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温泉文化のユネスコ登録を応援 22年は「需要回復へ大きな転換点」(観光庁長官会見)

2022年12月22日(木) 配信

観光庁の和田浩一長官は12月21日(水)、会見を開いた

 観光庁の和田浩一長官は12月21日(水)に開いた会見で、2022年を通して、「全国旅行支援実施と水際措置の緩和で、国内外の観光需要を本格的に回復させる大きな転換点を迎えた年だった」と振り返った。また、日本の温泉文化をユネスコ無形文化遺産に登録推進する関連諸団体の動きについて、「温泉はコンテンツと文化の両側面で魅力的。観光庁としても温泉をコンテンツとした観光地域づくりや情報発信に取り組む」と、応援する姿勢を示した。

 

インバウンド誘客期待 温泉文化の登録目指す

 温泉文化をユネスコ無形文化遺産に登録推進しようと、議員連盟や全国17道県の知事会が立ち上がり、推進協議会が今年3月に設立する予定だ。観光庁の和田長官は、「温泉は豊かな自然の恵みであり、観光資源としてとても魅力的なコンテンツであり、日本で古くから継承されてきた入浴文化・湯治文化など、文化としてとても価値のあるもの。ユネスコ無形文化遺産に登録されることは、日本の温泉が世界に広く認められることを通じて、インバウンドの誘客にもつながる」とコメントした。

 

訪日・海外旅行 引き続き回復に注力

 22年11月の訪日外客数は、93万4500人と伸長し、100万人に迫る数値となった。ゼロコロナ政策をとっている中国を除き、19年の54%まで回復した。

 観光庁は、この回復をさらに進めるため、外国人に訴求するコンテンツとして全国各地の特別な体験などを提供し、世界にむけて発信する考え。

 この観光再始動事業を実行するに当たり、日本政府観光局(JNTO)と航空会社との共同広告を活用して国際線の復便促進をはかっていく。

 アウトバウンドについては、円安や燃油サーチャージの値上げ、新型コロナ感染への不安などの影響により、インバウンドに比べ需要の戻りが芳しくないとの受け止め。和田長官は、「今後の旅行動向を注視しながら関係業界とよく相談・連携しながらアウトバウンド回復に取り組む」と語った。

 さらに、「国際交流に不可欠な航空ネットワークは、双方向の需要を増やしていくことで拡充につながっていくもの。インバウンドとアウトバウンドの両方で人的交流の拡大に取り組んでいきたい」と意気込みを述べた。

 

支援策を活用する際は賃金引き上げを条件に

 観光需要の回復に伴い、人手不足感が高まってきている。和田長官は、「官民で連携し労働環境の改善や賃金水準の向上に努め、人材確保のための環境改善に取り組むことが急務である」とした。

 また、23年度予算において、「観光施設事業者が再生・高付加価値化やDX化などといった国の支援策を活用する際に、従業員の賃金の引き上げを要請するなどの施策を検討している」と話した。従業員の待遇向上がはかられるように、国内人材の担い手確保を進める方針だ。

 外国人材の獲得に向けては、海外での特定技能試験の実施や、日本の宿泊業での就労意識を喚起するため、業界団体と連携して宿泊業の魅力などを周知・発信し、環境整備に努めていく。

 

旅行支援や水際緩和 大転換点を迎えた22年

 和田長官は、「この3年、観光行政の最大の課題はコロナへの対応だった。感染拡大防止と経済活動を両立させながら、観光関連事業を多面的に支援してきた」と振り返った。10月11日(火)から全国旅行支援の実施と、水際措置の大幅な緩和があったことから、訪日外客の急激な伸びのほか、日本人の国内延べ宿泊者数がコロナ前を上回った。

 観光庁では、引き続き観光需要の回復と拡大をはかり、「観光消費額の拡大」、「地方誘客促進」、「持続可能な観光」──の3つのキーワードに留意し、「国内交流拡大戦略やインバウンド回復戦略、高付加価値で持続可能な観光地域づくり戦略の3つを、総合的かつ強力に推進していく」(和田長官)方針を示した。

 

ガスツーフォーラム開催 日本式の「持続可能」

 観光庁は12月12(月)~15日(木)に奈良県で開かれた「第7回UNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラム」で、国内外の参加者に向けて、日本で体験できる食や食文化などの魅力を発信した。

 フォーラムに参加した和田長官は、「日本の食というのはとても魅力的な観光コンテンツであるとともに、持続可能な観光という側面からも価値のあるもの」とした。「引き続き、好事例を集めて成果を報告していき、日本が持続可能な観光の先進地であることを世界にアピールして日本に来ていただきたい」。

 日本においての持続可能な観光について、「とくにアジアの国々と連携して取り組んでいきたいと考えているのは、『地域社会や地域経済の持続性を高める観光』」であるとした。

 このテーマについて、

①地域資源を保全しながら観光するコンテンツづくり
②地域経済の活性化のため地域一体で取り組む
③観光による地域活性化に携わる関係者の雇用維持や確保、労働環境の改善
④オーバーツーリズム防止と、住んでよし訪れてよしの地域づくり
⑤一過性の補助金頼みにならない、持続的な誘客消費戦略が策定される仕組みづくり

──の5要素に分類できるとし、これを日本の持続可能な観光として、アジア各国と連携しながら推進していく方針を示した。

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