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113%増の670億円を要求 人材不足への対策が急務 各国と連携し、双方向交流拡大へ(24年度観光庁予算概算要求)

2023年8月24日(木) 配信

概算要求総括表(観光庁資料より編集部が作成)

 観光庁は2024年度予算の概算要求で、前年度予算比113%増となる670億4700万円を求めた。このうち、一般会計は241億1200万円。このなかに、22年度第2次補正予算で措置した国庫債務負担行為の歳出化予算120億円が含まれる。東北の復興枠では、ブルーツーリズム推進支援について同61%増の4億3500万円を求めた。国際旅客税(出国税)を充当する項目には同113%増の420億円。人材不足への対策や、双方向交流拡大に向けた各国政府観光局との連携促進に向けた事業へ、戦略的に取り組む。

 24年度予算要求の主要事項について、「持続可能な観光地域づくり」「地方を中心としたインバウンド誘客」「国内交流拡大」の3つの柱を重点として、持続可能なありかたで全国あまねくその効果を広めるべく、事業に取り組む。

 「持続可能な観光地域づくり」では、全体で162億6400万円を計上した。

 昨今の観光需要回復に伴い、宿泊業をはじめとした各業界で人手不足が顕著となっている。観光庁は、今後さらなる増加が見込まれる観光需要を着実に取り込み、旅行者数・旅行消費額を増加させるために、受け皿となる宿泊業の人手不足の解消が急務だとして、4億円を計上した。

 この「観光地・観光産業における人材不足対策事業」では、各地方ブロック単位での宿泊業特化型の就職説明会や、マッチングイベント、合同企業説明会への出展支援、採用ホームページ・採用パンフレットの作成などの広報強化に対し、事業者の採用活動を全面的に支援する。

 また、特定技能試験合格者の雇用のためのマッチングイベントの実施や、受験者を増やすためのジョブフェアのPR活動などを通して、観光地における外国語人材の確保に努める。

 人材活用の高度化に向け、機械化・DX化推進のための設備投資支援など短期的な対策や、経営の高度化などの中長期的な対策など、あらゆるフェーズの人手不足対策を総合的に行う。

 また、「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」事業において、22年度補正予算で設定した500億円のうち、歳出化予算120億円を24年度分の予算として一般財源で要求した。

 

イン・アウト両輪で 双方向交流拡大促進

 「地方を中心としたインバウンド誘客」全体では、63億6100万円を求めた。

 観光立国推進基本計画において、訪日外国人旅行者数は25年までに19年水準(3188万人)超え、日本人海外旅行者数は同じく19年水準(2008万人)超えを目標としている。観光庁では、インバウンド・アウトバウンドの両輪で双方向交流拡大に向けた取り組みが必要として、「双方向交流拡大に向けた各国政府観光局等との連携促進事業」に、同250%増の7000万円を計上した。

 アウトバウンド政策パッケージにおける当面の重点デスティネーション各国などへの、日本からの海外旅行送客の早期回復を目指す。それぞれの取り組みや課題を踏まえた共同プロモーションなどを相手国・地域ごとに実施し、効果的な海外旅行の情報発信の促進や、旅行ニーズに即した海外旅行の商品の充実をはかるなど、実効性のある取り組みを行う。

 さらには、若年層の国際感覚の向上とともに、中長期的な双方向交流の活性化につながる海外教育旅行について、官民連携のもと、効果の高いプログラムの開発・普及により、裾野拡大・定着をはかる。

 

日本版UT地域のあり方を考える

 国内交流拡大について、新たな交流市場の開拓を目指し、「ユニバーサルツーリズム促進事業」において、5000万円を求めた。

 海外におけるユニバーサルツーリズム(UT)先進地域に関する事例調査を行い、日本におけるUT水準を把握し日本の旅行実態なども勘案したうえで、「日本版UT地域」のあり方を検討する。

 また、高齢者・障害者などが求めるバリアフリー情報と、観光施設が提供するバリアフリー情報のミスマッチを解消し、旅行者が安心して認定施設を選べるように、バリアフリー情報の精度向上や旅行者への情報提供の充実に向けた取り組みを行う。

 

風評への影響対策注力 ブルーツーリズム推進

 東日本大震災からの復興(復興枠)として、ブルーツーリズム推進支援事業において同61%増の4億3500万円を求める。ALPS処理水の海洋放出による風評の対策として、海の魅力を高めるブルーツーリズムを推進し、国内外からの誘客と観光客の定着をはかる。

 観光庁は、「ALPS処理水の海洋放出後は、風評影響への対策として、風評に打ち勝つための取り組みの重要性がより一層高まる」という認識のもと、津波で海の家や更衣室などが流された海水浴場などで、設備の新たに設置することで受入環境の整備に努める。このほか、海の魅力を体験できるコンテンツの充実、海にフォーカスしたプロモーション、ビーチなどの国際認証の取得に向けた取り組みを支援していく。

 福島県における観光関連復興支援事業には、昨年度予算と同額の5億円を要求した。

 

出国税は420億円 予算編成で検討する

 出国税の規模は、前年度比113%増の420億円を要求した。コロナ前では前年度4~3月の出国者実績で出国税を算出していたが、今回も国際民間航空機関(ICAO)による24年度の航空需要の回復推計値や回復シナリオをもとに算出した。

 出国税を充当する予算に関しては、既存政策の財源の単なる穴埋めをするのではなく、①受益と負担の関係から負担者の納得が得られる②先進性が高く費用対効果が高い取り組み③地方創生を始めとする日本が直面する重要な政策課題に合致する――の3点を基本的な考え方としている。

 前年度の事業例として、「ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備」「日本の多様な魅力に関する情報の入手の容易化」「地域固有の文化、自然などを活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度向上」──などを実施した。

 具体的な施策・事業については、硬直的な予算配分とならず、毎年度洗い替えが行えるように、観光戦略実行推進会議において、民間の有識者の意見を踏まえつつ検討を行い、予算を編成する。

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