【特集No.431】ホテルエクレール博多 女性に優しいホテルづくり
2016年5月20日(金) 配信

高品質のおもてなしサービスを提供することで、お客様の強い支持を得て集客している宿の経営者と、工学博士で、サービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が、その理由を探っていく人気シリーズ「いい旅館にしよう!Ⅱ」の第3回は、福岡県福岡市のホテルエクレール博多支配人の永安重喜氏が登場。「女性に優しいホテルづくり」をコンセプトに、朝食のルームサービスなど、お客様の声を基に女性スタッフからの積極的な提案を取り入れ、高い評価を受けている。
【増田 剛】
◇
永安:会社設立は1999年ですが、ホテルが開業したのは2000年11月です。その後、10年8月にアサヒ緑健のグループ会社となりました。
内藤:どのような経緯でホテルがオープンしたのですか。
永安:前のオーナーの実家が福岡市内で旅館を経営されていましたが、自分で独立して宿泊業をやりたいと考え、現在のエクレールが建つ地に新たにホテルを建てました。
そのときのオーナーは私の実家が営む食堂によく来ていて、私が小さいころからの知り合いでした。「一緒にやらないか」とお話をいただいたのが26歳のときです。それから2年後の28歳のときにホテルが開業しました。
このエリアは98―99年に再開発が始まり、向かいのホテルオークラ福岡は当館よりも1年早く開業しました。
私は開業時から支配人でした。「ぶっつけ本番」で、まったくホテルでの経験はなかったのですが、実家が食堂という環境のなかで、親のお客様やスタッフに対する接し方を見ながら育ってきたので、ホテルの仕事をするからといって何か特別に意識したわけでもなく、「きちんとあいさつしよう」「お礼を言おう」「謝るべきところは謝ろう」など当たり前の、基本的なところからスタートしました。それは今でも変わりません。
内藤:当時は宿泊特化型のビジネスホテルが一気に出始めたころですね。
永安:そもそも広い土地ではなかったので、大きなレストランを作れるわけでもなく、できるだけ客室を多くするシンプルなスタイルしか選択肢はなかったと思います。
オーナーはデザインにもこだわりを持っており、他にはないお洒落なデザインにしたいという思いが強く、何度も設計図を描き直していました。
開業直後は、ホテル経験者はほとんどいなかったので、売上のお金が合わないことは日常茶飯事で、3年くらい経ってようやくかたちができ始めてきました。
03年ごろから世界水泳大会や国際会議といった大型のイベントが福岡市で開かれ、市内の宿泊需要も高まってきました。
内藤:開業当時は大変だったけど、数年後には軌道に乗ってきたという感じですか。
永安:そうですね。私も、スタッフも日々、目の前のお客様への接客で精一杯という状態で、何か明確な戦略を持って取り組む余裕もなかったですね。
内藤:オーナーが変わった10年というのは、リーマン・ショックの影響もあったのですか。
永安:大きく影響を受けました。ホテルの稼働率も落ちました。リーマン・ショック後も稼働率は低く続きましたね。当時は飲食店なども展開し始めていた時期で、東京などにも出店していましたが、飲食店舗の方が波動が大きかったので、オーナーの判断で切り離してホテルだけをアサヒ緑健に売却することになりました。私を含め、スタッフ全員が新会社のグループに移行しました。
――梶井さんが入社されたのはいつですか。
梶井:私はオープンから2年後の02年です。
内藤:その当時はどんな感じでしたか。
梶井:ただ目の前のお客様に対して決められた通りに、決められたことをやっていました。自分のなかにはサービスに対する強い「想い」もあり、どこかモヤモヤしながら対応していました。お客様に関する会話は少なかったですね。仕事の会話は分からないところを聞くくらいで、「このようなお客様がいらっしゃいますので、こういう風にしませんか?」などの提案はほとんどありませんでした。
永安:スタッフとお客様との間に距離がありました。今から考えると、私たちの方が勝手に距離を作っていたように思います。本当はみんなお客様に近づき、コミュニケーションを取りたいと感じていたと思うのですが、でも現実は、距離感を探りながらどうするべきか迷っている状態でした。
内藤:社員が前のめりになろうとしているのに、会社の方針が定まらない状態だったので、それぞれが余裕があるのに、単なる作業にとどまっていたのですね。
梶井:はい。とても時間に余裕がありました。(笑)
内藤:スタッフの人数はどうでしたか。
永安:今より2人ほど多かったですね。
内藤:「お客様には誠実であれ」という理念を掲げられたのは、いつからですか。
永安:オーナーが変わってからですね。これまで手がけることができずにいた部分で、私が一番やりたかったのは、就業規則と賃金規定の見直し。そして、ホテルの経営に10年間携わるなかで、「フィロソフィー(哲学)や理念を言葉にしたい」という欲求があり、クレドカードを手作りでつくるところから着手したのです。
表現もスタッフみんなで話し合い、決めていきました。前オーナーのときもやりたいと思っていましたが、利益に直結しないような理念を話し合うことは、大切なことだとわかっていながらも、今すぐにやるという段階には至っていませんでした。
現在のオーナーとは、「目先の利益よりも理念を決めることが先だ」という姿勢が一致しているので、物事がスピーディーに進んでいきました。
内藤:とても難しいですね。数字を追いかけることもとても大事で、当時は稼働率をまず優先させたのですね。
永安:稼働率が先にあって、そこに向かってすべての作業をしていましたが、結果として稼働率アップには結びつきませんでした。
今は、スタッフ同士の関係性などを優先し、取り組みのアプローチは以前と逆転しました。
内藤:クレドをつくるときは、どのような議論をされたのですか。
梶井:今は3冊目になりますが、最初のときは2班に分かれて話し合い、それをすり合わせました。スタッフはなんとなく働いているなかでも、「お客様には誠実であれ」といった気持ちを持っていたので、スタッフから出てきた単語はほとんどが一致していました。
永安:他社のクレドも参考にしましたが、難しい言葉ではなく、無理をせず、カッコつけず、普段自分たちが使っている言葉をかたちにしました。「お客様だからこうしなければならない」といった特別のものではなく、「ちゃんとあいさつをする」とか、人に対する接し方の基本的な部分をみんなで一度整理したいと思っていました。
内藤:「女性に優しいホテルづくり」というコンセプトはいつからですか。
永安:現在のオーナーに変わった段階です。少しお洒落な造りなので、もともと女性の宿泊客は多く、女性の出張利用も年々増えています。
例えば「ルームサービス」を始めたのも、「朝食会場で女性が一人で食べるのはどうなのか」といった会話がスタッフ同士で交わされるようになり、「それだったらお部屋に届けたら?」などのアイデアが出てきたからです。
「ビジネスホテルのカテゴリーでは女性は使いづらいよね」などの意見も出て、もっと女性が安心して泊まれて、使い勝手の良いホテルにしたいという思いから、「女性に優しく」というコンセプトが固まりました。
今では女性客の割合は5割に近づく月もあるほどです。女性客の比率が高くなるにつれて、「女性がもっとこんなものがあると助かる、うれしいことってなんだろう」と、みんなで考えています。「手鏡やアクセサリーを入れるジュエリートレイがあるといいよね」などのアイデアが出ると、すぐに実行しています。
――女性客が求める声をどのように集めているのですか。
永安:アンケート用紙を客室に置いています。お礼や、ときには厳しい意見もありますが、結構、びっしりと書いていただいています。これらの声を基に、女性スタッフが中心に、さまざまな意見やアイデアを出し合い、できるものからすぐに改善しています。
内藤:すぐに対応できるものと、難しいものの取捨選択はどのように判断され、どのようなことを取り組まれてきましたか。
永安:例えば、朝食のルームサービスと、客室にはコーヒーを用意しているのですが、女性客からのアンケートに「紅茶があったらいいな」という声がありました。すぐにレディースフロアのエレベーター出入口の横の小さな空間に、手作りの紅茶サービスのボックスを作りました。お金をかけずに、手作りで工夫しながら温かみが感じられるようにディスプレイしています。
梶井:「メイクのときは使いやすい手鏡があった方がいい」という声もありました。女性は“カワイイ”デザインが大好きなので、可愛い手鏡を買いに行きました。ジュエリートレイも手鏡に合った可愛いものにしました。
永安:会議で「女性客が喜ぶのでこういうモノやサービスを提供したい」とスタッフに提案された場合には、制限する理由なんて基本的にはないので、「やってみよう!」という感じで物事は進んでいきます。
内藤:女性は部屋着なども気にされるのではないですか。
梶井:そうですね。当館の部屋着はオープン以来、生地がやわらかく、パジャマっぽいので女性客には「いいよね」と好評をいただいています。
永安:松延さんが入社したときには、加湿器の貸し出しは有料で、200円くらい取っていました。入社してすぐ違和感があったらしく、「お金取るんですか?」と聞いてきました。それからすぐに無料にしました。それでとくに女性客ですがニーズが増え、今ではレディースフロアには常備して貸出用の台数も増やしました。
内藤:今多くの接客の現場で議論されているのが、お客の名前を「○○様」と呼ぶか、「○○さん」で呼ぶか。大部分のスタッフは「さん」で呼びたいのですが、一方で会社は「様」で呼ぶように指導し、現場のスタッフが悩むケースが多くみられます。私は「さん」で呼んだ方がいいと言っています。なぜかというと、お客の方がお互いの距離を縮めようとしているのに「○○様」と呼ばれると、壁を感じるようになります。
永安:確かに、自分が客の立場で考えると、「永安様」と呼ばれてもピンとこない印象があります。
内藤:飲食店で働くスタッフも「様」から、心の距離を縮めるために「さん」に切り替える努力をしています。
永安:当社でもお客様との会話を楽しんでいるスタッフをしばしば目にします。その場合にはやはり、「様」ではなく、「さん」だろうと思うことがあります。
内藤:松延さんは自分がお客の立場として見た場合、接客で気をつけていることはありますか。
松延:作業をしながら目線を合わせないで「いらっしゃいませ」と言われるのは嫌ですね。誰に向かって言っているのだろうと感じてしまいます。
私は必ずお客様の目を見てごあいさつをしています。入口のドアが開くと音で分かるので、お客様が通り過ぎるまではお客様の方を見てごあいさつをしています。
永安:どのように接し、あいさつをするかといったことは社内でしばしば話し合っています。あいさつと一緒に、笑顔に関しても強く意識していると思います。
梶井:「エクレールではこのような気持ちでお客様に接してください」というように教えています。
内藤:成文化されていないけど、習慣的なルールとして浸透しているのですね。
私が初めてエクレールを訪れたときの印象は「女性はこのホテルが好きだろうな」と感じました。一つはエレベーターホールに行くにはフロントの前を通らなければならないことです。スタッフが笑顔で見ているという安心感があり、玄関で笑顔で迎えるということが、一方で防犯につながります。
――シャンプーなどアメニティにもこだわっていますね。
梶井:現オーナーに変わったときに、アメニティをすべて見直しました。シャンプーや入浴剤なども女性スタッフが家に持って帰り実際に使ってみて、質と香りなどで選びました。シェーバーなどは男性スタッフが使用して決めました。
永安:以前は、アメニティはリンスインシャンプー、ボディソープ、歯ブラシ、シェーバー、ヘアブラシなど最低限度必要なものを置いていました。消耗品なので、そこにお金をかけるという価値観はなかったですが、今はものすごく種類が増えました。
――アメニティが多様化されると選択肢が増え、お客としてはうれしいですね。
内藤:具体的に、何を増やしたのですか。
梶井:コスメセット、化粧水、乳液、洗顔フォーム、クレンジング、ヘアピン、ボディシャンプーは全室に備えています。女性フロアには入浴剤も加えました。ほとんどのお客様は使われています。
内藤:シャンプーや入浴剤などは個人の好みが分かれます。
梶井:そうですね。あらゆるニーズに対応するために、最近は「シャンプーバイキングをやろう」という話も出ていました。
内藤:それはなぜストップしたのですか。
梶井:最初はレディースフロアだけにという話がありましたが、「管理は誰がするのか」「お客様が元の位置に返却されなかったときはどうするの?」などの議論もあり、いったん中断しています。「やってみたらどうか」という部分と、「それはやらなくてもいいんじゃないか」という意見に分かれています。
内藤:サービスを選択できるようにする施設が増えています。シャンプーバイキングを始める際には不安もあると思いますが、マイナス面を考えるよりも、「選びたい」というお客の心理を考えて、一度やってみたらいいのではないかと思います。
梶井:ルームサービスを始めるときも、「誰が持っていくのか」「件数が多かったら対応できるのか」など、色々考えていたのですが、実際にやってみたらほとんど大きな問題はなかったということもあります。
内藤:ホテルでは、スタッフがお客の客室に入り、会話を交わす機会はほとんどありません。ルームサービスはその機会をお客の方からわざわざ提供してくれるのに、なぜ「忙しくなる」という理由で、せっかくの接客の機会を拒否するのか。定食屋さんでも満席だったら「すみません」とお客を断ります。それでいいのではないかと思います。「ちょっと混んでいるので30分かかります」と誠意を込めて答えれば、きっとお客は理解してくれると思います。
永安:断ったり、待たせたりすることに妙に憶病になっているところはあると思います。
内藤:現状でも実際は待たせることもあるはずです。だけど、新しいサービスで待たせることがダメだと言うのは、今の問題から目をそらして新しいサービスを「やらない」理由にも聞こえます。
□ □
内藤:エクレールでとくに感心するのは、部屋にあるお茶などの種類の多さですね。ミネラルウォーターも置いてあります。
梶井:ミネラルウォーターを客室に置くときも、キャップに封をしたビニールをつけたままにするか、開けやすいようにビニールを剥がしておくかも迷いました。
内藤:今はどうしているのですか。
梶井:ビニールを剥がしています。飲み残しや、なかには開けただけで飲まれていないものもあり、清掃の担当者もしっかりそこを確認をしています。
永安:エクレールでは清掃と、スタッフのルームチェックには、相当に時間をかけて力を入れています。
内藤:全客室を回られるのですか。
梶井:連泊のお客様以外は、すべてスタッフが確認します。
前のオーナーの時は、客室をチェックする本当の意味がよく分からず、単に髪の毛が落ちていないかといった視点でチェックしていたので、1部屋に1分もかからなかったと思います。でもお客様が客室に入って残念に思われる顔を見たくないという気持ちから、納得いくまでチェックするので、1部屋にかける時間はすごく長いですね。全96室をスタッフが分担してチェックするのですが、みんな2時間は帰ってきません。
内藤:チェックの仕方は決まっているのですか。
梶井:毎日チェックしているので、チェックシートはスタッフの頭の中にあります。
内藤:客室のチェックでは具体的にどういう点を注意されるのですか。
松延:梶井マネージャーに教わってすごく印象に残っているのが、ハンガーのピンの位置がそろっているかどうかという点ですね。
内藤:すごく細かいですね。
松延:順番に客室の入口から見ていくと、スリッパは汚れていないか。浴室では髪の毛が残っていないかをまず確認し、シャンプーの柄の向きや、水周りの銀色のところに水垢が残っていないか。タオルで拭くと水垢が落ちることもあるので、細かくチェックします。浴槽も上から覗くだけでなく、お客様が座った視点から裏側までチェックします。アメニティがそろっているかも確認します。コンセントの上に埃がたまっていないか、冷蔵庫の中や、ティッシュは三角に折っているか、ドライヤーがきちんとまとまっているか、机の上が整理されているかもしっかりと確認します。引き出しの奥に何も残っていないか。たまにアンケート用紙やチラシなどが奥にくしゃくしゃに入っていることもあります。人によって確認の手順に違いがあると思いますが、チェックするポイントはすべて決まっています。
梶井:シャワーカーテンも右側に寄せているのですが、実際にお客様が入るときに開き、見落としてしまった髪の毛に気づかれることもあるので、それを必ず開いた状態で確認しています。
内藤:徹底されていますね。ベッドメーキングのシーツと掛け布団のセットはどのようにされていますか。
梶井:今は掛け布団をマットの中に挟み込むように入れています。でも、これではお客様が布団の中に入ると、足で空間を広げていかなければならないので、見た目は綺麗なのですが、お客様の使い勝手はどうかなと悩んでいます。女性のお客様で爪が折れてしまった方もいらっしゃいました。
内藤:私は宿泊したホテルや旅館のベッドメーキングは、必ず記録していますが、意外と違うのです。皆さんはこのベッドメーキングの方法を悩まれているのですが、多くの施設では「ウチはどうだっけ?」という経営者がほとんどで、そのくらい無関心です。
掛け布団を中に入れてしまうと、足が入らなくてもがくのでベッドメーキングが崩れます。最近は掛け布団をただ載せているだけというホテルや、足の先の部分はマットに入れていないところもあります。すべて中に入れると、清掃部門も大変になります。
細かい部分ですが、かたちから教えると、お客にとって利便性はどうなのかという視点が抜け落ちてしまうことが多々あります。
――お客から気づかされる部分などはありますか。
梶井:以前、素泊まりで予約をされていたお客様に対して、チェックインの際に朝食が別料金で用意してあるので、いつものように「ご朝食はいかがされますか。お付けすることができますよ」とお伺いすると、そのお客様は「そもそも朝食を取る気がないので素泊まりプランを選んだのに、『朝食を付けますか』と聞くマニュアル化した接客が嫌だ」とおっしゃられました。これはすごく勉強になりました。
内藤:今はどうされているのですか。
梶井:朝食を付けられていないお客様には、「ご朝食が必要であればおっしゃってください。ご準備があります」という言い方に変えました。
内藤:その表現はすごくいいですね。
梶井:「朝食があることを知らなかった」とおっしゃるお客様もいらっしゃるので、同じように言ってもいいものかと考えます。
内藤:予約のときには朝食が不要でも、事情が変わり、朝食を取りたいと思うお客もいるかもしれないし、難しいですね。
朝食ルームサービスの利用は多いですか。
梶井:比較的女性の方が多く、ルームサービス付きプランも出しています。
――市内でも朝食のルームサービスを取り入れるホテルもあるのではないでしょうか。
永安:客室の内装などは当館と同じように、一部屋も同じものがないように壁紙も変えているホテルもあります。ただ、朝食ルームサービスは他ではあまりやられていないのではないかと思います。
内藤:壁紙はモノですが、サービスは人の働きなので真似するのは難しい。だからこのサービスをお客は支持していくのです。
――アメニティを充実されていったことで、客室の単価も上がっていったのですか。
永安:5年で700円くらい上がりました。今も上がっています。
内藤:単価が上がっている要因はなんですか。
永安:極端に週末を上げているわけではないのですが、女性客が増えていくなかで、安いプランを求められている感覚はなくて、よりサービスの充実を求められているような気がします。格安プランから売れるのではなく、ちょっとした特別なサービスが付いているプランの方が人気が高い傾向にあります。
内藤:サービスの内容と品質を重視していたら、それを求めるお客が増えていったということですね。価格は最も大きなニーズで、同じものだったらお客は価格の安い方を選びます。同じでなければ、価格以外の部分が重要視されます。
稼働率も上がっているのですね。
永安:2011、12年は60%前後でしたが、13年の夏ごろから80%まで上がってきました。
内藤:外的要因で一度は来てくれますが、品質が良くなければ続きません。
永安:「期待していなかったけど、来たら意外と良かった」という感じではないでしょうか。評価されている部分も施設などよりも、スタッフがお客様のことを考え、少しずつ変えていったサービスの部分ではないかと受け止めています。
内藤:平均レベルを上げることが大事で、特徴を出し過ぎるとお客に飽きられてしまいます。一部分で突き抜けるとお客の好き嫌いがでてきます。幅広いお客が利用するビジネスホテルなどは、「普通に良い」というのがいいのではないかと考えます。「意外にいいよね」というのが一番の褒め言葉なのかもしれません。今後の取り組むべき課題はどの部分ですか。
永安:ここにいる2人のスタッフはお客様目線で向き合ってくれていますが、「もっと笑顔で接客してくれるといいのに」というお客様からのアンケートもあります。ものすごく褒められているときと、ものすごく怒られるときもあるのが現実です。接客レベルの個人差もあるので、この2人がいないときのサービスレベルを、全体的にもっと上げていくことが今後の課題です。
対策としては、朝礼や終礼に時間をかけ、お客様の情報に関して丁寧過ぎるほどの引き継ぎをやっています。そのときに、アンケートでこういった声があったと話し合っています。クレドも1日2回、皆で唱和しています。
内藤:このような日々の地道な努力が、エクレールの素晴らしいところだと思います。



