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国内を補完するインバウンド、目標は訪日客数の1%

2013年11月11日
編集部

はとバス 金子 正一郎社長

追い風で13年度も好調

はとバス(金子正一郎社長)は、2012年度(12年7月―13年6月)の東京観光の輸送人員が前年同期比30・6%増の91万2千人となり、1992年以来20年ぶりに年間90万人を突破した。さらに、13年度の7―8月の輸送人員も前年同期比13・1%増の16万3140人と、好調な業績が続いている。20年の東京オリンピック開催も決定し、東京観光のさらなる盛り上がりに期待がかかる。はとバスの金子社長に、同社の好調な要因と、今後の東京観光の展望について話を聞いた。
【伊集院 悟】

≪はとバス 金子 正一郎社長に聞く≫

 ――2012年度の東京観光の輸送人員が20年ぶりに90万人を突破しましたが、好調の要因について教えてください。

当初12年度の輸送人員目標は78万4千人だったが、前年同期比30・6%増の91万2千人と大幅に上回った。12年はスカイツリー開業や東京ゲートブリッジ開通、東京駅の駅舎復原、13年に入っても東京ディズニーリゾート30周年や歌舞伎座のこけら落しなど、東京の新名所開業や大きなイベントが重なった。観光都市としての「東京」に注目が集まり、東京観光に追い風が吹いている。

スカイツリーの展望台に上がる17コースは、12年度の取扱人員が26万4千人となり、全体の28・8%を占めた。そのほかのコースも、当初はスカイツリーコースにお客様が流れることにより、前年の6―7割くらいになるかと予想していたが、実際は8割を超えており、スカイツリーだけでなく、東京観光全体の人気が高まっていることが分かった。

 ――2013年度の状況はいかがですか。

13年度の東京観光の輸送人員目標は90万2千人。これはスカイツリーも開業初年度よりはブームが少し落ち着き、反動を考えての設定。しかし、13年度に入っても当初目標を上回る好調さを維持している。7、8月の定期観光の輸送人員は前年同期比13・1%増の16万3千人で、うち日本人客は同11・3%増の15万2千人と、好調な昨年を大きく上回っている。東京観光ではスカイツリー関連のコースが同9・7%増の4万8千人で、そのほかのコースも11・1%増の8万4千人と、依然東京観光の人気は高い。富士山周遊コースは同42・9%増で、富士山登山コースも26・7%増と、富士山人気も続いている。

 ――外国人客の動向はいかがですか。

12年度の外国人客の輸送人員は4万9千人となり、震災前の8割くらいまで戻ってきた。5月ごろからは震災前を超える勢いで、7、8月の外国人の輸送人員は前年同期比44・8%増の1万1千人。絶対数はまだまだ小さいが、東南アジアを中心に外国人客は大きく伸びている。

都内6コースと富士山2コースがある英語案内コースは同48・2%増の9千人、都内4コースと富士・箱根3コースがある中国語案内コースは同33・0%増の2千人。日本語が少しでも分かる人は、外国人向けのコースではなく、日本人向けのコースを選ぶこともある。

今は初めて日本に来た人向けの商品を作っているが、台湾、韓国、東南アジアなどはリピーター客も増えているので、今後はリピーター向けのコースも造成していきたい。

 ――12年度に90万人を突破したということで、大台の100万人も見えてきますが。

100万人は願望としては十分あるが、物理的になかなか難しい。現在のバスの車両数を前提にした場合、今の台数では平日を含めた毎日満席近くにならないと100万人には届かない。お客様の数は年間で波があるので、車両数は多すぎても少なすぎても良くない。今の車両数の130―140台くらいがちょうど良い規模だと考えている。

現在、当社が取り扱う外国人観光客は全体の1割にも満たないが、数としては、JNTO発表の訪日外客数の1%くらいには増やしたいと考えている。1千万人なら10万人。国内は人口減少が続き、将来的には確実に需要が減っていくので、それを補完する意味でもインバウンド対策は重要だ。

当社では10月にインバウンド専門の国際事業部を立ち上げた。インバウンドはバス業界でも有望なマーケットなので、国際事業部が中心となって、マーケティングや商品造成、受入体制の整備に取り組んでいく。

 ――2020年の東京オリンピック開催が決まりました。東京の注目度が上がるとともに、今後の外国人観光客増加に期待が高まりますが、東京観光の今後の展望についてお聞かせください。

「成熟した都市としての観光」がキーワードになると思う。五輪に向け新しい施設や英語標識などハード面の整備は自ずと進んでいくと思うが、一番大切なのはソフト面の充実。五輪だからといって特別なものが必要なのではない。日本人が当たり前すぎて気づいていない魅力に、外国人が惹かれることも多い。まずは魅力に気づき、それを文化や習慣が違う人にも分かりやすく触れやすいように発信していくことが大切。また、言葉が分からなくても日本人と一緒にツアーを回ろうとする外国人も増えてきて、日本人と触れ合いながら同じ体験をしたいというニーズを感じる。これからは、こうしたニーズにも応えられるメニューを考えていきたい。

 ――ありがとうございました。

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