第12回観光立国推進協議会を開催 菰田委員長「観光の重要性や将来性示していく」
2026年1月15日(木) 配信

観光関係団体や民間企業で組織する観光立国推進協議会(101委員、委員長=日本観光振興協会・菰田正信会長)は1月14日(水)、東京都内のホテルで「第12回観光立国推進協議会」を開いた。2025年の訪日外国人客数が4000万人を超える見込みのなか、局所的なオーバーツーリズムや人材不足など課題が浮彫になっている。菰田委員長は人材不足への対応として、日本観光振興協会は今年6月に「基幹産業としての観光が目指す姿を描く中長期的ビジョン」を策定する予定とし、「観光産業の重要性や将来性、地域や日本経済への貢献度を明確にし、基幹産業として持続可能性を示したい」と意気込んだ。
今年の3月に「第5次観光立国推進基本計画」が策定されるが、昨年は業界内の各団体が計画への提言を行うため、現状の洗い出しを行った。菰田委員長は顕在化した課題のなかで①オーバーツーリズムへの対応②均衡の取れた双方向交流の実現③国内旅行の一層の需要拡大④慢性的な人材不足への対応--の4点について「早急に取り組まなければならない」と訴えた。それらの課題解決に向け、「12回目を迎える推進協議会だが、さらなる飛躍につなげていくため、垣根を超えた協力をお願いしたい」と積極的な意見交換を呼び掛けた。
来賓として出席した観光庁の村田茂樹長官は次期の観光立国推進基本計画では、インバウンド需要の偏在化による過度の混雑解消に向け、住民生活の質の確保の両立をはかるための施策に重点を置くことや、国内旅行と海外旅行の促進、観光産業の強靭化なども盛り込む予定であることを紹介。「2026年はさらなる高みを目指す年と考えている」とし、「日本の魅力や活力が持続的に発展していく姿を国民一人ひとりが実感でき、観光により国が豊かになる姿を示すことが観光立国であるという気概のもと、官民一体で取り組みを進めていきたい」と力を込めた。
□早稲田大学大学院教授・池上重輔氏が講演

日本観光振興協会が策定を進めている「基幹産業としての観光が目指す姿を描く中長期的なビジョン」は、早稲田大学大学院経営管理研究科研究科長・教授の池上重輔氏が座長を務めている。今年6月に開催する総会で発表を予定しており、今回は中間発表として、講演を行った。
池上氏は先進国では人口減少や高齢化、環境制約などが共通の課題となっており、「これらの課題は観光を通じて対応できるのでは」と示した。生産性の革命では量的目標から価値目標へ大きな変革を遂げなければならないとし、「AIと人間の役割分担について、観光で先進事例を提示したい」と述べた。また、観光人材の処遇改善には専門職化が必要で、幹部・リーダー層からスタッフ層までの重層的な育成や、5~10年先にどういう働き方を実現すべきか考えなければならないとし、「人を変えることで観光を変えることを中間論点としている」と報告した。
□各委員が業況報告や要望、意見交換を実施
協議会では、委員が業界や自社の状況、課題などについて意見を述べた。そのなかで、日本旅館協会の桑野和泉会長は前述のビジョンについて、「意義深いこと」と歓迎。同協会でも昨年、未来に向けた提言を発表したことを報告し、「旅館業をもう1度夢のあるものにしていきたい」と力を込めた。「我われは地域なくして持続できない。働きたくなる、住みたくなる地域づくりすべてに関わる覚悟が必要になる。選ばれる業界になっていきたい」と述べた。
北海道観光機構の唐神昌子会長は「現在の課題は複雑化を増しており、もはや人を呼び込めばいいという段階は超えた」と語ったうえで、同機構では「稼ぐ観光」「信頼される観光」「続く観光」の3つの柱を掲げ、2030年の消費額3兆円を目指しているとした。
また、京浜急行電鉄の原田一之会長は2027年に横浜で開催される、国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)に触れ、「地域を挙げて準備に追われている。国内観光活性化に大きな流れを作った大阪・関西万博の成功を引き継ぎたい」とし、「『次の万博は横浜で』を合言葉にしている。まだ認知度が低いので、皆様にも協力をお願いしたい」と呼び掛けた。
日本温泉協会の多田計介会長は、昨年末に「温泉文化」がユネスコ無形文化遺産への新規登録候補に選定されたことを受け、協力への謝意を示すとともに、「登録見込みの30年までの5年の間に、日本固有のコンテンツである温泉文化を発信していきたい」と意気込んだ。




