日本旅行社長に吉田圭吾代表取締役常務が昇格 「地域社会に貢献できる企業へ変革を」

2025年5月23日(金) 配信

小谷野悦光社長(左)と吉田圭吾次期社長が握手

 日本旅行は5月23日(金)に開いた取締役会で、新社長に吉田圭吾代表取締役常務が昇格することを決めた。6月27日に開催予定の臨時株主総会後の取締役会で正式に決定する。

 小谷野悦光社長は取締役会長に就任する。

 今年は同社創業120周年と、2022年から実施してきた中期経営計画の最終年度という大きな節目の年。「着実に計画を推進するとともに、26年度以降の新たな中期経営計画の策定を見据え、会長と社長の2人体制で経営体制の一層の強化・充実をはかっていく」(小谷野社長)考えだ。

5月23日、日本旅行本社で行われた記者会見のようす

 コロナ禍の21年3月に社長に就任した小谷野氏は「会社の強みを作ることに注力した」と振り返りながら、「AIや地方創生、DXなど、今後の課題解決に向けた次の中期経営計画の策定へ、持ち前の熱意でリーダーシップを発揮してほしい」と吉田常務に期待を込めた。

 次期社長としてバトンを受ける吉田氏は「身が引き締まる思い」と心境を語り、「インバウンドの増加など人的交流が拡大するなか、旅行会社の存在価値が問われている。しっかりと利益を上げ、地域社会に貢献できる企業へ変革を続けていく」と抱負を述べた。

 吉田 圭吾氏(よしだ・けいご) 1967年生まれ。90年3月神戸大学法学部卒業後、同年4月西日本旅客鉄道入社。2000年7月TiS本部企画グループ(経営企画)サブリーダー、01年10月日本旅行に入社し人事部チーフマネージャーに。16年3月執行役員総務人事部長、19年3月執行役員東北地区担当兼日本旅行東北代表取締役社長、24年3月常務取締役兼執行役員ソリューション事業本部長などを経て、25年3月に代表取締役常務取締役兼執行役員ソリューション事業本部長就任。

協同組合長野県旅行業協会、新理事長に上原道徳氏 2025年度通常総会開く

2025年5月23日(金) 配信

総会のようす

 協同組合長野県旅行業協会(三澤弘理事長、133会員)は5月22日(木)、アルピコプラザホテル(長野県松本市)で2025年度通常総会を開いた。任期満了に伴う役員改選では、上原道徳氏が新理事長に就任した。

 上原新理事長は「東日本大震災やコロナ禍などで、旅行会社の在り方を役員として検討してきた」と経歴を紹介し、「長野県旅行業協会や協定会員連盟の会員の意見を聞きながら、一層の発展に努めたい」と意気込みを述べた。

上原道徳新理事長

 今年度は募集型企画旅行の形態で1泊2日のツアーを100人に販売し、売上額500万円、日帰り商品を160人に売り、取扱高240万円をそれぞれ目指す。また、仕入れの効率化とコスト軽減をはかるための共同仕入れの研究を進める。

 同日には、長野県旅行業協会(長崎義一理事長、169会員)の総会も実施された。任期満了に伴う役員改選では、長崎理事長の再任を決めた。今年度は全国旅行業協会や他県支部、長野県、県内の市町村との連携強化をはかり、県内の旅行業の発展に貢献していく。

 長崎理事長は「会員の多くはコロナ禍前の業績まで回復していない。大阪万博の開催で旅行業が活性化することに期待を寄せている」と語った。

長崎義一理事長

 また、「社会でキャッシュレス決済やペーパーレスなど社会が変化するなか、旅行会社の在り方も変わった。会員同士で知恵を出し合い、旅行業を発展させたい」と、一層の協力を求めた。

 長旅協協定会員連盟(風間秀一会長、72会員)では任期満了に伴う役員改選で、風間会長の留任を決めた。

 風間会長は「個人旅行の増加で、1室当たりの宿泊人数はコロナ禍前から減っている。館内でのお酒やお土産の販売総数も減り、利益を上げづらくなった。このため、団体は欠かせない」と強調した。

 今後については「受入側と送客側がより利益を得られる、新しい仕組みの情報交換会や商談会などの開催に向けて長野県旅行業協会と検討したい」との考えを示した。

風間秀一会長

 今年度は協同組合長野県旅行業協会の会員からの受け入れを強化するほか、新規入会会員の発掘にも努める。

 その後、行われた3団体の合同総会で、来賓の㈱全旅の中間幹夫社長は「社内に地方創生室を設置する。ふるさと納税の返礼品である旅館・ホテルの宿泊券を会員がお客様に渡せる仕組みを整備し、旅行会社の収入増加につなげる予定だ。各自治体の事業受託にも取り組み、社会への大きな貢献も目指す」と方針を明かした。

中間幹夫社長

 その後、3団体合同の合同懇親会も開催され、交流を深めた。

「旅行産業経営塾」が開講 14期は初の大阪開催で42人入塾

2025年5月23日(金) 配信

5月17日には入塾式を実施

 旅行産業経営塾(理事長・塾長=原優二風の旅行社社長)は5月17日(土)、大阪市北区にある「うめだMホール」で、2025年度(第14期)入塾式を行った。今期は1999年の開塾以来、初の大阪開催ということもあり、定員を超える42人が入塾した。塾生たちは来年3月まで、ほぼ月1回の講義、討論、発表を通じて「ものの見方、考え方、決め方」を深く学んでいく。

 原塾長は「旅行業界は現在、大きな転換期を迎えている。今ここに集まった塾生の皆さんの熱意に敬意を表すとともに、塾での学びを一生の宝にしてほしい」と祝辞を述べた。

 入塾式後には、前京都市長で世界文化遺産地域連携会議会長を務める門川大作氏による「文化と経済、そして、観光の融合―世界平和の創造、維持装置に!―」と題した記念講演が行われた。

 門川氏は、1000年を超えて都市の機能・文化が自然と共生し、遮断されずに継承・発展している稀有な都市でありながら、SDGs先進都市でもあり続ける京都市の魅力を、任期16年での取り組みを交えて紹介。市長退任後も取り組む「観光先進都市」から「観光課題解決先進都市」への挑戦を、塾生を前に熱く語った。

 講義は、6月7日の第1回目を皮切りに全11回を予定。このほか、6月28、29日には、パナソニックリゾート大阪を会場に1泊2日の合宿も行う。各講義には、大阪まち歩き大学の陸奥賢学長、四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクトの梶川伸理事、パナソニックホールディングスの小川理子参与など、毎回、関西ならではの多彩な講師陣が登壇する。

日本バス協会、外国人材の緩和要求 現行制度の見直し求める

2025年5月23日(金)配信

日本バス協会の清水一郎会長

 日本バス協会(会長=清水一郎・伊予鉄グループ社長)は5月21日(水)、東京都内で通常理事会を開いた。清水会長は、バス運転手の外国人採用に関して、日本語能力要件の高さを指摘。このうえで「工夫の余地がないか、自民党『外国人材等に関する特別委員会』で再議論に載せてもらったところ。バスの深刻な運転手不足の問題を訴える」と条件緩和を求める方針だ。

 国は外国人が特定技能資格を有する運転者になる条件に、日本語能力試験「N3」以上と5段階中の真ん中レベルを規定している。清水会長は「N3の試験問題を見ると、まず漢字が分からないと解けないぐらいレベルが高い。バスではコミュニケーションがとれる方が大事」と言及。N3以上の人のほかに「例えばN4(1段階下)に、日本語サポーターといった人を付けることでN4も採用できないか。離島・半島の場合の配慮を含めて訴えている」と見直しの方向性を明かした。

 そのほか、同協会が入居するビルの建て替えにより選定していた新しい事務所の移転先が決まったと報告した。新住所は東京都港区東新橋2―3―17 モメント汐留9階。面積は321.28平方㍍(97.19坪)。JR各線の新橋駅から徒歩6分。移転時期は9月下旬~10月上旬を予定する。

 最後に、国土交通省物流・自動車局旅客課課長補佐の村田智紀氏による「バスをめぐる最近の情勢について」と題した講演を行った。完全キャッシュレスバスの実証運行のほか、特定技能制度の概要や今後の見直し、バス関係年度予算などの政府の取り組みを話した。

AI時代の旅館未来像を語る 万博でトークイベント開催 ブッキング・ドットコム・ジャパン

2025年5月23日(金) 配信

岡藤明史氏(中央)と原洋平氏(右)

 ブッキング・ドットコム・ジャパン(東京都渋谷区)は5月22日(木)、大阪府大阪市で開催中の「大阪・関西万博2025」のオランダ王国パビリオン内で、旅館の未来像をテーマにしたイベント「オーセンティックジャパン」を開いた。

 パネルディスカッションでは、湯谷湾温泉ホテル楊貴館(山口県長門市)の岡藤明史取締役と、ホテルおかだ(神奈川県・箱根湯本温泉)の原洋平常務取締役営業部長が登壇し、AI時代における旅館の役割や地域との連携策などを議論した。

地域全体での受け入れ態勢構築が重要と示す原氏

 NECのITエンジニアを経て2009年に家業の旅館に入った原氏は「入社当時、弊社では全体の6割が団体旅行でオンライン予約は5%未満。海外のお客様は1%にも満たなかった。それが現在団体は2割に減り、国内のOTA経由が5割、ブッキング・ドットコムをはじめ海外OTAが15%になっている」と旅行予約のオンライン化とインバウンド需要の変化に言及。「日本のお客様は2食付き予約が74%だが、海外のお客様は30%に留まる」と予約形態の違いにも触れた。

「1泊の物語をどう紡いでいくのか」と語る岡藤氏

 岡藤氏は、現在求められるおもてなしについて、「今、何に困っているのかといった瞬間的なニーズを感じ取る力が必要だ。弊社スタッフにも海外の人が増えている。日本の文化を伝える仲間としてワンチームで取り組みを進めている」と述べた。

 AIの活用方法について、原氏は「宿泊料金のダイナミックプライシング(変動料金制)や宿泊プランの出し入れの自動化に少しずつ取り組んでいる」と説明。さらに「箱根DMOでは2年前に、『箱根デジタルマップ』を導入した。AIカメラによるタクシー混雑状況の可視化や8時間先までの道路渋滞予測などで周遊ルートの提案に役立てている」と先進事例を紹介した。

 岡藤氏は「客室清掃など各オペレーションの部分でデジタルに置き換わっているが、AIはあくまで手段。インバウンドのお客様は宗教やアレルギーの面でより細やかな配慮が必要なこともあり、ヒューマンエラーを防ぐことが重要だ」と強調した。

 旅館の未来像について、岡藤氏は「旅館は地域のショーケースであり、語り部にもなれる存在だ。山口県は日本酒で有名だが県内26蔵すべての酒が楽しめる日本酒バーを館内に開設した。1泊の物語をどのように紡いでいくかが鍵になる」と滞在体験の進化を目指す姿勢を見せた。

 原氏も「1泊2食のスタイルの魅力をもう少し海外のお客様に伝えていきたい」と述べる一方、「人手不足の問題もあり旅館単体ではなく地域全体でのおもてなしが重要になる」と地域間でのデータ連携などに意欲を示した。

民鉄16社の24年度輸送人員は3.4%増の96億2500万人 日本民営鉄道協会

2025年5月23日(金) 配信

 日本民営鉄道協会(原田一之会長、東京都千代田区)が5月22日(木)に発表した、大手民鉄16社の鉄軌道事業旅客輸送実績によると、2024年度の輸送人員は前年度比3.0%増の96億2500万人となった。地域別では関東9社計が同3.4%増、関西5社が同1.9%増。

 大手16社は東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、東京メトロ、相鉄、名鉄、近鉄、南海、京阪、阪急、阪神、西鉄。このほど出そろった各社の25年3月期(24年4月1日~25年3月31日)決算概況によると、個別決算の16社計は鉄軌道事業営業収益が前期比5.2%増の1兆7328億円、鉄軌道事業営業利益は同14.7%増の2938億円と増収増益となった。全事業営業利益は同9.2%増の4194億円、全事業経常利益は同11.0%増の4253億円。

 また、15社計(阪急・阪神は阪急阪神HDのため)の連結決算によると、売上高は同11.2%増の9兆3335億円、営業利益は同41.3%増の1兆1135億円、経常利益は同40.8%増の1兆1260億円。

JALで9月の舞台「中村仲蔵」上海公演へ ジャルパックがチケット付き商品販売

2025年5月23日(金) 配信

撮影:HIRO KIMURA(舞台イメージ)

 ジャルパック(平井登社長、東京都品川区)はこのほど、中国・上海「上海交通銀行前潭滩(ゼンタン)31文化芸能センター・大劇場」で9月に上演される舞台「中村仲蔵~歌舞伎王国 下剋上異聞~」の上海チケット付き商品と、公演チケットのオプショナルプランを売り出した。

 同舞台は藤原竜也さん主演の作品で、2024年2月に東京で公演し、その後各地で上演された。江戸時代の歌舞伎役者である中村仲蔵の波乱万丈な人生や歌舞伎の世界での成功、その革新的な演技や演出を通じて、歌舞伎の歴史に大きな影響を与えた彼の物語を描いている。

 同商品では、公演の1階・中央前方ブロックチケットを用意し、舞台のオリジナル写真を1人1枚プレゼントする。また、9月19日出発の参加者限定で、20日の昼公演後に舞台を解説するイベントへ招待する。

 販売は7月31日(木)午後11:59まで。出発地は羽田と関西。

「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業」優良事例集を作成 動画でも視聴可(観光庁)

2025年5月23日(金) 配信

 観光庁はこのほど、「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化事業の優良事例集」を作成した。北海道・阿寒湖温泉など9つの取り組みを同庁ホームページ上で紹介している。動画でも視聴できる。

 観光庁は、「観光地・観光産業の価値変革と、高付加価値で持続可能な観光地づくりの実現」を後押しする取り組みを、2021年度から24年度まで実施した。

 観光地経営のマスタープランとなる地域計画の構築・磨き上げや、宿泊施設・観光施設の改修、廃屋の撤去、面的DX化など、地域・産業の「稼ぐ力」を回復・強化するための取り組みを補助金と専門家の伴走で支援し、その結果を優良事例集としてまとめた。

 「地域一体となった観光地経営はなぜ必要なのか」や、「持続可能な観光地経営におけるポイントと抱えがちな問題」なども掲載している。

 同庁は「これから持続可能な観光地経営に積極的に取り組みたい地域の方々に向けて、取り組みの参考としていただき、ぜひ日本の観光産業のさらなる発展の一助となれば」とコメントしている。

 9つの優良事例は次の通り。

 「阿寒湖温泉」(北海道)組織の垣根を越えて挑むアイヌ文化を生かしたまちづくり▽「修善寺・中伊豆」(静岡県)信用金庫がハブとして関係者をつなぎ一つのチームとなって地域計画を策定▽「赤穂温泉」(兵庫県)新価値“ミネラルツーリズム”で旧来型観光地からの脱却▽「浅虫温泉」(青森県)「年3回」→「年中」を実現! いつでも“ねぶた”を楽しめるまちへ▽「加賀温泉郷」(石川県)計60もの事業者が改修工事に参加 景観も観光客も若返りを果たす▽「伊香保温泉」(群馬県)廃屋撤去をきっかけにまち並みの変革が動き出す▽「久米島」(沖縄県)「島民の人柄」で来島を誘う観光常識にとらわれないまちづくり▽「内子町」(愛媛県)観光客の食事をDXでサポートしまち歩きの満足度を向上▽「隠岐諸島」(島根県)音声ガイドアプリで滞在時間延長 4島でのDX化で魅力を最大限発揮

訪日客の地方誘客へ、「2次交通の確保が重要」(秡川観光庁長官)

2025年5月23日(金)配信

観光庁の秡川直也長官は5月21日に会見を開いた

 観光庁の秡川直也長官は5月21日(水)に開いた会見で、インバウンド(訪日外国人旅行)をはじめ観光客の地方分散に向けて、2次交通の確保と充実が非常に重要であるとの認識を示した。また、石破茂首相が参議院予算委員会で言及した国際観光旅客税(出国税)の見直しについて「石破首相からは、新たな観光立国推進基本計画を今年度末までに策定するという指示を受けて、観光施策の議論をしているところ。財源は次の議論になる」と述べた。

 国がインバウンド拡大を強力に推進するなか、とくに地方部の温泉地ではバスやタクシーなどの2次交通の安定的な提供が喫緊の課題となっている。秡川長官は「インバウンドや日本人も同様に、日本各地に行って楽しんでもらうためには2次交通の確保と充実が非常に重要である。あわせて、分かりやすく情報を提供することも大事」との認識を示した。

 国土交通省では現在、「交通空白」解消本部を設置し、地域・観光の足である地域交通の確保に向けたさまざまな施策を進めていると説明した。交通空白の解消に向けて「日本版ライドシェアや公共ライドシェア、観光客向けの周遊バスや乗合タクシーに対する支援も行っている。あとは経路検索アプリや、訪日客向けの観光情報ウェブサイトにおける交通手段に関する情報の掲載も充実してきた。今後も各地域のニーズに応じた移動手段を確保し、情報提供をしていきたい」と話した。

 温泉地での2次交通の課題解消に向けては、山形県・銀山温泉が24年12月に導入した日本版ライドシェアを例に挙げた。地元タクシー会社の管理下で、一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶ仕組み。タクシー運転手の人手不足を解消し、「観光や足の確保、充実にライドシェアも非常に有効な手段である」と述べた。

出国税引き上げ検討、財源の前に施策議論

 出国税については、石破首相が5月19日(月)の参議院予算委員会で、訪日客に対する税額の引き上げに関して今後政府で検討していく考えを示した。

 受け止めを問われた秡川長官は「石破首相からは現在、新たな観光立国推進基本計画を今年度末までに策定するという指示が出ている。来年度から2030年までの5カ年で訪日客数6000万人、消費額15兆円という目標に向けて何が必要なのか観光施策の議論をしているところ。財源については、その次の議論になる」と述べた。

 開幕から1カ月が経った大阪・関西万博についても触れ、「万博協会や経済産業省に聞くと予想よりも多く来場し、予約も入っていて非常に良い状況」と、良いスタートを切れたと評価した。

 旅行会社や協会によると「万博パッケージの旅行商品もかなり売れていて、予約も入っているようす」。ただ、万博による国内および訪日客の影響については「全体の中で万博の効果がどのくらいあるのかというところの数字はまだ出ていないので、現時点で影響というところはまだわからない」と回答した。

 そのほか、米国の関税政策に伴う旅行業界の影響について「現時点で日本の旅行動向に特段の影響は生じていない」と述べる一方で、引き続き今後の状況を注視していく考えを示した。

国内消費額5.6兆円、第1四半期で過去最高

 25年1~3月期の旅行・観光消費動向調査の速報値によると、日本人国内旅行消費額は前年同期比15.5%増の5兆6483億円と報告した。第1四半期として過去最高を記録。旅行消費による波及効果について「消費額の約2倍とされ、同期間の経済効果は約11兆円」と推測した。

 日本人国内旅行消費額のうち、宿泊旅行が同18.5%増の4兆5866億円、日帰り旅行が同4.1%増の1兆617億円となった。

 日本人国内延べ旅行者数は同6.0%増の約1億1964万人。このうち宿泊旅行が同8.0%増の6666万人、日帰り旅行が同3.7%増の5298万人だった。

 日本人国内旅行1人1回当たりの旅行単価は同8.9%増の4万7212円。宿泊の有無でみると宿泊旅行は同9.8%増の6万8807円、日帰り旅行が同0.4%増の2万40円となった。

JTBツーリズムビジネスカレッジ、FDAと特別講義実施 地方と地方を直接結ぶリージョナル航空の戦略を学ぶ

2025年5月22日(木) 配信

グループワークで髙野雅巳先生(写真中央)も学生にアドバイス

 JTBツーリズムビジネスカレッジ(坂本友理校長、東京都豊島区)は5月19日(月)、観光科2年生の必修科目「海外旅行商品(FIT)」の授業で、「フジドリームエアラインズ」(FDA、静岡県静岡市)の協力を得て、特別講義を実施した。

 同校は毎年、航空会社の担当者を招き、エアラインについて深く学ぶ授業を行っている。主任講師の髙野雅巳氏は、「地方都市と地方都市を直接結ぶリージョナル航空『FDA』の戦略や、地域社会や経済の活性化に果たす役割などを学んでほしい」との想いを学生に伝えた。

 講師には、FDA営業本部営業企画部長の吉英樹氏が登壇。「東京や大阪など大都市を中心拠点としたハブアンドスポークの路線展開ではなく、『ローカルtoローカル』の独自路線によって、新しい人の交流を生み出し、日本の地方を盛り上げたい」とFDAの夢を語った。

講師のフジドリームエアラインズ(FDA)営業企画部長・吉英樹氏

 さらに、地方自治体のニーズをしっかりと聞いて関係を強めていくことの大切さや、「他社と競合しない路線」の選定の難しさなども説明した。

 吉氏は、信州まつもと空港―新千歳(札幌)線で、白馬やニセコでスキーを楽しむ外国人旅行者が増えている状況を紹介し、「訪日外国人旅行者にFDAを利用してもらうにはどうしたらいいか」と学生に問いかけた。

 16人の学生は4つのグループに分かれ、約30分間のグループワークを行った。学生からは、「旅行会社と連携してアニメツーリズムなどの目的型企画旅行を実施する」や、「東京から静岡空港までのバスツアーと、地方路線を組み合わせたツアー」など、さまざまなアイデアが出され、FDAの吉氏は「皆さんがしっかりと考えてくれたアイデアを参考にしたい」と話した。