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【特集No.644】「北前船寄港地フォーラム」in岡山に向けて 新時代の地域間交流・連携探る

2023年10月2日
編集部:増田 剛

2023年10月2日(月) 配信

 江戸、明治期に日本の交易を担った「北前船」の歴史を紐解き、新しい地域間連携のあり方を探ろうと「北前船交流拡大機構」(濵田健一郎理事長)は今年10月5―6日、岡山県岡山市で「第33回北前船寄港地フォーラム」を開催する。開催地を代表して岡山市長の大森雅夫氏、同フォーラム実行委員会会長の松田久氏(岡山商工会議所会頭)、秋田県大館市長の福原淳嗣氏が国内外の地域間交流の拡大などを語り合った。司会は内閣府地域活性化伝道師で地域連携、インバウンド戦略などが専門の跡見学園女子大学准教授の篠原靖氏が務めた。

【増田 剛】

 ――10月5―6日に、岡山市など5市で「第33回北前船寄港地フォーラム」が開催されます。

 大森:北前船は江戸時代から明治20―30年代まで、北海道、東北、北陸、瀬戸内、関西、九州などの地域を重要な物流ネットワークとして立派な経済圏を作っていました。こうして栄えてきた各寄港地を「点」から「面」に、そして、“回廊”としてつなげていこうという「コリドール構想」が、北前船交流拡大機構の根底にあります。
 第1回北前船寄港地フォーラムは2007年11月に山形県酒田市で開かれ、今回で33回目を迎えます。実は20回目となる17年7月に、岡山市は瀬戸内市、倉敷市、玉野市とともに同フォーラムを開催しています。
 そのときのノウハウを生かしながら、国内外を含めた「地域間交流の拡大につながる場」にしたいと考えています。
 テーマは「北前船と吉備の穴海~海と川が織りなした文化・産業~晴れの国・岡山から世界へ」。日本全国、海外からも計700人規模の参加者を予定しています。
 近年は広く活動が評価され、2年前に地域連携研究所が発足しました。寄港地ではない各自治体にも入会を呼び掛けており、北前船寄港地フォーラムと併催というかたちで、第4回地域連携研究所大会も開かれます。岡山市としても、当地で開催できることは名誉なことでありますし、大変意義深いイベントだと感じています。

 ――実行委員会会長を務められる、岡山商工会議所の松田会頭はどのように捉えていますか。

 松田:今回のフォーラムの大きな特徴は、岡山市をはじめ、瀬戸内海に面する倉敷市、玉野市、備前市、瀬戸内市の5市が初の試みとなる「分散型」で分科会を実施することです。
 それぞれの異なる文化や産業を紹介しながら、全国から参加される方々との交流と比較文化を通じて、各地域での観光振興のヒントを得ていただきたいと考えています。
 18年5月の中国・大連に続き、昨年10月には、フランス・パリで「日本の食文化を世界に」をテーマにフォーラムを開き、国際的なアピールに向けて大きく前進しました。
 この成果をさらに高めていこうと、岡山大会ではEU(欧州連合)諸国の大使など約20人の外交官を招待しています。東京だけではなく日本各地の独特の文化を広く知っていただく絶好の機会と捉え、国際的な文化交流を推進していきたいと準備を進めています。

 ――2年前に地域連携研究所が発足し、自治体会員制度の共同会長に大館市の福原市長と岡山市の大森市長が務められています。会員数はどのくらいですか。

 福原:現在40を超える勢いです。自分たちの文化、風土を愛している全国各地の自治体にはぜひ入会していただければと思っています。
 1年半前の22年3月に、秋田市で開催したフォーラムで、地域連携研究所の発足式がありました。そのときに、岡山商工会議所の松田会頭が岡山県・矢掛町の「まちごとホテル」について講演されました。素晴らしい取り組みだと感銘を受け、我が大館市のまちづくりにも「まちごとホテル」の考え方が組み入れられました。こういった出会いやご縁は、北前船寄港地フォーラムがなければできなったことです。

 ――福原市長はパリでのフォーラムにも参加されました。パリでの印象は。

 福原:驚いたのは、パリも舟運でできたまちで、市庁舎もドックの場所に建てられているなど大変勉強になりました。
 「秋田犬と一緒に世界自然遺産白神山地を歩きたい」「北海道北東北の縄文遺跡群を歩いて周遊したい」など現地の生の声を聞くことができたのは大きな収穫でした。また、比内地鶏で作った鶏めしをパリで販売したところ大変好評で、「コース料理で食べたい」という感想も新鮮でした。大館曲げわっぱも「10万円、30万円で欲しい」など、自分たちの何気ない伝統文化や食文化も、フランス人にとってはとても価値を感じていただいていることに、誇りと確かな手ごたえを感じる機会になりました。

 ――北前船交流拡大機構の大きな特徴はJAL、ANA、JRなど大手の輸送機関や民間企業も数多く加盟されていることです。

 大森:大都市部から……

【全文は、本紙1916号または10月5日(木)以降日経テレコン21でお読みいただけます。】

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