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「井川今日子のおもてなし接客術(41)」 クラブメッドに学ぶおもてなし

2020年2月15日
編集部:木下 裕斗

2020年2月15日(土) 配信

海外リゾートの「おもてなし」を日本の接客現場でも生かす(写真はイメージ)

 先日、タイ(プーケット)のクラブメッドに滞在しました。クラブメッドは、近年、新興の宿泊施設で取り入れられることも多くなってきた「オールインクルーシブ」発祥の企業です。

 クラブメッドに滞在していると、どうしても日本旅館と比較してしまいますが、その違いはマトリクスで言うと対極の位置にあります。

 たとえば、利用者の滞在日数は旅館が主に1泊2食型なのに対し、クラブメッドは長期滞在型です。

 食事スタイルは、旅館では時間や内容が定められているのに対し、クラブメッドでは、時間も内容も自由です。

 アクティビティは、外に出掛けて楽しむ旅館に対し、クラブメッドでは敷地内で楽しむといった具合です。

 このように、旅館と対極のクラブメッドではありますが、そこから学べるおもてなしもあります。 

 具体的には、わかりやすい形で、こちらの情報を事前に頭に入れて、さまざまな対応を取ってくれます。滞在中のようすを気にかけてくれるという点でも、感心することがとても多かったです。

 たとえば、到着時に子供の名前をすぐに呼んでくださったのには驚きました。

 海外旅行ということで、家族全員の名前を事前にホテル側に知らせていたこともありますが、会ってすぐに名前を呼ばれたことで、子供たちも嬉しく安心したことと思います。

 また、食事中に「何か気になることが無いですか」と、こちらの反応を気にかけてくれ、食事を残したときには「口に合わなかったですか」とわざわざ聞いてくれました。

 また、食事中に私たちの席が空いていれば、スタッフが「座っても良いですか」と聞いて来て、スタッフと宿泊客が一緒に食事を楽しむスタイルを採用しています。

 その間に、コミュニケーションを取りながら滞在中の困り事を解消し、アクティビティやショー、イベントなどその後の過ごし方を提案してくれるというように、顧客満足度を上げています。

 このような対応は、明らかにこちらのことを“気にかけてくれている”ということが伝わります。

 日本では、お客様に直接聞くことをせずにようすを伺いながらスタッフ側で推測・判断することが多く、この「察する」とか「言わずもがな」という対応が、日本の接客のレベルの高さにもつながっています。

 ただその一方で、クラブメッドのようなあからさまでわかりやすい接客スタイルも、とくに外国人観光客や子連れのお客様の場合などは、時と場合によっては、効果的であると気づかされます。

 日本のやり方に固執するのではなく、海外リゾートで学んだ接客・おもてなしも、旅館をはじめとした接客の現場で効果的に取り入れたいと考えております。

井川 今日子 氏

おもてなしコンサルタント 井川 今日子 氏

大学で観光学を学んだ後、船井総合研究所を経て、10年に観光文化研究所入社。全国の旅館や観光協会を中心に、女性の感性を活かした集客・固定客化支援で活躍中。商品戦略や販売促進、現場接客サービスなど多岐にわたり提案

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