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「街のデッサン(224)」旅する自由時間の喜び 都市のキャラバンサライを発見した

2019年12月8日(日) 配信

都市のハヌル(商隊宿)の中庭が見せる

 ツアーに参加して、予定された訪問先のプログラムを次々消化していくことも楽しいが、その隙間に用意されている自由行動の時間もまた楽しみの1つである。参加者の多くは滞在地にある美術館や博物館などを訪れ、ショッピングで一巡りという方も多いだろう。私の場合、ツアー参加に目的がしっかりある場合とその時任せの場合があるが、出発前の事前調査には手を抜かない。今回の場合、下調べをしているうちに旅の目的が浮かび上がった。以前からぜひ体験し見ておきたいテーマが訪問地に隠されていたからだ。

 ブルガリア・ルーマニアの旅の最終日、お昼から夕方までの半日を自由時間としてブカレストで与えられた。事前に市販のガイドブックを調べてみると、ブカレストの旧市街の小さな地図に目が止まった。よくよくチェックするとその1㌔角の旧市街地が、実は私にとって発見の宝庫であることが分かった。「都市文化の博物館」だと直感した。

 私は、地図を眺めながらツアー最終日の6時間を活用するプログラムを熟考した。この旧市街地には少なくとも3つの研究テーマの素材が眠っている。それらを現地での知見を通し、頭の中でどう揺り起こし、文化の地層から覚醒させるか。大袈裟にいえば旅の目的が、最後の6時間の自由時間に懸かっているのだ。

 3つのテーマとは、第1が都市文化化石の踏査、第2は都市施設のコンバージョン技法研究、第3に新しい都市施設の構想確認だ。

 第1の踏査対象は「マッカヴィッラクロス・パサージュ」で、別稿で触れた文化化石である。パリ以上の佇まいに感動した。第2の視察対象「カルトゥレシュティ・カルセル」は、ヨーロッパで最も美しい本屋と評価され、19世紀の建物をコンバージョンしたもの。吹き抜けになった5階建ての建物がまるで都市文化の回転木馬になっている。

 第3のテーマが私にとって今回の旅の最も興味あふれるもの。その対象施設が「ハヌル・ルイ・マヌク」という、19世紀初頭にアルメニア人商人によって設置された建物だ。ハヌルは商隊宿を意味する。この施設は実は本来、砂漠のど真ん中に造られるはずのキャラバンサライではないかと気付いた。これからの日本の都市には、店舗の連なりと商談スペース、さらに慰楽と宿泊の複合体が求められると予感している。このモデルは中東の砂漠やバザールの周囲でしか見られないと思っていた。旧市街地のハヌルの囲われた建築の中庭に降り立ち、私は旅の自由時間の喜びと思わぬ発見を存分に味わっていた。

コラムニスト紹介

望月 照彦 氏

エッセイスト 望月 照彦 氏

若き時代、童話創作とコピーライターで糊口を凌ぎ、ベンチャー企業を複数起業した。その数奇な経験を評価され、先達・中村秀一郎先生に多摩大学教授に推薦される。現在、鎌倉極楽寺に、人類の未来を俯瞰する『構想博物館』を創設し運営する。人間と社会を見据える旅を重ね『旅と構想』など複数著す。

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