手書きの原稿で「舞姫」を味わう 森鴎外記念館が7月4日~9月30日まで展覧会
2025年6月9日(月) 配信

東京・文京区立森鴎外記念館は7月4日(金)から、コレクション展「小説『舞姫』をよんでみよう!」を開催する。細かな推敲の跡が残る、草稿複製全28枚を一挙に展示。手描き文字の「舞姫」を読むことができる。
森鴎外が1890(明治23)年1月、雑誌「国民之友」に発表した「舞姫」は、鴎外にとって創作小説の第1作目だが、高等学校国語科の教科書に採用されたことなどから、代表作として知られている。「舞姫」はドイツから船で帰国途中の青年の回想として描かれており、青年の恋愛や学問、将来への葛藤や悩みが綴られている。
展覧会では、掲載された雑誌や書籍のほか、創作の背景にあった鴎外自身のドイツ留学などに関する館蔵資料を展示。発表直前の1889年末に執筆した自筆草稿(複製)の全28枚を紹介する。草稿には至る所に推敲の跡が残り、発表まで文章を練り続けた鴎外のようすがうかがえる。
自筆草稿はいくつかの所蔵者を経て、2015年から跡見学園女子大学の所蔵となった。資料保護と研究活用の観点から、原寸大のカラー複製を制作している。
同記念館は「複製だからこそ実現できる草稿の一挙展示です。名作『舞姫』全編を手書き文字でよみ、鴎外が吟味を重ねた言葉を味わってください」とコメントしている。
展覧会は9月30日(火)までの計83日間で、期間中は特定の休館日あり。観覧料は一般が300円、中学生以下は無料。