、館山城をバックに観梅を楽しめる城山公園の梅も咲き始め、もうすぐ花盛りになります。展望台からの眺めはバツグンです」と木村さんは話す。
城山公園は木村さんの朝のジョギングコース。春めき具合いを日々確認できるという。「伊戸から相の浜までの6㌔の沿道を彩るフラワーラインの菜の花は、2月中に楽しめ、このコースはドライブとサイクリングコースとしてお薦めです」。
ご当地自慢は続く。寒さ知らずのハウスの中で、5月上旬まで楽しめる糖度の高いイチゴ狩りも人気だ。「かおりの、章姫、紅ほっぺなどの食べ比べはいかがでしょうか」。
かおりのは、甘みと酸味のバランスがちょうど良く、人気だ。さらに「海岸線を歩きながら雪のかぶった富士山を眺めるのも素晴らしいです。冬はくっきり綺麗に見える日が多く、海の向こうの富士山は綺麗です。心に響きます」と木村さん。
穏やかな日には、城山・崖観音・野鳥の森などの展望台から鏡ケ浦や平砂浦の眺めが素晴らしく、北条海岸からの冬の富士山は美しく心が洗われると人気のスポットだ。伊戸漁港のだいぼパーキングからの夕景もお勧めという。「大島と神津島の間に夕日が落ちるころ、空間全部が茜色になり、一大パノラマの世界に感動することでしょう」。館山を効率的に巡るにはレンタサイクルが一番とのこと。
食は八犬伝にならい旬の魚8種類を使った「館山炙り海鮮丼」(市内4店舗・要予約)が一押しだ。房総半島の最南端に位置する館山市。1年を通して豊富な魚介類が水揚げされる「水産のまち」を「食」で訴求しようと開発された。地場産食材にこだわり特製の三段どんぶりを使い、上から順に「炙り海鮮」(一の膳)、「刺身&カルパッチョサラダ」(二の膳)、「海鮮押し寿司&野菜巻き寿司」(三の膳)となっている。見た目はゴージャス、味も最高とファンは多い。
「ぜひ駅東口のパンジーのかまくらで思い出の記念写真を」と木村さんの笑顔が光る。
津田 令子 氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。