日本バス協会、外国人材の緩和要求 「人手不足で路線維持困難」
2025年9月18日(木) 配信
日本バス協会(会長=清水一郎・伊予鉄グループ社長)は9月17日(水)、東京都内で通常理事会を開いた。清水会長は「人手不足は深刻で、一部地域では路線を維持できなくなる」と危機感を示し、人材確保に向けて「まずは外国人バス運転者の日本語能力の要件を、日本語能力試験N3からN4へ今年中に引き下げるよう自由民主党や関係省庁に要望している」と述べた。
国の有識者会議は現在、引き下げを行ったうえで、乗客とのコミュニケーションを補助する「日本語サポーター(仮称)」の同乗を条件に加える構えだが、清水会長は「将来的にはスマートフォンの翻訳機能などを活用し、不要としてほしい」と条件緩和を求めていく方針を示した。
運転者不足の解消に期待されている自動運転については、車内保安員が不要なレベル4の本格運行に向け、「来年度は現在100億円の予算を大幅に増額し、国家プロジェクトとして進めていただき、全国的な自動運転バスの展開を目指したい」(清水会長)と語った。
同協会は2026年度の税制改正を前に、EVバス普及のための免税・減税措置の拡充やガソリン税の暫定税率廃止に合わせた軽油価格の引き下げも要望していく考えだ。
また、石油販売会社が運送事業者向けの軽油を維持・引き上げるカルテルを結んだ独占禁止法に違反した疑いがあるとして、公正取引委員会に捜査されていることにも触れ、「バス事業者はコスト高に対応するため、必死に取り組んでおり、大変遺憾だ」と述べた。
□11月11日に総決起大会
バス業界を取り巻く環境が厳しいなか、危機的状況を乗り越えるため、関係者が一致団結して課題に取り組めるよう、11月11日(火)に自民党本部で総決起大会を開催することが決まった。
理事会終了後には、国土交通省物流・自動車局旅客課の重田裕彦課長が「バス事業をめぐる現状と課題」と題して講演を行い、バス運転者の求められる日本語能力の概要や今後の見直し、バス関係の年度予算、税制改正などの政府の取り組みを説明した。
これを受けて会員から「人手不足や乗客減少で路線を維持するのが難しくなっている。国の補助を拡充してほしい」と要望する声が挙がった。
重田課長は「補助金には限りがある。引き続き、1円でも多く補助金予算を確保できるよう財務省と協議していきたい」と話した。




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日本バス協会の清水一郎会長、自民党の田村憲久政調会長代行、自民党バス議員連盟の逢沢一郎会長-120x120.jpg)
