観光庁「地域観光魅力向上事業」、2次公募が6月18日まで

2025年6月2日(月) 配信

観光庁(写真はイメージ)

 観光庁は6月18日(水)の正午まで、「地域観光魅力向上事業」の2次公募を実施する。2次公募では販売型の事業として国内観光客の地方誘客をはじめ、観光需要喚起をはかるものを優先採択する。

 同事業は、地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツ開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援を行い、中長期に亘って販売可能なビジネスモデルづくりの支援を実施するもの。

 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)実施期間内に、万博に来場する観光客に対して観光コンテンツの販売を行う事業も対象とする。採択に際して、その旨を審査において勘案するとともに、採択後、速やかに交付決定を行うとした。

 対象は地方公共団体、DMO、民間事業者など。補助額は400万円まで定額、400万円を超える部分の補助率は2分の1。補助上限は1250万円、最低事業費は600万円とした。

 詳細や申し込みは「地域観光魅力向上事業」サイトから。

【国土交通省】人事異動(6月2日付)

2025年6月2日(月) 配信

 国土交通省は6月2日付の人事異動を発令した。

出向〈外務省在中華人民共和国日本国大使館参事官〉(大臣官房付)後藤史一

出向〈外務省在アメリカ合衆国日本国 大使館参事官〉(大臣官房総務課企画官〈併〉航空局)福田ゆきの

〈観光最前線〉最高峰の手仕事、牛首紬を体験

2025年6月2日(月)配信

玉繭から糸を引き出す作業を体験

 「牛首紬(うしくびつむぎ)× MIZEN 白山店〈加賀乃織座(かがのおりざ)〉」(石川県白山市)では、800年の歴史を誇る牛首紬の糸挽きや機織りを体験できる。料金はひとり1万円。金額をみて、これは深いと直感。案内サイトを見て確信に変わった。

 牛首紬の特徴は、2匹の蚕がつくった玉繭(たままゆ)から手作業で糸を紡ぐ「のべひき」という技法にある。養蚕で玉繭ができる割合は3%程度。2本の糸が絡むため、糸取りには向かず、通常くず繭になるという。だが、玉繭から生まれる玉糸は弾力、伸張性に優れている。糸が絡んだところに節ができ、後に染めた際、独特の風合いも生まれる。複雑な絡まりを解きながら糸を紡ぐ、職人の経験が牛首紬の品質を支えている。

 そんな最高峰の手仕事を間近に。その価値はきっとプライスレス。

【鈴木 克範】

「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(5月号)」

2025年6月2日(月)配信

https://zoomjapon.info

特集&主な内容

 創刊から15年を迎えた本誌150号の特集は、出版業界の危機がテーマです。フランスでも大河ドラマ「べらぼう」がNHKワールドで放映されており、とくに日本の書店事情に焦点を当てました。減少が続く全国の書店数や、書店が皆無の自治体の増加、日本の書店経営で重要な収入源だった雑誌についてなど、日本の書店の歴史と現状を解説しています。また、かつて出版社や新聞社に勤務しており、柿生隠者という名で情報発信している方にも日本の書店事情を伺いました。図書館に漫画がない理由や、日本独自の「取次」という流通形態などを踏まえて、日本の状況を説明していただきました。「べらぼう」の脚本家、森下佳子さんと制作統括の藤並英樹さんにもインタビューをしました。旅行ページでは東京大阪間の高速バスをリポートしています。

〈フランスの様子〉国民の2人に1人が最低1週間の夏のバカンス

「フランス人の2人に1人が夏のバカンスを予定、予算は平均1800ユーロ」。5月7日、地方紙Sud Ouest紙のウェブサイトより

 バカンスのために働くといわれるフランス。◆フランスの年次有給休暇は5週間(職種によってはそれ以上)で、それをすべて消化するのは当たり前なのは、もう何十年も前から。◆パリで毎年開催される国際旅行博が3月なのも、このくらいから夏のバカンスの計画が具体的に始まるから。5月になるとフランス人はもう夏のバカンスのことを考えてそわそわし始める。◆5月初めに発表された世論調査によると、フランス国民の2人に1人が今年の夏、最低1週間のバカンスを予定しているという。◆日本人の一般的な感覚では、1週間でも長いし、それが「国民の半数」というのもかなり多いように見えるが、フランス人にとっては、できれば最低2週間が当然だし、数十年前には国民の7割以上が夏のバカンスに出掛けていたともいわれる。◆コロナ禍以降の経済の停滞の影響などもあって、フランス人のバカンスの縮小傾向は続いており、一家庭の今年の予算の平均は1800ユーロ(約30万円)だというが、これも39%の人が減らすと答えたうえでの数字だ。

ズーム・ジャポン日本窓口 
樫尾 岳-氏

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旅行新聞 編集部〉

 

〈旅行新聞6月1日号コラム〉――必要最低限の宿 アンダーステイトメントなおもてなし

2025年6月1日(日) 配信

 インバウンドや国策の追い風にも背中を押され、日本の旅館やホテルは補助金を活用して施設を改修するなど、高価格帯へと移行している。コロナ後に廃業する宿泊施設が多いなか、生産性を高めながら、給与水準をアップして優秀な人材を確保している宿が各地に存在していることは頼もしく感じる。

 一方で、旅行者目線からは宿泊料金が驚くほど高騰しているため、「会社の出張費内で宿泊できるホテルが見つからない」や、「国内旅行も高くて旅行しづらい世の中になった」などの声もしばしば耳にするようになった。実際、程好い価格帯の宿を見つけるのは至難の業となってきている。

 最近思うのは、宿泊料金が軒並み高くなるなか、経営を諦めかけていた、古くて立地条件の良くない宿にも、生き残れる道が十分にあるのではないかということ。「新装」「ラグジュアリー」「アクセス良好」「贅沢なひととき」などのベクトルでは勝負にならなくても、「安価」では勝機はあるはずだ。検索サイトでは、多くの人は「安い順」でソートをかける。検索順位が高めに出てくる宿は、旅行者にとって「救いの神」のような存在に映る。

 今、とても関心があるのは、「必要最低限のサービスを提供する宿」だ。建物は古くても、清掃はしっかりしていて、障子や襖の破れも補修されている。布団や毛布も高級ではないが、旅の疲れを緩和できるくらいの清潔なものが用意されている。ありきたりの箪笥が一竿、軽めのテーブルと座布団が置かれ、小さなテレビと冷蔵庫が1台。浴槽には磨いた鏡と、必要最低限のアメニティが置いてある。それ以外何もないシンプルな客室。さまざまな誘惑に負けず、安い代わりにコストをできるだけ掛けない信念を貫いた宿。

 私はそのような「過剰さ」を排除した宿を大切な宝物として幾つかストックしており、ときどき“安心して”利用する。こちらが望まぬ過剰なサービスが巷に溢れ、半ば強制的に付与されている意識がどこかにある。このため必要最低限というシンプルさを求めてしまう。

 「店をオシャレに改装したから値上げしました」的な世界に囲まれている。自分の価値観と合わないモノやサービスにはお金を支払いたくないという感覚は、今後さらに強まっていくはずだ。質実剛健な商品をプレーンな状態で提供し、必要ならば消費者がオプションとして付加できるシステムが理想的なサービスの在り方に感じる。

 日々、最高級のおもてなしサービスを提供されている宿には、尊敬の念に堪えない。一方で安価な宿にはサービスのシンプルさゆえに「必要以上に事前期待を上げない」強みもある。

 高価な食材ではなく、その時期に一番安い旬な魚や、地元野菜のサラダ、炊き立てのご飯と味噌汁の朝食が贅沢に感じたり、真夏に客室のポットに氷入りのお茶がたっぷり入っているだけで期待以上の感動に変わったりする。旅のおもてなしの原点は、案外そのようなシンプルなものなのかもしれない。

 今流行りの「付加価値をどうしたら生み出せるか」を考えた末、思いついた一つひとつのサービスが旅行者にはあまり必要と感じることのない「過剰」なおもてなしになっていないか。過剰さを控えるアンダーステイトメントなおもてなしは最も難しい。

(編集長・増田 剛)

【特集No.669】日本旅館協会 座談会 真の基幹産業へ“未来”語り合う

2025年5月31日(土) 配信

 宿泊業界は、人手不足や外国人労働者雇用、持続可能な地域づくり、DX化、オーバーツーリズム、地方誘客など、日々新たな問題に直面している。このようななか、日本旅館協会は桑野和泉会長のもと、4つの専門委員会が活発に活動し、それぞれの課題解決をはかっている。桑野会長と各委員長が宿泊業界の発展に向けた現在の取り組みや、“未来”への進むべき方向性を語り合った。

【司会=編集長・増田 剛、構成=木下 裕斗】

地域に深く関わり地方創生へ

 ――観光業界の現状をどのように感じていますか

 桑野:振り返ってみますと、「観光立国」の実現に向けた取り組みが本格始動した2003年ごろに、観光は“地域創生の切り札”とされ、国を挙げた「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりが始まりました。
 それから約20年が経ちましたが、観光産業のなかでも我われ宿泊業は、地方創生に向けた大きな役割を果たしていることを実感しています。 
 観光需要が激減したコロナ禍からのⅤ字回復をはかる観光庁の「地域と一体となった高付加価値化事業」では、各宿が魅力的な施設へ改装を行い、地域の価値向上に大きく貢献しました。
 全国2千軒を超える日本旅館協会の多くの会員も、各地の活性化につなげようと、地域との深い関わりを持ちながら事業を営んでいます。

 ――日本旅館協会の会長に就任して1年。取り組んでいることは。

 桑野:観光産業が自動車産業に次ぐ、真の基幹産業として独り立ちするには、多くの課題を抱えています。
 例えば、公共交通機関の空白地帯でのライドシェア導入に向けて、2次交通の課題解消により宿泊産業が地域活性化の役割をしっかりと果たすためにさまざまな検討を重ねています。
 喫緊の課題である人手不足対策では、外国人雇用の拡大などに取り組んでいます。さらに将来を見据えた持続可能な宿づくりをサポートするため、「旅館の定義」の策定を目標としています。
 このほかにも、固定資産税の耐用年数の引き下げや、カード決済の手数料減額など、4つの委員会が中心となって宿泊業界が直面する課題解決に力を注いでいます。

各委員会の活動

 西村:政策委員会では業界を取り巻くさまざまな政策課題に対応しています。私は桑野体制で政策委員長に就任しましたが、以前はEC戦略・デジタル化推進委員長を務めていました。
 現在は、丸紅が立ち上げた現地決済型のふるさと納税「ふるさtoらべる」の導入を促進しています。……

NAA、中期経営計画(2025~27年度)発表 発着回数29万回、旅客数4700万人目標に

2025年5月30日(金) 配信

田村明比古社長

 成田国際空港(NAA、田村明比古社長)は5月29日(木)に開いた会見で、中期経営計画(2025~27年度)を発表した。コロナ禍を経て回復期から再成長期に転じたとして、C滑走路を28年度、新旅客ターミナルを30年度前半に供用開始することを見据えて変革を加速させ、国や旅客、航空会社、空港従業員など同社のあらゆる関係者への価値創造を最大化していく。

 同計画では空港の将来像の具現化と航空ネットワークの充実、経営資源の強化を軸に据えた。

 このうち、航空ネットワークの充実では、30年までに訪日客数を6000万人へ増加させる政府の目標を踏まえ、旅客が行きたい場所へ行きたいときに訪れることができるよう、ネットワークを拡充させていく。こうした路線網でさらなる旅客数を確保し、価値創造につなげる。

 空港の将来像の具現化では、アジアで新空港の建設や拡張プロジェクトが進んでいること、世界でLCCのシェアが拡大していることを受け、ニーズの変化に対応し、競争力を維持する空港の大規模な刷新に向けて、具体的な将来像を提示する。

 経営資源の強化では、航空ネットワークを支える人的資本や新しい滑走路やターミナルの新設を鑑みた財務基盤の強化をはかる。

 これらを実現し、27年度に発着回数は24年度比4万5000回増の29万回、旅客数は同623万人増の4700万人を目指す。このうち、国際線の外国人客数は同583万人増の2650万人、日本人客数は同142万人増の970万人、国内線は同41万人増の780万人を目標に掲げている。

 田村社長は6月20日に退任し、新社長として藤井直樹氏が就任する予定で、「さまざまなプロジェクトが山積しているが、航空をはじめ国土交通行政全般に知識と経験を有する藤井氏が手腕を発揮し、空港を発展させることに期待している」と語った。

25年度決算は増収増益 円安で飲食物販好調

 同日には25年3月期の連結決算(24年4月1日~25年3月31日)も発表した。

 売上高は、円安の効果で物販・飲食収入が好調だったため、前年同期比21・6%増の2637億7300万円と4期連続の増収となった。売上に連動して営業費用が増加したが、引き続きコストマネジメントの徹底に努めた結果、営業利益は同226.1%増の422億9300万円だった。

 経常利益は同278.5%増の404億5400万円、当期純利益は同249.3%増の351億4400万円となった。

 25年度通期は中国と東南アジアを中心とした増便を想定し、売上高は同4.7%増の2762億円を見込む。諸物価の高騰や老朽化した施設の更新を進めるためコスト増加を想定し、営業利益は同23.1%減の283億円、経常利益は同40.4%減の241億円、当期純利益は同61.0%減の137億円を見通している。

 田村社長は「今後はさらに発展していくために、人材の確保や新滑走路の増設などによって利益の最大化を目指す」と話した。

【JTA(日本トランスオーシャン航空)】新役員体制を発表(6月26日に正式決定)

2025年5月30日(金) 配信

 日本トランスオーシャン航空(JTA)は5月30日(金)に開いた取締役会で、第59期役員体制を内定した。正式には6月26日に開催される定時株主総会と総会後の取締役会、監査役会の承認に基づき決定される。

 新たな役員体制は次の通り。

【取締役会長(非常勤・社外)】富田詢一

【代表取締役社長執行役員】野口望

【取締役執行役員】末崎裕介▽喜納健▽末好康宏

【取締役(非常勤・社外)】山城正保▽島袋健▽武田真

【取締役(非常勤)】大竹勇次郎▽内藤健一郎〈新任〉

【常勤監査役】小浜琢也

【監査役(非常勤・社外)】与儀達樹▽本永浩之▽田村亮〈新任〉

JALとお茶の水女子が連携協定 ダイバーシティ推進と国際的人材育成を

2025年5月30日(金) 配信

5月22日の連携協定締結式のようす、佐々木泰子学長(左)、鳥取三津子社長(中央)

 日本航空(JAL、鳥取三津子社長、東京都品川区)は5月22日(木)、国立大学法人お茶の水女子大学(佐々木泰子学長、東京都文京区)と連携協定を結んだ。共同研究などを通し、ダイバーシティ推進と教養豊かな国際的人材育成に寄与することが狙い。

 JALグループの社員の男女比は男性48%、女性52%と全体ではバランスが取れた構成になっている。一方、職種ごとに見ると偏りがあり、例えば操縦士や整備士は9割以上が男性の反面、客室乗務員、旅客ハンドリングスタッフは女性が9割以上と極端な男女差が存在する。この状況を改善するため、両者は共同で航空業界特有の性別に偏りがある職場環境の調査・改善をテーマに研究を実施。性別などの属性に関係なく、すべての従業員が最大限能力を発揮できる制度や職場環境を提言し、社会実装することを目指す。

 また、双方の資産や資源を活用し、ダイバーシティ推進と教養豊かな国際的人材の育成に取り組む。具体的にはJAL社内研修における講義の実施や、お茶の水女子大学が主催する各種講座・研究へのJAL社員の参画・協力、JAL国内外支店での学生インターンシップの受け入れなどを検討している。

観光庁「地域観光魅力向上事業」、1次公募で272件を採択

2025年5月30日(金) 配信 

観光庁(写真はイメージ)

 観光庁は5月28日(水)、「地域観光魅力向上事業」の1次公募で272件を採択した。1次公募は3月3日(月)~4月18日(金)まで実施し、選定委員会による審査の結果、採択事業を決定した。

 同事業は、将来に亘って持続的に地方誘客が促進されるよう、地域資源を活用した収益性が高く独自性・新規性のある観光コンテンツの開発から、適切な販路開拓や情報発信の総合的な支援を行い、中長期に亘って販売可能なビジネスモデルづくりの支援を実施するもの。

 2次公募は5月28日(水)~6月18日(水)まで。申請は同事業サイトから行う。

 1次公募から採択した事業は同庁ホームページ(https://www.mlit.go.jp/kankocho/kobo05_00059.html)で公表している。