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「週末ご褒美旅」構築へ 神奈川県・湯河原町でモニターツアー

2021年12月16日
営業部:後藤 文昭

2021年12月16日(木) 配信

宿の歴史に触れる

 神奈川県・湯河原町は現在、20~30代の女性の取り込みへ、新ブランド「週末のご褒美旅」の構築を進めている。

 テーマは、「癒し」。湯河原町の高級旅館のおもてなしと、多様な観光コンテンツをコンパクトに楽しめる新しい旅のスタイルを提案する。

 10、11月にはモニターツアーを実施した。今後収集したアンケートを参考に内容を磨き上げ、来年度以降の商品化を目指す。

 10月29~30日に実施したモニターツアーは、ふきや旅館への宿泊から始まった。同館は3つの貸切風呂と、岩造りの露天風呂を備えた男女別の大浴場があり、7つの湯めぐりを楽しめる。料理は毎月内容を変え、提供している。

 モニターツアーのメインは、国の登録有形文化財となっている4旅館巡り。各宿の歴史や特徴などを宿の女将など「湯河原人(まち案内人)」に直接聞くことで、宿泊機会を創出することが狙い。新ブランドの核にもなるコンテンツだ。

富士屋旅館 旧館

 旧館、洛味荘、新館からなる「富士屋旅館」は、閉館から17年の時を経て2019年に生まれ変わった宿。現存する建物のなかで最も歴史があるのが1923年に建てられた旧館で、2020年に国の登録有形文化財に指定された。

源泉 上野屋の足湯

 湯河原で最も長い歴史をもつといわれる「源泉 上野屋」は、江戸時代ごろから湯宿を始めたと伝えられている、湯河原温泉の数ある旅館の中で一番古い宿。1930年に建てられた本館、23年に建てられた別館、36年ごろに建てられた玄関棟が国の登録有形文化財となっている。最上階には足湯と、昭和初期に作られた客室を改築した湯上り処があり、湯河原の大自然を愛でながら癒しのひと時を過ごすことができる。

 1882年創業の「藤田屋」は、東郷平八郎を始め多くの文化人、著名人の足跡が残る宿。宿は本館と新館からなり、本館が有形文化財として登録されている。

 1888年創業の「伊東屋」は、島崎藤村ゆかりの宿で、小説「夜明け前」の原案を練ったといわれる。 館内見学では、明治天皇の侍従長であった徳大寺実則公爵滞在のために大正初めに造られた部屋などを見学し、同館の歴史に触れた。

 今年4月、万葉公園の入り口に「万葉公園玄関テラス」がオープンした。1階にあるテイクアウト専門のカフェではドリンクやスイーツなどを提供。湯河原ゆかりの作家などの本も自由に持ち出せるようになっており、公園内での読書や、カフェタイムを楽しめるようにした。

万葉公園内を巡る

 また川沿いの遊歩道も新調し、新たに7つのテラスを設置。各テラスでもくつろぎの時間を過ごすことができる環境を整えたほか、8月には日帰り入浴施設「惣湯テラス」も開業した。モニターツアーでは万葉公園の歴史を聞きながら、園内を回った。

 同ツアーは、観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業(第一次)」の支援を受け、地域活性プランニング(東京都)が企画プロデュース・運営役を担った。

 また、モニターツアーには跡見学園女子大学観光コミュニティ学部の学生も参加。20代女性の目線で湯河原を体験し、観光関係者らと意見交換を行った。

ツアーを振り返って

参加者の声

 人々のおもてなしが一番の魅力でした。高級で品のあるというイメージは変わりませんが、今回参加してその魅力にプラスして、親しみやすさが加わりました。

 温泉が湯河原一番の魅力。7つの湯めぐりをふきや旅館でできて、満足でした。

 説明を聞くことで、宿の価値を知ることができました。湯河原に文化財の宿があることが新発見でした。

 読書やカフェタイムを大自然のなかで楽しめる施設は少ないので、新しくなった万葉公園は若い人たちに流行るのでは。

 横浜や東京から箱根に出掛ける際には、小田原での乗り換えが必要だが、湯河原は乗り換えが必要ないので、仕事終わりに来る場所としてのアクセスがいい。

(跡見学園女子大学生の声を含む)

ツアーのねらい 関係者が語る

 高級という湯河原のイメージに対し、若者にも手が届く値段で宿泊してもらい、20~30代女性の認知度を高めることが今回のモニターツアーの狙いです。そのために金曜泊、レイトチェックインとし、夕飯を提供しないことで、宿泊料金を抑えました。旅行業者に商品化していただくことが目標です。
 各旅館さんでも需要があればプランを作っていただけると思うので、今回のモニターツアーをお試しの機会として考えていただければと思います。(湯河原町役場 宮下睦史 観光課長)

 おなじみさんになっていただくためには、旅館から出ていただくことが大事です。町を歩き、地元の人が気が付いていないような魅力的な場所を発見してもらう。独自の湯河原を見つけていただきたいと思います。(湯河原温泉観光協会 久能木孝一 企画課長)

 湯河原には約70件の旅館があり、宿泊料金もさまざまです。消費者のニーズに合わせ、宿ごとにどういったプランを出していくかは、それぞれの判断になります。
 ふきやでは日帰りプランを実施していきますが、こういったプランを通じて高級旅館の敷居を低くしていくのもいいと思います。(湯河原温泉ふきや 山本一郎 代表)

 湯河原は箱根や熱海に比べ、宿泊客は2割以下と日帰り客が多く、若年層の認知度低下が課題であることから、「次世代の来訪」を増やすために今回のモニターツアーを企画しました。

 元々ある「歴史ある温泉旅館」や「ひとのおもてなし」を観光資源として、疲れを癒しに来訪させ、若年層でも手が届く憧れの温泉地として発信してもらう狙いです。参加者の声を検証し、さらにブランドイメージの定着を目指していければと思います。(地域活性プランニング 安黒道晃 ゼネラルマネージャー)

 今回のモニターツアーを通し出された意見を吸収し商品化につなげることで、より湯河原に若い人が来てくれればと思います。(近畿日本ツーリスト横浜支店 上山伸二 営業課長代理)

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