訪日消費額28%増、「経済効果は4兆6000億円」(秡川観光庁長官)
2025年4月25日(金)配信

観光庁の秡川直也長官は4月16日(水)に開いた会見で、インバウンド消費動向調査の速報値によると、2025年1~3月期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比28.4%増の2兆2720億円と報告した。同期の訪日観光による経済波及効果は「消費額の概ね2倍くらいの効果があるとされ、4兆6000億円程度と推測できる」と明らかにした。
国・地域別では中国5443億円、台湾3168億円、韓国2824億円、米国2188億円、香港1534億円で、上位5カ国・地域で全体の66.7%を占める。
訪日外国人の1人当たりの旅行支出は同5.2%増の22万1994円。国・地域別ではオーストラリアが36万7000円と最も高く、次いでフランス33万8000円、英国32万1000円と続いた。
□双方向交流呼び掛け、海外旅行の需要増加
一方のアウトバウンドについては、双方向交流の重要性を掲げる「アウトバウンドの本格的な回復に向けた政策パッケージ」の策定から2年が経過したことに触れた。
政策パッケージでは、①諸外国との連携体制の強化②戦略的かつ効果的な取り組みの推進③安全・安心な旅行環境の整備・青少年交流の促進――の3つの柱を掲げる。
諸外国との連携体制強化では、24年1月~25年3月までを「日米観光交流年」と定め、コロナ禍で落ち込んだ双方向の観光交流の活性化に取り組んだと報告した。
戦略的かつ効果的な取り組みの推進では、旅行業界や各国政府観光局と連携した海外旅行の促進キャンペーンやツーリズムEXPOジャパンなどで海外の魅力を発信。安全・安心な旅行環境の整備・青少年交流の促進として、海外教育旅行のプログラムを開発し、実施した成果を報告した。
これら取り組みの結果により「昨年の出国日本人数は5年ぶりに1300万人を超えた。一定の効果があったが、インバウンドの勢いに比べるといまいち」と述べ、引き続きアウトバウンドを含めた双方向の観光交流が重要であると強調した。
今年3月24日(月)には、新しい旅券(パスポート)導入に合わせて、アウトバウンド促進に向けた「もっと! 海外へ宣言」を発出。引き続き、海外教育旅行の促進のために教育的な付加価値の高いプログラム開発のほか、文部科学省と連携した普及啓発活動や、コロナ禍で海外旅行を休止していた学校に働きかけをはかっていく方針だ。
□大阪・関西万博開幕、海外旅行の促進機会に
4月13日(日)から開幕した大阪・関西万博についても触れ、「万博一カ所で海外をまとめて体験できる非常に良い機会。万博パビリオンの関連情報も発信していき、万博の来場や海外旅行への促進につなげたい」考えだ。
日本政府観光局(JNTO)が中国市場の旅行会社約90社に調査したところ、万博関連の旅行商品では既に2000人以上の予約が入っていると報告した。旅行商品はゴールデンルートや大阪周辺のほか、遠方地域を組み込まれた商品も多く、新たなツアー造成も見込まれるため、今後も訪日客の増加と地方誘客に期待していきたいと語った。
観光庁は日本とインド両国が観光交流の拡大に向けた協力を推進するため、4月8日(火)にインド・デリーで開催された第4回日印観光協議会に出席したと報告した。6年ぶりの開催でコロナ後は初めて。双方の政府関係者や観光関係団体など計約50人が参加。インド市場は訪日客数、出国日本人数ともに控えめなものの増加傾向にあるとして、秡川長官は「インドも重要な市場の1つ」と、今回の機会を有効的に活用したい考えを示した。