神戸でセミナー 観光の未来などを学ぶ 全旅連女性経営者の会

2025年12月27日(土)配信

斎藤元彦兵庫県知事はじめ約80人が参加

 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会女性経営者の会(JKK、会長=山田佐知・ほてるISAGO神戸女将)は12月10日(水)、神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ(兵庫県神戸市)で「JKKオープンセミナーin神戸」を開いた。オープンセミナーの開催は6年ぶり。会場には兵庫県の斎藤元彦知事や全旅連の井上善博会長をはじめ、会員や協賛企業関係者など約80人が集まった。

山田佐知会長

 山田会長は「JKKは20周年を迎え、30周年に向けたスタートを切ったところ。このタイミングでJKKのメンバーが真摯に宿の経営に向き合っていることを、皆様に知っていただく良い機会になればと、今回の場を設けた」と6年ぶりの開催に至る経緯を説明。そのうえで「2025年は、初の女性総理が誕生したが、これから女性がますます活躍する時代がやってくると手応えを感じている。JKKも研鑽を重ね、業界の地位が向上していける一助となれるよう、邁進していきたい」とあいさつした。

 井上会長は「我われ宿泊・観光産業は、温泉文化・宿文化の継承、人手不足、デジタル化など、多岐にわたる課題を抱えている。全旅連としても8つの部会が中心となり、これらの問題に取り組んでいるが、全旅連、JKK、青年部が連携して課題解決に取り組むことが重要だ。その意味でも、今日は活発に意見交換を行い、有意義な場としてほしい」と呼び掛けた。

 セミナー冒頭に駆け付けた斎藤知事は「兵庫県の『女将の会』とは毎年、意見交換させていただいているが、兵庫県にとって観光は地域を支える大事な産業。人手不足やDX対応、物価高騰など、業界を取り巻く課題は多いが、県として、しっかり対応していく所存。今後も皆さんと連携を組み、観光業界を盛り上げていきたい」と述べた。

 勉強会は、社会起業家でジャパンデザイン代表理事の山下太郎氏がファシリテーターとなり、ひょうご観光本部のツーリズムプロデューサー、古田菜穂子氏を講師に「兵庫県の観光と今後の日本の観光の未来について」をテーマに行われた。

 古田氏は、今後の観光について、観光はすべての産業とつながっている、国内誘客とインバウンド対応は一体的に、量より質を目指すなど、いくつかポイントを挙げ、「目指すのは地域の魅力を再発見すること。それが地域の『光』を『観る』こと、地域の人が主役の『観光』のはじまりとなる。最後は『人』。それが観光のキーワードになる」とした。

 ワークショップは、後継問題、直販増大、人材不足時代の働き方改革、宿泊業界におけるAIの影響の4つのテーマに分かれ、それぞれ活発に議論を繰り広げた。

【塩野 俊誉】

【FIXER・松岡社長に聞く】市民の相談に注力を 文書作成はAIで効率化

2025年12月26日(金) 配信

松岡清一社長

 2009年創業のIT企業、FIXER(松岡清一社長、東京都港区)は23年に、生成AIのプラットフォーム 「GaiXer(ガイザー)」を開発した。中央官庁はじめ地方自治体、金融、医療機関など実証実験を含め120以上の公的機関にサービスを提供し、業務効率化を推進してきた。松岡社長に話を聞いた。

                 ◇

 ガイザーは、急速に発展した「ChatGPT」や「Gemini」などの技術を活用した行政・医療・企業向けの生成AIサービスだ。複数の大規模言語モデル(LLM)の中から最適な一つを選択し質問することで、必要な回答を得られるのが特徴だ。

 「ISMAP-LIU」の特別措置サービスリストに登録されており、政府のセキュリティ基準を満たすクラウドサービスとして評価されている。

 松岡社長は同社がガイザーを開発した経緯について、「OpenAIの誕生で、爆発的にユーザーを獲得していくのを見て、それまで細々と取り組んでいたAI事業を中心事業に据えた。嫌な仕事はAIにやってもらい、人は自分の好きな仕事ができる社会を作りたいと考えた」と振り返る。

 これが顕著なのは、行政の業務だ。自治体ではメール返信から議事録作成、発表資料など文書作成がとても多く、それに業務時間の大部分が費やされる。これをAIが担うことで、業務効率化がはかれ、生産性の向上が期待できる。ガイザーが最も得意とする作業でもある。

「本来の業務に注力できる環境を作りたい」と語る松岡社長

 病院でも、医師の業務のなかでカルテや診断書など、文書作成が負担になっていることが多いという。松岡社長は「市民のため、また目の前の患者に向き合うなど、本来の業務に使える時間を生み出すことに貢献したい」と意気込む。

 一番初めにガイザーを導入した自治体は、三重県伊賀市。同社は2015年に三重県の企業誘致第1号として、津市に開発拠点を設立しており、現在は津市と四日市市に事業所を構えるなど、三重県内の自治体とのつながりが強い。

 伊賀市では実証実験から始まり、現在はさまざまな業務でガイザーを活用している。例えば、他部署の職員に連絡したい場合、以前は内線番号を探す手間があったが、ガイザーに名前を打ち込むだけで簡単に表示できるようになった。これは、ガイザーにその団体固有の情報をインプットすることで、そこから回答を引き出せる機能があるため。情報は外部からはアクセスできないようになっており、安全だ。

 こうした簡単なデータサーチから、観光イベントの企画アイデアなど、幅広い活用ができる。今後はガイザーでの動画の作成も視野に入れる。利用する自治体の職員からは、「優秀なアシスタントがいる感覚」「強い武器を得た」など好評だ。

 一方、松岡社長は「自治体が抱える課題の本質的な解決はできていない」と語る。「人口減少で職員の数も減っていくなかで、しっかり行政サービスを提供していくためにはまだ不十分だ」と捉えている。

 文章作成はガイザーの得意とするところだが、100%ではないため、今後は一切修正せずに済むレベルまで、技術的進歩をしていかなければならない。また、ガイザー導入自治体のなかで、活用していない職員もいることから、利用率を上げることも課題だ。「垂直と水平の2つの方向へ広げていくことに愚直に取り組んでいく。この結果、パソコン作業がなくなり、市民のための相談やイベントなどに集中できる未来を作っていきたい」と展望する。

 問い合わせはHP(https://www.gaixer.com/ja-jp/)へ。

東武動物公園に隣接、グランピングリゾート誕生(東武トップツアーズなど)

2025年12月25日(木) 配信 

アドベンチャー・ドーム(イメージ)

 東武鉄道、東武トップツアーズ、にしがきの3社は、東武動物公園(埼玉県白岡市)隣接地に、埼玉県最大級となるグランピングリゾート「グランフィルリゾーツ東武―GRANPHIL RESORTS TOBU―」を2026年3月にオープンする。

 同施設は、主にファミリー層やグループを対象としたドームテントタイプと、愛犬家向けのプライベートドッグランを併設するヴィラタイプの宿泊棟による計15棟で構成する。同公園に隣接する立地を生かし、宿泊者限定で夜の動物生態を感じられるアクティビティ体験や、愛犬と寛げるゆとりあるプライベート空間などを提供する。

 アドベンチャー・ドーム(ドームテントタイプ)は、定員6人のプライベートガーデン7棟と、同10人のサプライズガーデン1棟の計8棟。各宿泊棟に、プライベートサウナや専用BBQ設備などを併設する。

 滞在中、東武動物公園を自由に入退場できる入園券付き。別料金のオプションで、同園閉園後の園内を電動カートに乗って飼育係の音声ガイドで巡る「アドベンチャー・ナイト(仮称)」や、同園開園前の園内で動物を間近で見学しながら朝食を楽しめるアクティビティを用意する。

 シンフォニー・ヴィラ(ヴィラタイプ)は、愛犬と宿泊可能な最大約950平方メートルのプライベートドッグランや、専用BBQ設備を併設した定員4人の計7棟。愛犬と寛げる約73平方メートルのゆとりあるプライベートな客室と愛犬用の宿泊アメニティを用意している。

 また、グランピング敷地内で、定期的に愛犬家と愛犬がともに楽しむイベントを開催予定。

 宿泊料金は、アドベンチャー・ドームが1万8400円から(税込、1室4人利用、素泊まり、1人)、シンフォニー・ヴィラは2万4200円から(同)を想定する。

 宿泊申し込みは、同施設ホームページで26年3月20日(金・祝)分から受け付けている。今後、「リゾートグランピング」や「いぬやど」でも受付予定。

クルーズ人口100万人を目指す取り組み開始 JATAら3団体がロゴ作成で機運醸成

2025年12月25日(木) 配信

ロゴマーク

 日本旅行業協会(JATA)と日本外航客船協会(JOPA)、日本国際クルーズ協議会(JICC)はこのほど、2030年までに日本人クルーズ人口100万人を目指す取り組みを協働で開始すると発表した。広くクルーズへの興味を持ってもらえるよう、機運醸成をはかることを目的に、船会社と旅行会社が連携。「Let’s CRUISE 1M(Million)~100万人で行こうよ!船旅へ~」のキャッチフレーズのもと、旗印となるロゴマークを作成した。

 国土交通省の「日本のクルーズ市場の持続的発展に向けた有識者検討会」は今年7月、日本人のクルーズ人口を100万人とする新たな目標を定めた。現況、日本のクルーズ人口は2024年が22万4000人と、ピーク時の19年35万6000人へ届かず、欧米と比較しても拡大の余地は大きいとみる。

 100万人の目標数値は高いが、JATAらは「新たな客船のデビューなど話題性もあり、シニア層だけでなく、若い世代にも拡大していくことで、100万人達成も可能であると考えられる」と期待。関係者が共通のロゴを広く活用するなどで、取り組みを広く一般消費者に認知してもらい、クルーズの楽しさを体験してもらうとともに、若年層を中心とした新たなマーケットを開拓することを目指す。

 今後は、新船就航などと連動し、どのような施策が効果的かを協議しながら、キャンペーンの実施など活動の範囲を広げていくとしている。取り組みの期間は2030年12月までの予定。

今治港「せとうちみなとマルシェ」、地域づくり表彰で最高位・国土交通大臣賞受賞

2025年12月25日(木)配信

カラフルなテントも特徴的な「せとうちみなとマルシェ」

 愛媛県今治市の今治港で定期開催されている「せとうちみなとマルシェ」が、国土交通省の令和7年度「地域づくり表彰」で最高位の国土交通大臣賞を受賞した。港湾空間を活用した交流拠点づくりと、官民連携による持続可能な運営態勢などが高く評価され、全国32事例の中から総合的に最も優れた3事例の1つに選ばれた。

 国交省は11月20日(木)に審査結果を発表し、12月22日(月)に東京・霞が関で表彰式を行った。

 せとうちしまなみマルシェは、瀬戸内海としまなみ海道を望む今治港で、毎月第2・4日曜日の月2回、ご当地グルメや地物魚の競り市、スイーツやクラフト雑貨など多彩な店舗が出店するイベント。

 1999年の瀬戸内しまなみ海道開通以降、航路利用者の減少とともににぎわいを失っていた今治港を、「交通の港」から「交流の港」へと再定義し、2022年11月にスタート。3年が経過した現在、年間(24年11月~25年10月)来場者数は約24万4000人。来場者の消費支出や出店者の売り上げ、主催者事業費などによる経済波及効果は約13億5400万円と試算され、前年から約1億3200万円増加しているという。登録店舗数は700を超え、毎回100店舗前後が出店、1開催あたり1万人以上が訪れる集客力を誇る。

 通常は午前9時から午後2時までの開催だが、夏場は土曜日の午後4時から9時の夜間営業として開催。夜の時間帯はアルコールを提供する出店者が多く、大人の雰囲気が漂う空間に様変わりするという。港に隣接する商店街の「土曜夜市」とも連動し、海辺から商店街一帯の回遊性向上にも寄与している。

 今回の受賞では、①港湾空間の再定義による新たな価値創出②多種多様な出店者によるリピーター創出型の運営方法③市民ボランティアや学生、商工団体が参画する官民連携態勢――が主な評価ポイントとなった。

 せとうちマルシェ実行委員会の原竜也運営委員長は「港が『交通の港』から『交流の港』へ生まれ変わり、そのにぎわいが日常へと広がることを目指したい」と話している。

夏場は夜開催で大人の雰囲気に

【第36回北前船フォーラムin信州まつもと ~初の内陸開催 「塩の道」で地域連携を一層拡大~】 北前船伝統的工芸品ネットワーク 設立に向け発起人会開く

2025年12月25日(木) 配信

発起人会のようす

 「北前船伝統的工芸品ネットワーク(仮称)」の発起人会が11月21日(金)、ホテルブエナビスタ(長野県松本市)で開かれた。参画予定の各自治体が連携し北前船寄港地・船主集落の歴史的つながりを生かし、保有する伝統的工芸品の魅力を国内外へ発信やブランド化などを行い、新たな販路の拡大と価値の向上を目指す。今回は今年1月下旬に予定する設立総会に向けて活動方針や規約、来年度の事業と予算案などについて協議した。

 発起人代表として高橋邦芳新潟県村上市長は「世界に冠たる日本工芸を共有する自治体が、北前船の歴史的キーワードで再びつながる意義は大きい。歴史と文化、工芸を結びつけ、自治体連携で世界発信する強力なプラットフォームにしたい」と意気込みを述べた。

高橋邦芳市長

 同ネットワークには、北前船日本遺産推進協議会に加盟する52自治体のうち、伝統的工芸品を有する17自治体が参画する。会長1人、副会長若干名、幹事1人を置く。さらに、専門家や関係機関を顧問に迎え、産地支援や海外展開に必要な知見を広く取り込む体制を整える。

 今後の活動方針として、①北前船ゆかりの伝統工芸品の周知と体系的な情報発信②国内外の展示会やイベントを通じ、産地の魅力を効果的なプロモーション③工芸を核に据えた「工芸ツーリズム」の展開による交流人口の拡大――などが掲げられた。

 北前船交流拡大機構の浅見茂専務理事は、イタリア・ミラノで開かれたミラノ・フォーリーサローネでの出展事例を踏まえ、「現地の反応を次の作品づくりに生かし、その学びをほかの産地とも共有する循環が必要だ」と地域間連携の意義を述べた。

 跡見学園女子大学の篠原靖准教授は工芸ツーリズムについて、「PR型から、販路形成へとステージが変わりつつある。課題整理とモデル形成をこのネットワークで担ってほしい」と期待を寄せた。

 前EU日本政府代表部参事官で財務省大臣官房の二宮悦郎企画官は、EU日本政府代表部参事官だった経験を踏まえ、「日本の伝統工芸は欧米の超富裕層に届く唯一無二の文化資源。政府に専任の担当部署がないため、仲介機能が不足していた。自治体の広域連携が欠落していた部分を補う」と話した。

 発起人である石川県輪島市の坂口茂市長は「震災からの復興において、工芸文化は地域の誇りであり、未来を切り拓く力。全国の仲間と共に一歩を踏み出したい」と述べた。

伝統的工芸品の可能性を聞く

 発起人会終了後には、工芸が直面する課題と今後の可能性などについて意見を交わす座談会が開かれた。発起人代表である高橋市長と、発起人の坂口市長と渡辺市長、有識者として二宮企画官と、浅見専務理事が参加した。進行役は篠原准教授が務めた。

 冒頭、篠原准教授は「地域だけでは解決しきれない課題が増えている。広域で知恵を持ち寄る時期に来ている」と指摘した。

 高橋市長(村上市)は「市の伝統的工芸品が後継者不足によって技術喪失の危機にある状態だ。さらに、多くが少量生産かつ高付加価値型で、地域だけの努力では維持が難しい」と危機的状況を語る。

 そのうえで、「販路開拓に向けた広域での取り組みが欠かせない」と今回のネットワーク必要性を示した。

 渡辺市長(佐渡市)は「時代とともに、家業を継がない選択をする若者が増え、産業が維持できない状況になっている」と話す。「日本文化への関心は海外で確実に高まっている。今、スタートしなければ間に合わない。優れた文化資源であっても伝えなければ届かない。国内外へ積極的に発信し、その反応を職人へと返すことが必要だ」と強調した。

渡辺竜五市長

 坂口市長(輪島市)は、能登半島地震で約85%の工房が被災したことを説明。「技術は繊細で、期間が空くことで落ちる」と危機感を示す。また、「復旧による需要がピークを過ぎたあと、市場が縮む可能性もある。このため、全国の産地と横連携し、販路を拡大させたい。海外展開に踏み出すことで、デザインや価値提案が革新され、国内市場にも新しい波が起きる」との考えを述べた。

坂口茂市長

 二宮企画官は「日本の工芸が欧州で品質が高く実用品で芸術品でもある独自性を高く評価されている。作り手がその価値を十分に理解していないケースも多い」と指摘する。

二宮悦郎企画官

 そのうえで、「意欲ある自治体がまずモデルをつくり、成功例を横展開すべきだ。今回の取り組みはプラットフォームとして最適だ。一自治体で海外へ販路を開拓することが難しいなか、連携のためのネットワークを発足する意義は大きい」と語った。

 浅見専務理事は「現地の反応を次の制作に生かし、産地間でも共有できる循環型の仕組みを構築したい。若手デザイナーの感性と工芸技術が結びつく商品は、確かな手応えがある。広域ネットワークを発足させることで、経験を蓄積し共有する仕組みを大きく育てることができる」と同ネットワークの意義を強調した。

浅見茂専務理事

 最後に篠原准教授が、「北前船は人と物と文化をつないだ。今回の取り組みは、その『つなぐ力』を工芸の世界で再現する試みだ。地域単独では難しい課題も、連携することで未来を描ける」とまとめた。

篠原靖准教授

【第36回北前船フォーラムin信州まつもと ~初の内陸開催 「塩の道」で地域連携を一層拡大~】第7回地域連携研究所大会 地方を観光でつなぎ日本元気に

2025年12月25日(木) 配信

大会のようす

 地域連携研究所(理事長=濵田健一郎・元ANA総合研究所会長)は北前船交流拡大機構の実績や信用を北前船に限定せず、広く地域の連携を果たすことを目的に設立された。従来の大都市と地方の関係で地方振興をはかるのではなく、地方の地域同士が連携し、地域の活力を生み出すことを軸に活動している。11月22日の大会における主催者あいさつで、前秋田県大館市長で衆議院議員の福原淳嗣自治体会員会長は「地方の多様性は国力の源泉。地域を観光でつなぎ、日本を元気にしたい」と語った。

福原淳嗣衆議院議員

 地域連携研究所は2021年1月に、北前船交流拡大機構の兄弟法人として設立され、北前船寄港地フォーラムとの併催で全国大会を実施してきた。

 大会は浅見茂専務理事による参加者紹介で始まった。歓迎のあいさつは、関昇一郎副知事が行った。岡山県岡山市長の大森雅夫自治体会員共同会長と観光庁元長官の田端浩特別顧問が主催者として、あいさつに立った。

 第1部では、横山信一参議院議員やANA総合研究所副社長の森健明北前船交流拡大機構理事長代行、前EU日本政府代表部参事官で財務省大臣官房の二宮悦郎企画官がそれぞれの立場から、地方創生に向けた伝統工芸品の活用について、持論を展開した。

 第2部の特別公演では、はじめに参議院議員の齋藤健氏が「日本の農作物の品質は世界と比較して優れている。日本の農家が海外に目を向ければ、農業が地方創生に資する」とした。一方、「農家が外国へ営業することはできない。セールスを行う仕組みが必要」と課題を提起し、解決に向けた連携を呼び掛けた。

 続いて、角川文化財団名誉会長の角川歴彦氏と「Rocket Base LLC」CEOの水野寛氏が「アニメーション産業の現在地と地域社会への展開可能性」をテーマに講演を行った。

角川歴彦名誉会長

 角川氏は「多くの市町村で制作されたゆるキャラは、日本的なキャラクターで地域の魅力を表現している。今年5月に開催する日中アニメ映画祭では、初心者から上級者まで幅広い層を対象に、ゆるキャラを活用したアニメを募集し、表彰する」と地域振興に向けた取り組みを説明した。

 水野氏は「伝統的工芸品や古代史の魅力をアニメで伝えることができれば、若い世代や世界へ発信できる」とアニメの可能性に言及した。

 その後、ビズリーチ創業者であり、ビジョナル社長で八ヶ岳農業大学校理事長の南壮一郎氏は「八ヶ岳農業大学校の再建」をテーマに登壇した。同校が破綻状態にあった昨年に理事長に就任したことを説明。自身がカナダで育った経験などを踏まえ、「日本の農業や自然資源は過小評価されている。価値あるものは世界各地で評価される」とした。そのうえで、「農業と地方には未来がある。ロールモデルを示し、発信したい」と意気込みを述べた。

 基調講演では、国土交通省関東地方整備局局長の藤田礼子氏が同省で推進する東京都や埼玉県、群馬県、長野県、新潟県などと連携し、観光振興をはかる「江戸街道プロジェクト」について、「街道は文化をつなぐ物語の軸で、多様な観光資源を一体的に束ねることができ、世界へも競争力を発揮できる」と語った。

 会員の募集も行われた。内閣府の出口岳人地方創生支援官が「北前船ネットワークによって全国の自治体・企業を結ぶ稀有なプラットフォームに成長した。地域の文化資源を国内外へ流通させるには、継続的な連携強化が欠かせない。会員制度は、地方創生に貢献できる」と述べた。

エクスカーション開催 塩の道の現状を視察

 北前船フォーラムと同大会に先立って11月20日(木)~21日(金)には、塩の道の現状について理解を深めるエクスカーションが実施された。コースはA~Dの4コースに分かれ、Aコースは千国街道、Bコースは中山道、Cコースは北国街道、Dコースは甲州街道を巡った。

 このうち、Cコースは長野市にある善光寺や須坂市の重要伝統的建造物群保存地区、千曲市の田毎の月/棚田などを視察した。20日には信州の湯清風園(千曲市・戸倉上山田温泉)で前夜祭が開催された。

 主催者を代表して、新田恭士長野県副知事は「北国街道は信州から新潟県・上越につながっていた。街道沿いは北前船で塩が運ばれ、発展した。長野県の魅力を1つでも多く知ってほしい」と呼び掛けた。

新田恭士副知事

 日本航空(JAL)執行役員の西原口香織北前船交流拡大機構副会長は「知と美に触れ、各地で温かいもてなしを受けた。地域の魅力を海外に発信して双方向交流を進めたい」と語った。

西原口香織執行役員

 エクスカーションを終えて、観光庁元長官の田端浩特別顧問は北前船が初めて内陸で開催されることに触れ、「北前船と信州との歴史的なつながりを深く理解できた。この歴史を現代でも生かした連携強化で、地方が活性化することを期待している」と述べた。

【第36回北前船フォーラムin信州まつもと ~初の内陸開催 「塩の道」で地域連携を一層拡大~】 海と信州との歴史で地方活性化

2025年12月25日(木) 配信

 「第36回北前船フォーラムin信州まつもと」と「第7回地域連携研究所大会」が11月20日(木)~22日(土)、長野県松本市のホテルブエナビスタを主会場に開かれた。テーマは「令和に呼び覚ませ、塩の道 ~海洋と内陸の経世済民~」。今回は初めて内陸で開催。北前船で運ばれた塩は寄港地から「塩の道」を通って信州各地へ送られ、両地域は深く交流していた。国や自治体、観光事業者などが、このつながりを地域活性化に生かすため、互いに連携と交流を深めた。

【木下 裕斗】

 北前船は、江戸時代から明治20~30年代まで、北海道、東北、北陸、瀬戸内、関西、九州などの地域を結ぶ重要な物流ネットワークとしての機能を果たしていた。このため、当時は壮大な経済圏が存在していた。こうして栄えてきた各寄港地を点から面に、さらに「回廊」へと発展させようとする「北前船コリドール構想」が北前船フォーラムの根底にある。

 地域間交流拡大をより強力に推し進め、地域活性化や訪日外国人客の誘客拡大を目指し、第1回は2007年に山形県酒田市で開催。地元実行委員会が主催し、北前船交流拡大機構が協力している。20年1月から地域連携を進めるために、同機構の兄弟法人として、地域連携研究所が設立された。22年10月に発足式を開き、地域連携研究所大会を北前船フォーラムと併催してきた。

 11月21日(金)に開催された第36回北前船フォーラムin信州まつもとの主催者を代表して、関昇一郎長野県副知事は「長野県は塩の道でさまざまな地域とつながり、発展してきた。全国の皆様と北前船の歴史的なつながり生かして、日本全体の発展につなげたい」と決意を述べた。

関昇一郎副知事

 長野県松本市長の臥雲義尚実行委員会会長は、「塩の道は長野県の発展を支え、歴史を紡いできた。北前船の歴史を活用し、地方自治体や観光事業者の皆様と地方都市の将来を考える時間にしたい」と語った。

臥雲義尚市長

 さらに、ANA総合研究所副社長の森健明北前船交流拡大機構理事長代行と、日本航空(JAL)執行役員の西原口香織北前船交流拡大機構副会長、北前船日本遺産推進協議会を代表して菅原広二秋田県男鹿市長と坂口茂石川県輪島市長らが登壇した。

 その後、同機構と同研究所の浅見茂専務理事が参加者を壇上で紹介した。

 来賓として、日本旅行の吉田圭吾社長と、観光庁の長﨑敏志観光地域振興部長があいさつした。

 基調講演には、近畿大学名誉教授の胡桃沢勘司氏が「寄港地から内陸へ」をテーマに据え、北前船寄港地と内陸地帯を結んだ塩の道の実態を解説。信州の面積は広いことから、北部は日本海側の寄港地から千国街道や北国街道を通じて、南部は太平洋側の寄港地から甲州街道と中山道を通って、それぞれ塩が運ばれたことを説明した。

 次に登壇したANA総合研究所の㓛刀秀記会長は「地域の古代史(歴史)で日本各地をつなげよう」と題し、登壇。冒頭、「日本各地には、古墳など古代史に関わる観光資源が多くあり、街道や水路で密接につながっていた。古代史の活用による相互の紹介や往来で、地域同士が連携できる」と語った。

㓛刀秀記会長

 この事例として、3地域の具体例を紹介。このうち、長野県・安曇野の語源である安曇族は古来、志賀海神社(福岡県福岡市)を拠点としていた。安曇野市にある穂高神社は志賀海神社と親子関係にあり、穂高神社の関係者が20年ごとの式年遷宮などの節目に志賀海神社に訪問するため、安曇野市は福岡市東区と友好交流都市となり、市民交流も毎年行われる。

 最後に「地域の物語を大切にするインバウンドを長期間引き寄せることもできる。皆様と古代史で地域を活性化したい」とまとめた。

 続いて、国土交通省総合政策局の星明彦モビリティサービス推進課長が「しなのの国から~懐かしくて新しい世界をつくる~」をテーマに登壇した。星課長は「東北と近江を結ぶ東山道は最初に近江から松本まで整備された。これは当時の王朝である大和王朝は松本を重要視していたことを示す」と紹介。さらに江戸時代の松本について、「近江商人が東山道を利用して日本各地に物を運び、自らの土地の技と組み合わせた技術革新も行っていた」と説明した。

星明彦課長

 このため、「信濃の地域は日本の要であり、経済的に発展した豊かな場所だった。また、ヨーロッパ諸国以上の高付加価値化社会を実現する社会も生まれていた」と地方同士がつながり、栄えていたことを説明した。これらを踏まえ、「信州の人が世界をリードしたことを誇りに、私も地域振興に力を尽くしていきたい。地方と地方をつなぎ、地方から世界へつなぎ、地方活性化を目指しましょう」と呼び掛けた。

 「伝統工芸品と食の海外展開」では、初めに高橋邦芳新潟県村上市長が伝統的工芸品のさらなる振興を目指すため、26年1月下旬に発足を予定している北前船伝統的工芸品ネットワークの設立趣旨や活動方針を説明した。

 前EU日本政府代表部参事官で財務省大臣官房の二宮悦郎企画官と奥井海生堂の奥井隆社長は、海外への好事例を踏まえた販路開拓を提言した。

 跡見学園女子大学の篠原靖准教授は、北前船交流拡大機構が伝統的工芸品の販路拡大に取り組んできたことを説明。こうしたなか、北前船寄港地フォーラムに数多く出席してきた前財務副大臣で横山信一参議院議員が、高市早苗首相に販路拡大や事業継承を応援してほしいと要望すると、高市首相は「伝統的工芸品などの地場産業の付加価値向上や販路拡大を強力に進めていく」と回答したという。

 これを受けて、篠原准教授は「北前船交流拡大機構が積み上げたことは、国を挙げて動き出すこととなる。具体的な成功例を共有する北前船伝統的工芸品ネットワークも発足することで、新たな活動へステップアップする。新しい目標として、地域をさらに発展させてほしい」と語った。

齋藤元経産相も出席 レセプションを開く

 北前船フォーラムの終了後には、レセプションも開催され、昆布カットセレモニーからスタートした。

 主催者あいさつで、実行委員会特別顧問の阿部守一長野県知事が「長野県は北前船の恩恵を受けて発展した。今後も皆様の地域と協力をしながら、地域振興に取り組んでいきたい。レセプションを新たな連携に向けた絆を築く場にしてほしい」と語った。

阿部守一知事

 臥雲松本市長も主催者を代表して登壇した。開会あいさつは、東日本旅客鉄道(JR東日本)常務で北前船交流拡大機構の中川晴美副会長が行った。

 来賓として、元経済産業大臣の齋藤健衆議院議員が「地域振興に、物流が重要であることに気づかされた。これに改めて着目する場にしてほしい」と話した。

齋藤健衆議院議員

 横山信一参議院議員は「皆様の知恵をいただき、一層地域が活性化するよう、今後も最大限努力していきたい」と語った。

横山信一参議院議員

 浮島智子衆議院議員は「毎回北前船寄港地フォーラムに参加してきた。回を重ねるごとに団結が強まっている。皆様と日本各地の魅力を発信できるように頑張っていきたい」と抱負を述べた。

浮島智子衆議院議員

 また、SGCの土屋豊会長が大会記念オブジェ「黄金のミロのヴィーナス」を披露。続いて特別ゲストとして長野五輪金メダルリストの清水宏保さんが登壇した。
 乾杯のあいさつは、北前船交流拡大機構の岩村敬会長が行った。参加者を代表して、前ハンガリー大使で、TDK戦略本部広報グループのパラノビチ・ノルバート氏が登壇した。

 次回は10月29~31日、新潟県新潟市を予定している。鈴木康之新潟県副知事は「村上から糸魚川までの海岸線は約300㌔で、寄港地も多くある。各地の大変特色のある、おもてなしで迎える」と呼び掛けた。

JATAとMeet Hawaiʻiがハワイ団体販売コンテストを初実施 第1位は日新航空サービスの春田氏

2025年12月24日(水) 配信

第 1 位を獲得した、日新航空サービスの春田佳生氏(中央)とコンテスト主催者

 日本旅行業協会(JATA、髙橋広行会長)はこのほど、Meet Hawaiʻi と共同で「2025ハワイ団体販売セールスコンテスト」を初めて実施した。ハワイへの団体送客促進やハワイに精通した営業担当者を増やすのが目的。両者は12月18日(木)に東京都内で表彰式を開き、日新航空サービスの春田佳生氏が第1位を獲得した。

 日本人の海外旅行者は2019年比で7割程度の回復状況のなか、主要な海外旅行先のハワイへの送客は重要な取り組みとなっている。

 このなかで、同コンテストには9社から129人の応募があり、JATAは「円安や物価高など厳しい状況ではあるが、ハワイ団体マーケットは堅調だと確認できた」とコメント。来年も引き続き、同コンテストを予定し、海外旅行の完全復活に向けて取り組みを進めていくとした。

 コンテストは2025年4月1日~11月30日までの契約で、出発日は25年6月1日~12月31日までが対象。教育旅行を除く「受注型企画旅行」「手配旅行」の団体で、最低1泊/10部屋以上の利用が必須。選考条件としては、ハワイ州観光局が運営する公式ラーニングサイト「アロハプログラム」のハワイスペシャリスト検定「初級」以上の取得が必要などを設けている。

 11月末日時点で、参加者ごとの「ルームナイト数×泊数×獲得団体本数(何本目か)」をポイント換算し、上位30人の受賞者を算出した。今回は1社あたり上限人数が最大5人という条件に伴い、該当者は27人となった。

 1位以下、上位5位までの受賞者は次の各氏。

 【2位】JTB・阿部慶太郎【3位】阪急交通社・滝沢里奈【4位】阪急交通社・木村秀嗣朗【5位】エイチ・アイ・エス・河畑菫

【日本秘湯を守る会】秘湯予約Web「売上高3倍」を目指す つなぐ秘湯検討委員会で協議

2025年12月24日(水) 配信

「日本秘湯を守る会」の星雅彦会長

 日本秘湯を守る会(星雅彦会長、131会員)は昨年12月17日(水)、群馬県・猿ヶ京温泉の「源泉湯の宿 千の谷」で第51回「2025年度定時社員総会」を開いた。会員宿の経営安定に向け、公式予約Web(秘湯予約Web)事業の革新を推進していき、売上高を現在の3倍に引き上げることを目標に掲げた。

 星会長は「昨年は50年の大きな節目を迎えた。未来を見据え、次世代に秘湯イズムを引き継いでいきたいと思っている」と新たな決意を述べた。「そのためにも根幹事業である秘湯Webの魅力を上げて、もっと多くの旅行者に知ってもらえるようにしたい」と力を込めた。

 今年度は、2025年5月に発足した「つなぐ秘湯検討委員会」(委員長=髙山弘武・美郷館館主)を中心に、会員宿の売上を下支えする「集客できるWebサイト」を目指す方針だ。

 同委員会は、オンラインなどでミーティングを行いながら、2大根幹事業の「Web事業」や「スタンプ帳事業」が今後10年、20年先まで持続可能な事業にしていくための協議を進めていく。

佐藤好億名誉会長

 佐藤好億名誉会長は、「退会理由のほとんどは資金繰りや後継者問題」と語る。「日本秘湯を守る会がしっかりと法人格を持って、銀行も含め対応策がとれるようにして、全国の会員宿を守り、残していく組織の在り方も検討していきたい」と述べた。

 「とにかく、山の宿を無くしたくない。地熱発電開発の問題もあり、日本秘湯を守る会が日本温泉協会とともに、温泉資源を守っていく」と力強く語った。

日本温泉文化を守る会 佐藤和志会長「日本の温泉文化を引っ張っていく気概を」

 続いて、日本温泉文化を守る会(佐藤好億名誉会長、佐藤和志会長)の第5回「2025年度定時社員総会」を開いた。

 同会は、「日本秘湯を守る会」(星雅彦会長)、「日本源泉湯宿を守る会」(桑原清会長)、「日本文化遺産を守る会」(小山田明会長)の3部会の親会。

「日本温泉文化を守る会」の佐藤和志会長

 佐藤和志会長は、温泉文化がユネスコ無形文化遺産登録の候補に決定したことを受け、「当会の3部会は日本の温泉文化そのもの。我われ山の宿が地域を盛り上げて、日本の温泉文化を引っ張っていく気概で頑張っていきたい」と語った。

 来賓には、環境省自然環境局温泉地保護利用推進室の村上靖典室長、経済産業省資源エネルギー庁地熱資源開発室の目久美大樹室長、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)再生可能エネルギー事業本部の伊藤一馬副本部長、西川信康特別参与らを招き、多くの時間をかけて全国各地で進む地熱発電開発について、会員と質疑応答や意見交換を行った。